著者
岩本 幸治 前田 哲男 井ノ江 政信
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.16, no.81, pp.9-15, 1992-12-16

AV機器を双方向で制御するAVバスとして、D2B(Domestic Digital Bus)を開発してきた。D2BはIEC規格としても認められている。今回松下電器は、D2Bを搭載した日本市場初のAVシステムである「画王ランド」を発売したので報告する。「画王ランド」におけるD2B制御の特徴として 1)「見る」、「聞く」、「録る」の3つのキーワードで統一したボタン名称および簡単操作を、1つのシステムリモコンにより実現。2)TV上OSD(On Screen Display)に機器状態および警告等を表示させる対話型操作。3)各機器がマスターとなりシステムを制御するマルチマスター制御。が挙げられる。
著者
木山 良二 川田 将之 吉元 洋一 前田 哲男
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48102107, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】歩行時の足関節底屈モーメントの増加は,床反力の前方成分を強め,股関節屈曲モーメント,パワーを減少させることが報告されている。立脚後期の足関節底屈モーメントはヒラメ筋や腓腹筋などにより発揮されるが,腓腹筋は二関節筋であり,その作用は膝関節を介し,股関節にも影響を与えると考えられる。本研究の目的は,下腿三頭筋の最大筋力を変化させた筋骨格モデルを用い,腓腹筋が歩行中の股関節屈筋群に与える影響を明らかにすることである。【方法】対象は健常成人10 名とした。3 次元動作解析装置(Oxford Metrics社製VICON MX3)と床反力計2 枚(AMTI社製OR6-7, BP400-600 )を用い,快適速度の歩行を計測した。計測側は左下肢とし,計測回数は3 回とした。得られたデータと筋骨格モデルシミュレーションソフト(ANYBODY Technology社製AnyBody 5.2)を用い,筋の活動張力を算出した。筋骨格モデルの腓腹筋もしくは,ヒラメ筋の最大筋力をそれぞれ100%,60%,30%に減少させたモデルを用い,腓腹筋の筋張力が股関節屈筋群の筋張力に与える影響を検討した。今回は腓腹筋,ヒラメ筋,大腿直筋,大腰筋,腸骨筋,中殿筋前部線維を分析対象とした。また大腿直筋については,腱に蓄積される弾性エネルギーも算出した。活動張力および弾性エネルギーは,時間正規化を行い,体重にて正規化し,立脚後期における最大値を比較した。統計学的検定にはフリードマン検定を用い,有意水準は5%とした。なお統計学的検定にはSPSS 20 を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】本研究の内容は,鹿児島大学医学部倫理委員会の承認を得て実施した。測定に先立って,対象者に本研究の趣旨を書面及び口頭で説明し,書面にて同意を得られた場合にのみ測定を行った。【結果】歩行速度は1.22 ± 0.16 m/s,歩幅は0.66 ± 0.1 m,歩行率は109.6 ± 4.9 steps/minであった。腓腹筋の最大筋力を低下させたモデルでは,腓腹筋の最大筋力の低下に伴い,立脚後期の大腿直筋の活動張力が有意に低下し(100%, 3.7 ± 2.9 N/kg; 60%, 2.9 ± 2.6 N/kg; 30%, 2.5 ± 2.3 N/kg; P<0.001),ヒラメ筋(100%, 21.6 ± 6.5 N/kg; 60%, 25.8 ± 8.6 N/kg; 30%, 31.5 ± 8.2 N/kg; P<0.001),大腰筋(100%, 17.3 ± 6.9 N/kg; 60%, 18.4 ± 7.2 N/kg; 30%, 19.9 ± 7.5 N/kg; P<0.001),腸骨筋(100%, 7.0 ± 2.1 N/kg; 60%, 7.5 ± 2.1 N/kg; 30%, 8.0 ± 2.1 N/kg; P<0.001),中殿筋前部線維(100%, 5.5 ± 1.5 N/kg; 60%, 6.1 ± 1.6 N/kg; 30%, 7.5 ± 1.7 N/kg; P<0.001)の活動帳力が有意に増加した。股関節の屈筋群で特に変化率が大きかったのは,大腿直筋および中殿筋前部線維であった。ヒラメ筋の最大筋力を低下させたモデルでは,ヒラメ筋の筋力低下に伴い,立脚後期における腓腹筋,大腿直筋の活動張力が有意に増加し(P<0.001),大腰筋,腸骨筋,中殿筋前部線維の活動張力が有意に減少した(P<0.001)。また大腿直筋腱の弾性エネルギーは,歩行周期の約50%にピークを示し,腓腹筋の最大筋力を低下させたモデルでは,有意に減少し(P<0.001),ヒラメ筋の最大筋力を低下させたモデルでは,有意に増加した(P<0.001)。【考察】今回の結果では,腓腹筋の活動張力のピークは歩行周期の約40%,ヒラメ筋は約50%であり,おおよそターミナルスタンスの後半からプレスウィングに該当する。この時期の腓腹筋の筋張力は,主に足関節底屈モーメントを発生し,重心の前方移動に関与する。しかし膝関節に対しては,屈曲モーメントを発生させる。一方,大腿直筋もおおよそ歩行周期の50% でピークを示し,股関節屈曲モーメントと膝関節伸展モーメントを発揮する。腓腹筋と大腿直筋の同時性収縮により,膝関節の安定性が保たれる。そのため,腓腹筋の最大筋力を低下させた筋骨格モデルでは,腓腹筋の活動張力の低下に伴い,それに拮抗する大腿直筋の活動張力および腱の弾性エネルギーが減少する。その結果,その他の股関節屈筋の活動張力が増加したと考えられた。また,大腿直筋は股関節に対しては,屈曲と外転の作用をもつため,同様の作用をもつ中殿筋前部線維の活動張力の増加率が大きかったと考えられた。逆に,ヒラメ筋の最大筋力を低下させたモデルでは,腓腹筋の活動張力が増加するために,大腿直筋の活動張力が増加し,その他の股関節屈筋群の活動張力が減少したと考えられた。したがって,腓腹筋の活動張力は大腿直筋と連動して,股関節屈筋群に影響を与えることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】歩行中の腓腹筋の筋張力は,床反力の前方成分の増加に加え,膝関節伸展筋と拮抗することにより,大腿直筋の筋張力を高め,股関節屈筋群の負荷を軽減することが示唆された。このことは,歩行時の振り出しが困難な症例の代償戦略や,負荷が生じる部位を検討する際の基礎的情報として意義深いと考える。
著者
貴嶋 芳文 木山 良二 大重 匡 前田 哲男 湯地 忠彦 東 祐二 藤元 登四郎 関根 正樹 田村 俊世
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1505, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】脳卒中片麻痺者の自立歩行獲得は,リハビリテーションにおける目標の一つであり,早期の自立歩行獲得は歩行機会を増加させ,さらなる身体機能の向上や生活空間の拡大に繋がると考えられる。諸家により,歩行能力の客観的な評価として,加速度センサを用いた検討が報告されている。我々はこれまでの横断的な研究で,加速度センサを用いた評価が,脳卒中片麻痺者の歩行自立度の判定に有用であること,麻痺の程度により歩行自立度に関与する要因が異なることを報告した。しかし,脳卒中片麻痺者の回復に伴う,歩行中の加速度の変化を縦断的に検討した報告は少ない。そこで本研究では,歩行非自立時(要監視)と歩行自立時における,歩行中の腰部および大腿部の加速度の差を比較し,歩行自立度の変化に伴う,歩行中の加速度の変化を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は,脳卒中片麻痺者18名(Br. Stage IV8名,V10名,右片麻痺10名,左片麻痺8名,男性12名,女性6名,平均年齢68±7歳)であった。加速度センサは,対象者の腰部と両大腿部にそれぞれベルクロを用いて装着した。対象者は,室内16mの直進路を快適速度で2回歩行し,中央10mを解析対象区間とした。10m解析区間から定常状態である中央の3歩行周期を抽出し,得られた加速度のデータより,腰部と両大腿部のRoot Mean Square(RMS),自己相関係数(定常性)を算出した。また,10m歩行速度,Berg Balance Scale(BBS),Fugl-Meyer Assessment(FMA)を測定した。計測は,上肢による支持なしで16mの歩行が可能となった時期(歩行非自立時)と,病棟での歩行が許可された時期(歩行自立時)の2回行った。歩行自立時と非自立時の各指標を,対応のあるt検定を用い比較した。また,加速度のセンサから得られた指標については,Br. Stage毎に比較した。すべての統計解析は,統計ソフトR(2.8.1)を用い,統計学的な有意水準は5%とした。【倫理的配慮,説明と同意】本計測の際には,当該施設の倫理委員会の承認並びに対象者自身からのインフォームドコンセントを得た後,実施した。【結果】歩行速度(P=000),BBS(P=000),FMA(P=000)は非自立時に比べ,自立時で有意に高値を示した。自己相関係数も同様に,非自立時に比べ自立時に高い値を示し,歩行の定常性が改善していることが示された。有意な差の認められた項目は,Br. Stage IVでは腰部の前後(P=000)・上下成分(P=000),麻痺側大腿部の左右成分(P=000),非麻痺側大腿部の前後(P=000)・上下成分(P=000)において有意な差を認め,Br. Stage Vでは腰部の上下成分のみ有意な差を認めた(P=000)。またRMSにも有意な増加を認め,Br. StageIVでは腰部前後成分(P=000),麻痺側大腿部前後(P=000)・左右(P=000)・上下成分(P=000),非麻痺側大腿部左右成分(P=000)で有意に高い値を示した。Br. Stage Vでは非麻痺側大腿部左右成分を除くすべてにおいて有意な差を認めた(P<000)。【考察】今回の結果では,バランス能力や麻痺の改善に伴い,歩行自立度,歩行速度が向上し,それに伴い,歩行中の加速度のRMSおよび,自己相関係数が改善していた。しかし,麻痺の程度により,差がある指標が異なり,歩行自立度に関与する要因が異なることが示唆された。麻痺が重度であるBr. Stage IVでは,非自立時と自立時の比較において,腰部・両大腿部の自己相関係数が増加した指標が多く,歩行の定常性が,歩行の自立に大きな影響を与えることが示唆された。一方で,Br. Stage Vでは,非麻痺側大腿部左右成分を除くすべてのRMSで有意な増加を示したのに対し,自己相関係数の増加は腰部の上下成分のみであり,歩行の定常性が歩行自立度に与える影響は小さいと考えられた。【理学療法学研究としての意義】先行研究による歩行分析は,腰部加速度センサのみを使用したものや横断研究が多く報告されているが,本研究により回復過程における被験者内の腰部・大腿部加速度変化を調査することで,自立歩行獲得時にどのような加速度成分に変化があったかを把握することができ,Br. Stageに応じた歩行評価や治療効果判定指標となる可能性がある。