著者
藤正 巖 松谷 明彦
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、システムダイナミックスを用い、2000年、2005、2010年の社会構造推計エンジンを開発し、世界、諸国、日本、都道府県、市区町村の個別のモデルを試作し、クラウドコンピューティングのデータベースに蓄積してきた。これまでの3種の推計エンジンの結果からは、将来の社会構造は驚く程確定的に定まることが明らかになった。この成果を本研究の仮想実施空間であるPost-Max-Network-Workshop(PMN工房)に提供した
著者
藤正 巖
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.14-26, 2012 (Released:2012-03-29)
参考文献数
12

目的:日本の社会の現実を眺めると,現在と未来のシステムとの間に大きな溝が見られる.その溝の一つは将来の社会構造の確定的な部分の誤認である.社会構造は,通常の人の集団とそれを取り巻く生存空間という三次元世界の上に,社会構造を意図的に変動させるための政策的な次元である時間が加わり,四次元の世界を作り出している.ここでは,そのような四次元空間を解析する手法を開発するのを目的としている.経済学的立場では,それを「構造派の経済学理論」と名付ける.方法:ここでは自己開発の社会構造推計エンジンを用い,3種の出生関数(1990年~2008年モデル,出生率1.4固定モデル,2004年~2008年モデル)を用いたモデルを作成し,日本の2100年までの社会構造を推計した.結果:日本総人口は2005年に極大値に達した後,継続的に人口減少が起こり,働き盛りの人口である25歳から54歳の人口と55歳から84歳の人口がほぼ同数で推移する.1950年ころから1970年ころにかけての20年間の経済成長は,国民所得の実質で年10%を超え,丁度それは25歳から54歳の人口が年2.5%以上も増加し続けた期間と一致している.将来の経済推計では,これから世紀末の間の90年間で,実質国民所得の推移は総人口の減少割合とほぼ一致している.しかし,一人当たりの国民所得は殆ど減少しない.考察:人口は25~54歳と55~84歳が今後同数になっているにもかかわらず,加齢はしたが,ほとんどが健康者で占められる高齢グループは労働力ではないのかという疑問がある.知識と経験を備え,多少生産性は低くなるが,総合的な生産能力のあるこの膨大な人口を,社会運営から除外しておくことはできない.ここでは社会時間設計により,生産年齢の年齢幅を十歳高齢にする提案を行った.
著者
井街 宏 鎮西 恒雄 満渕 邦彦 藤正 巖 今西 薫 阿部 裕輔
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1992

人工心臓は心臓手術後の循環補助や心臓移植への繁ぎとして多くの臨床例に用いられ患者の救済に役立っている。しかし、現在の人工心臓は形態的にも機能的にも生体心臓の模倣を目標に開発されてきたため、健康を維持する能力はあっても病気に陥った臓器を積極的に治療・回復させたり目的に応じて特定の臓器や組織の機能を昴進させる能力がないなどの限界を有している。本研究はいままでの人工心臓と180度発想を転換した場合、10-20年後を指向した次世代型人工心臓としてどのような人工心臓を開発すべきかについてその基本構想を述べ、それに対する基礎的実験を行なうことを目的とした。3年間の研究成果は以下の通りである。1 次世代型人工心臓として分散型人工心臓を提唱してその開発の意義や可能性について考察した。2 システムの小形化の研究を行ない、(1)人工心臓用Jellyfish弁の小形化、(2)新しい方式の人工心臓の開発とその小形化の研究、(3)新しい方式の補助循環装置の開発、(4)マイクロマシンの技術による人工筋肉の開発とその理論解析などで新しい知見を得た。3 新しい計測法の研究として、(1)材料表面に吸着するタンパクの動的挙動の測定、(2)血中カテコラミン測定センサの開発、(3)微小循環の長期間実時間観察法の開発などこれまで不可能であった計測法の研究開発を行なった。4 新しい制御方法の研究の結果、人工心臓を装着した生体自身に自己の人工心臓を制御させるという全く新しい制御方法(1/R 制御方法)を考案し、ヤギを360日間生存させることに成功した。