著者
満渕 邦彦
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は心臓の拍動による血液循環エネルギーの一部をファラデーの電磁誘導の法則により電力に変換し、これを電力源として用いようというものである。生理食塩水を用いた実験結果では、永久磁石を用いると、流れが層流の場合には、電極の分極や電気二重層の影響により電磁誘導素子の起電力の発生が抑制されるが、拍動流では、流路に装着した1つの電磁誘導素子によって数mV 程度の起電力を得ることが可能で、また、複数の素子による起電力を直列に接続する事によって(得られる起電力は必ずしも個々の素子に生じる起電力を単純加算した値とはならないが)総起電力を増幅しうることが示され、提案したシステムの可能性が示されたと考える。
著者
下条 誠 牧野 了太 小川 博教 鈴木 隆文 並木 明夫 斎藤 敬 石川 正俊 満渕 邦彦
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2002, 2002
被引用文献数
3

神経系を介して生体系と機械系を一体化しようとする試みは, 医用生体工学の中でも最も注目を浴びている領域の一つである。しかしながら, いまだ世界において実際に遠隔地にある外部機器と生体の感覚神経を接続し, 人工感覚を生成するシステムを作成した報告は全く見あたらない。本研究では, 遠隔地にあるロボットハンドを被験者がネットワーク経由で操作を行い, ハンドと対象物との接触情報を, 再度ネットワーク経由で被験者の触感覚神経を刺激することで, ハンドに加えられた感覚刺激を自分の手に感覚が加えられたものとして感じる事を可能とするシステムを開発し, 実験に成功した。本報告ではこの実験システムに関して報告する
著者
阿部 裕輔 鎮西 恒雄 磯山 隆 満渕 邦彦 松浦 弘幸 馬場 一憲 河野 明正 小野 俊哉 望月 修一 孫 艶萍 今西 薫 吉澤 誠 田中 明 内山 賢一 藤正 巌 渥美 和彦 井街 宏
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.21-26, 1997-02-15
被引用文献数
7

1/R制御により、完全置換型人工心臓ヤギで532日の長期生存を得た. 術後経過としては、ポンプ内に血栓を生じたため、左右の血液ポンプを交換したこと、胸部の圧迫壊死層から出血をきたし、貧血の状態となったことなどがあったが、制御は順調に継続できた. 生存期間を通して、血行動態は安定し、右心房圧も低値に保たれていた. 血液生化学データ上も異常は見られず、ホルモン値にも異常は見られなかった. 剖検時に腹水はなく、肉眼的には肝臓病変も見られなかった. また、心拍出量は、大動脈圧とは関係が見られず、総コンダクタンスと相関が見られ、術後2週間および出血後2週間はヘマトクリット値と逆比例の関係が見られたが、それ以外の時期にはヘマトクリット値や総タンパク値とはあまり関係がないなどの興味深い所見も得られた. 本研究により、1/R制御の生理的な長期安定性が確認できた.
著者
荒木 望 帆足 勇希 小西 康夫 満渕 邦彦 石垣 博行
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. C, 電子・情報・システム部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. C, A publication of Electronics, Information and System Society (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.131, no.4, pp.736-741, 2011-04-01
被引用文献数
1

This paper proposed an active finger recognition method using Bayesian filter in order to control a myoelectric hand. We have previously proposed a finger joint angle estimation method based on measured surface electromyography (EMG) signals and a linear model. However, when we estimate 2 or more finger angles by this estimation method, the estimation angle of the inactive finger is not accurate. This is caused by interference of surface EMG signal. To solve this interference problem, we proposed active finger recognition method from the amplitude spectrum of surface EMG signal using Bayesian filter. To confirm the effectiveness of this recognition method, we developed a myoelectric hand simulator that implements proposed recognition algorithm and carried out real-time recognition experiment.
著者
井街 宏 鎮西 恒雄 満渕 邦彦 藤正 巖 今西 薫 阿部 裕輔
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1992

人工心臓は心臓手術後の循環補助や心臓移植への繁ぎとして多くの臨床例に用いられ患者の救済に役立っている。しかし、現在の人工心臓は形態的にも機能的にも生体心臓の模倣を目標に開発されてきたため、健康を維持する能力はあっても病気に陥った臓器を積極的に治療・回復させたり目的に応じて特定の臓器や組織の機能を昴進させる能力がないなどの限界を有している。本研究はいままでの人工心臓と180度発想を転換した場合、10-20年後を指向した次世代型人工心臓としてどのような人工心臓を開発すべきかについてその基本構想を述べ、それに対する基礎的実験を行なうことを目的とした。3年間の研究成果は以下の通りである。1 次世代型人工心臓として分散型人工心臓を提唱してその開発の意義や可能性について考察した。2 システムの小形化の研究を行ない、(1)人工心臓用Jellyfish弁の小形化、(2)新しい方式の人工心臓の開発とその小形化の研究、(3)新しい方式の補助循環装置の開発、(4)マイクロマシンの技術による人工筋肉の開発とその理論解析などで新しい知見を得た。3 新しい計測法の研究として、(1)材料表面に吸着するタンパクの動的挙動の測定、(2)血中カテコラミン測定センサの開発、(3)微小循環の長期間実時間観察法の開発などこれまで不可能であった計測法の研究開発を行なった。4 新しい制御方法の研究の結果、人工心臓を装着した生体自身に自己の人工心臓を制御させるという全く新しい制御方法(1/R 制御方法)を考案し、ヤギを360日間生存させることに成功した。