著者
藤永 智也 狭間 研至 岸 雄一
出版者
一般社団法人 日本在宅薬学会
雑誌
在宅薬学 (ISSN:2188658X)
巻号頁・発行日
pp.2021.5003, (Released:2021-02-10)
参考文献数
13

要旨:国が推進している地域包括ケアシステムを実現するには,病院と地域の医療機関の連携が欠かせない.なぜなら、入院時や退院時に薬物療法の情報が「ない」「誤っている」「古い」場合は,患者に有害事象が起こる可能性がある.そのため,「安心安全な薬物療法」を患者に提供するには,病院-薬局間のシームレスな薬薬連携が必要である.思温病院で実践している薬薬連携の手段には,「退院時共同指導」「薬局薬剤師向けの薬剤管理サマリー」の2つがある.退院時共同指導と薬剤管理サマリーを実施した中で,「中心静脈栄養管理」「経腸栄養管理」「褥瘡管理」「血糖管理」「服薬管理」の5つは,医療資源が充実している病院と医療資源が限られている施設や自宅との違いがあるため,情報共有が重要となる.特に,「アドヒアランスが遵守できる服薬管理」などの対物業務と,「医薬品の適正使用」などの対人業務の2つの情報は,患者のQOLの維持・向上に欠かせないため,患者の入退院後も薬剤師が薬を渡した後にフォローし続けることが重要である.
著者
藤永 智也
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.147-151, 2016 (Released:2016-02-23)

超高齢社会を迎え,我が国の医療計画として在宅医療への推進が重要視されている.薬学教育が6年制に移行したことや実務実習が5か月あることから,薬学教育もより高度になりつつある.在宅医療の現場でも薬剤師の薬学的知識が求められていると考えられ,ハザマ薬局では6店舗で計34か所の施設(有料老人ホーム,介護付有料老人ホーム,グループホーム)の薬の管理を担当している.当薬局の在宅業務では,医師,薬剤師,看護師および介護スタッフなどとの多職種連携を構築することで,質の高い薬物治療を提供している.また,薬剤師による居宅療養管理指導のみならず,医師の訪問診療同行も積極的に実施している.高齢者薬物療法は加齢とともに複数の疾患を合併することが多く,多剤併用に陥りやすい状況にあり,重複投与,薬物間相互作用のリスクが問題となっている.在宅医療における薬物治療は残薬問題,多剤併用,医薬品適正使用の推進などの課題が多く,最近では残薬の問題がメディアに大きく取り上げられている.本稿では筆者が行っている在宅医療業務や症例を紹介しながら,在宅医療における医薬品の適正使用について考えたい.