著者
伊達 修一 寺林 敏 松井 浩平 並木 隆和 藤目 幸擴
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.485-489, 2002-07-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
11
被引用文献数
5 6

水道水を用いて作成した培養液による水耕栽培で, しばしば発生する根部褐変の原因について調査した.サラダナの根部褐変は次亜塩素酸の形態で存在する水道水中の残留塩素とアンモニウムイオンが存在する培養液でのみ発生し, どちらか一方しか存在しない培養液では発生しなかった.また, 次亜塩素酸あるいはアンモニウムイオンどちらかを含む培養液に交互に移植しても根部褐変は発生しなかった.従って, 根部褐変は次亜塩素酸とアンモニウムイオンにより生成するクロラミンにより発生するものと考えられた.さらに培養液中の残留塩素濃度の低下は, 光条件下で鉄イオンの存在により促進された.
著者
/ 藤目 幸擴 / 寺林 敏 奥田 辺幸 伊達 修一 Nobuyuki Okuda Shuichi Date
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.312-318, 2004-07-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

オクラ(Abelmoschus esculentus)の花芽形成に及ぼす日長の影響を調べるため,春季と秋季の2回,8品種を供試して実験を行った.実験期間中の自然日長区の日長は春季では14.16~14.29,秋季では11.07~12.17時間であった,短日区は自然日長を10時間に制限し,長日区では自然日長の日没前に蛍光灯(3μmo1・m-2・s-1)によって,16時間日長とした.春季実験で'Clemson Spineless'どEmerald'は,自然日長区と長日区に比べて短日区では低節位に,また処理開始後早期に出らいしたノClemson Spineless' どEmerald'における,短日条件による花芽形成促進効果は,低温による生長抑制のためか秋季実験では顕著でなかった. 'Benny','Gulliver','夏のめぐみ','Star Debut','Star Light'と'翠星五角'は,ロ長の長短と季節に関わらずほぼ同一の節位に花芽を形成し,出らい時期もほぼ同じであった.春季実験の短ロ区と秋季実験の全処理区で花芽形成は連続して起こった.一方,春季実験の自然日長区,長日区の'ClemsonSpineless','Emerald', 'Benny','Star Debut'ど翠星五角'では,栄養生長への逆転が起こった.以上の結果から,'Clemson Spineless','Emerald','Benny','Star Debut'ど翠星五角'は花芽形成に対して短日要求性を示した.一方, 'Gulliver','夏のめぐみ'と'Star Light'は,花芽形成に対して中性の要求性を示した.
著者
Mahmood Hassan 藤目 幸擴 松井 年行 奥田 幸延 鈴木 春雄
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 人間環境学・農学 (ISSN:13433954)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.39-43, 2000-12-25

ワサビ'だるま-3号'について形態的観察を行った。ワサビは日本など温帯アジア原産植物で, アブラナ科に属し, 宿根性である。通常葉と茎の基部が可食部として収穫される。可食部は通常根茎と呼ばれることが多いが, 肥厚して短縮化した茎である。肥厚した茎は地中で成育することが多い。葉柄の基部も肥厚している。いくつかの子株が茎の基部から伸張して, 繁殖に用いられる。花には4枚の白色の花弁, 6本の雄ずいと1本の雌ずいがある。
著者
藤目 幸擴 斎藤 良光 中山 恭伸
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.70-77, 1988
被引用文献数
3 3

ブロッコリーの早晩生の異なる13品種を用い, 生育温度 (17°C~23°C) と日長条件 (8時間日長と16時間日長)を組合せ, 花らい形成に対する低温と長日の相乗作用における品種間差異について調査した.<br>1. 極早生の'極早生緑'と'グリーンコメット'は短日条件下で花らいを形成しない温度でも, 長日条件下では花らいを形成した. 早生の'シャスター', '緑洋'と'里緑', 中生の'緑山'も, 短日条件下で花らいが形成されない温度であっても, 長日条件下では花らいを形成した.<br>2. 同じ生育温度の両日長条件下で花らいが形成された場合, 極早生の'極早生緑'と'ダークホース', 早生の'早生緑', 'シャスター'と'緑洋', 中生の'スリーセブン'は, 長日区の方が短日区より1週間早く花らいを形成した.<br>3. 同じ生育温度の両日長条件下で花らいが形成された場合, 早生の'早生緑'と'シャスター', 中生の'緑嶺'と'スリーセブン'は, 長日条件下の方が短日条件下より少ない葉数で花らいを形成した.<br>4. 以上の結果から, 供試した13品種中の10品種について, 花らい形成に及ぼす低温と長日の相乗作用が認められ, 長日条件下では花らい形成の上限温度の高くなることが認められた. 更に, ブロッコリーの花らい形成に対する低温と長日の相乗作用において, 低温が主要因であり, 長日条件は副次要因であると判断される.