著者
鈴木 潤 菅野 直人 西山 修平 金子 仁彦 三須 建郎 竪山 真規 遠藤 俊毅 青木 正志
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.571-575, 2012 (Released:2012-08-27)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

症例は30歳男性である.受診半年前より頭部MRIで異常信号を指摘されていた.1カ月前より歩きにくさ,尿の出にくさが出現し当科受診.神経学的には両下肢の中等度の筋力低下,胸部以下の温痛覚低下,排尿困難,便秘,陰萎をみとめた.腰髄MRIでは円錐部に辺縁の造影効果をともなう浮腫性病変があり,頭部MRIでは無症候性の散在性白質病変をみとめた.末梢血ではみられなかったが脳脊髄液中には好酸球の増加が明らかであり,これはステロイドパルス後に変性像が観察された.寄生虫感染や骨髄増殖性疾患が否定的であり,特発性に好酸球が病態に関与する再発性脳脊髄炎と考えられた.急性期および寛解維持にステロイドが著効する点が特徴的であった.