著者
遠藤 英徳 藤村 幹 松本 康史 遠藤 俊毅 佐藤 健一 新妻 邦泰 井上 敬 冨永 悌二
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.514-521, 2018 (Released:2018-07-25)
参考文献数
34

頚動脈狭窄症に対する外科治療の是非に関して, これまで数多くのランダム化比較試験 (RCT) が行われてきた. 古くは, 内膜剝離術 (CEA) と内科治療を比較したRCT, その後CEAと頚動脈ステント留置術 (CAS) を比較したRCTが行われ, その結果に基づいて治療ガイドラインが作成された. 症候性高度狭窄に対してはCEAもしくはCASの有効性が示されているが, 内科治療が発展した現在においては, 無症候性病変に対する外科治療の有効性検証が課題である. 今後は, 外科治療の危険因子を抽出し, 治療対象を明確化していく必要があるとともに, 術者教育環境を整え, 治療成績の維持・向上に努める必要がある.
著者
遠藤 俊毅 伊藤 明 冨永 悌二
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1151-1159, 2021-11-10

Point・脊髄脊椎外科の魅力は,正しい診断と手術により患者の症状を劇的に改善できることにある.・画像を直すのではなく,患者を治す.そのために,神経診察により患者症状の責任病変を絞り込むことが大切である.・画像所見はあくまでも神経診察による診断を確認するために使用する.その際,同一椎間板レベルにおける神経根と脊髄髄節レベルの「ずれ」に注意する.・患者の訴えを聴き,姿勢や動きによる症状の変化に注目する.
著者
藤盛 寿一 遠藤 俊毅 田澤 泰 中村 起也 渡辺 みか 冨永 悌二
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.495-500, 2011 (Released:2011-09-27)
参考文献数
10

脊髄出血にて発症した脊髄海綿状血管腫の2例を経験した.症例1は72歳の男性で左下肢近位筋の筋力低下,左第2~3腰髄(L)領域の感覚障害および左膝蓋腱反射の亢進を認めた.MRIにて第11胸椎(Th)レベル傍正中左側の海綿状血管腫および第9-10胸椎レベルの脊髄出血を認めた.39病日目に血管腫摘出術が施行され神経症状の回復は良好であった.症例2は65歳の女性で,上腕内側,側胸部,背部の体動時の痛みを左側優位に認めたが他覚的神経学的異常を認めなかった.MRIでは第1胸椎レベル傍正中左側の海綿状血管腫および第6頸椎(C)から第4胸椎(Th)レベルの脊髄出血を認めた.疼痛は半減したが残存した.他覚的異常に乏しいことから経過観察の上,再出血を認める場合には積極的に手術を検討する方針とした.脊髄海綿状血管腫は稀な疾患で,脊髄出血により急性発症する場合があり,個々の症例に応じた治療方針決定が重要となる.
著者
鈴木 潤 菅野 直人 西山 修平 金子 仁彦 三須 建郎 竪山 真規 遠藤 俊毅 青木 正志
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.571-575, 2012 (Released:2012-08-27)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

症例は30歳男性である.受診半年前より頭部MRIで異常信号を指摘されていた.1カ月前より歩きにくさ,尿の出にくさが出現し当科受診.神経学的には両下肢の中等度の筋力低下,胸部以下の温痛覚低下,排尿困難,便秘,陰萎をみとめた.腰髄MRIでは円錐部に辺縁の造影効果をともなう浮腫性病変があり,頭部MRIでは無症候性の散在性白質病変をみとめた.末梢血ではみられなかったが脳脊髄液中には好酸球の増加が明らかであり,これはステロイドパルス後に変性像が観察された.寄生虫感染や骨髄増殖性疾患が否定的であり,特発性に好酸球が病態に関与する再発性脳脊髄炎と考えられた.急性期および寛解維持にステロイドが著効する点が特徴的であった.