著者
赤石 哲也 菊池 昭夫 長谷川 隆文 竪山 真規 青木 正志
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.6, pp.1464-1466, 2013-06-10 (Released:2014-06-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2

首下がり症候群は,頸部筋群の機能異常から頸が常に垂れ下がった状態を示す病態である.症例は87歳,男性,糖尿病に対してDPP-4阻害薬のvildagliptin導入後1カ月程で歩容の不安定化から杖歩行となり,約半年で頸が常時前屈位となった.血清CK値の軽度上昇に加え,頸部MRIで頸半棘筋および頸板状筋に一致してT2高信号域を認め,薬剤性の筋障害に伴う首下がり症候群を疑った.同薬を中止して3週間程で症状は改善し,杖なしで歩行可能となった.
著者
坪井 博文 菅野 直人 西山 亜由美 竪山 真規 青木 正志
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.312-315, 2013-04-01 (Released:2013-04-19)
参考文献数
10

症例は28歳男性である.左上腕外側の痛みと下垂手で発症,左橈骨神経麻痺の診断で保存的に加療を受けるも左上肢の筋力低下,筋萎縮,しびれ感が残存し当科受診した.神経学的には左三角筋,総指伸筋,棘上筋,棘下筋,前鋸筋などに筋力低下をみとめ,左上腕外側から手背に帯状に表在覚低下と錯感覚をみとめた.電気生理学的検査と画像検査をあわせて検討したところ腕神経叢の散在性障害が明らかとなり,経過より神経痛性筋萎縮症と診断した.本症例は当初より橈骨神経本幹の麻痺が前景に立っており非典型的であった.臨床的に橈骨神経麻痺がみられたばあい,神経痛性筋萎縮症の可能性も念頭におき鑑別をおこなう必要があると考えられた.
著者
鈴木 潤 菅野 直人 西山 修平 金子 仁彦 三須 建郎 竪山 真規 遠藤 俊毅 青木 正志
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.571-575, 2012 (Released:2012-08-27)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

症例は30歳男性である.受診半年前より頭部MRIで異常信号を指摘されていた.1カ月前より歩きにくさ,尿の出にくさが出現し当科受診.神経学的には両下肢の中等度の筋力低下,胸部以下の温痛覚低下,排尿困難,便秘,陰萎をみとめた.腰髄MRIでは円錐部に辺縁の造影効果をともなう浮腫性病変があり,頭部MRIでは無症候性の散在性白質病変をみとめた.末梢血ではみられなかったが脳脊髄液中には好酸球の増加が明らかであり,これはステロイドパルス後に変性像が観察された.寄生虫感染や骨髄増殖性疾患が否定的であり,特発性に好酸球が病態に関与する再発性脳脊髄炎と考えられた.急性期および寛解維持にステロイドが著効する点が特徴的であった.