著者
森田 学 西川 真理子 石川 昭 木村 年秀 渡邊 達夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.158-163, 1997-04-30 (Released:2017-10-20)
参考文献数
22
被引用文献数
3

つまようじ法とフロッシングを併用したバス法の2種類の刷掃法について,歯肉炎に対するマッサージ効果を比較した。実験的歯肉炎を有する24名の男子学生を対象とした。各被験者の上下顎を左右に2分割した。それぞれランダムに,一方をつまようじ法で刷掃する部位,残りの2分の1顎をバス法で磨き,かつデンタルフロスで清掃する部位とした。以降,歯科医師が毎日1回,21日間,染色された歯垢が完全に取り除かれるまで,被験者の口腔内を清掃した。刷掃方法の割付を知らされていない歯科医師が,歯周ポケットの深さ(PD)とプロービング時の出血(BOP)を診査した。また,上顎第1小臼歯の頬側近心歯間乳頭と頬側中央部の遊離歯肉の上皮の角化程度を,パパニコロ染色法により判定した。その結果, 1. 21日後には,つまようじ法で刷掃した部位のBOP値が,バス法とデンタルフロスで清掃した部位の値よりも有意に低かった。2. つまようじ法で刷掃した歯間乳頭部のみ,ベースラインと比較して,21日後には角化細胞数の割合が有意に増加した。3. 歯垢が完全に除去されるまでに要した時間では,つまようじ法の場合は,バス法とデンタルフロスを併用した場合の約70%であった。以上の結果から,つまようじ法はデンタルフロスを併用したバス法と比較して,短時間で,より有効なマッサージ効果を得られる可能性が示唆された。
著者
河本 幸子 岡崎 眞奈美 西川 真理子 平岩 弘 岸本 悦央 森田 学 渡邊 達夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.685-690, 1998-10-30 (Released:2017-10-27)
参考文献数
17
被引用文献数
8

岡山大学歯学部附属病院予防歯科診療室では,患者に定期的来院を促し,術者による徹底した歯口清掃(Professional toothbrushing)を中心とする歯周治療を行っている。本研究では,予防歯科診療により歯の喪失がどの程度抑えられたのかについて,同附属病院内の他診療科で歯周治療を受けている外来患者の場合と比較した。1982年から1989年までの間に,当病院を6年以上継続来院して歯周治療を受けた者を対象に,予防歯科で歯周治療を受けた患者群と,他科で歯周治療を受けた患者群(対照群)とに分類した。両群間で治療開始時の年齢,性別,現在歯数をマツチングし,各群112名(男性30名,女性82名,平均年齢45.4歳)の6年間の歯の喪失状況を比較した。その結果,1.予防歯科受診者群の喪失歯の総計は91本,対照群では189本であり,予防歯科受診者群の歯の喪失は,対照群の約48%に抑えられていた。2.年代別では40,50歳台,歯種別では前歯部,特に下顎前歯部で,予防歯科受診者群の喪失歯数が抑えられていた。3.6年間の予防歯科受診者群の平均来院回数は対照群の約1.7倍であった。また,対照群と比較して,歯周外科処置の割合が少なかった。以上のことから,術者による徹底した歯口清掃を定期的に行う予防歯科診療は,歯周病罹患歯の保存に有効であることが示された。
著者
西川 真理子 西 一也 川野 留美 山本 啓子 小林 洋子 原田 由加 渡邊 達夫
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.682-688, 1992-10-30 (Released:2010-10-27)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

The purpose of this study was to evaluate the plaque removal effect of a dentifrice containing granulated zeolite. Fifteen volunteers, who were nurses, dental hygienists and dentists between the ages of 21 and 42 years participated in the experiments. Following professional toothbrushing, the subjects refrained from toothbrushing for 3 days. Then daily professional toothbrushing was performed by trained dental hygienists with the experimental dentifrice for 5 days. No oral hygiene procedure was performed for 3 days after the first clinical trial. The second trial with the control dentifrice was done for 5 days. During each trial, the subjects stopped all personal oral hygiene procedures. The plaque removal effect was evaluated using plaque scores before and after toothbrushing. At 24 and 72 hours after toothbrushing, the inhibitory effect on plaque formation was calculated. The results showed that the experimental dentifrice was significantly more effective in removing plaque on the lingual surfaces and gingival margins and the interproximal gingival margins of the teeth than the control dentifrice. Significant difference was also found between the two dentifrices in removing plaque in pits on the occlusal surfaces. There was no significant difference in the inhibitory effect of the two dentifrices on plaque formation. This suggests that the dentifrice containing granulated zeolite improved the effect of toothbrushing. A questionnaire survey indicated that many subjects preferred the dentifrice containing granulated zeolite. No clinical side effects were observed in the two dentifrices.
著者
森田 学 西川 真理子 石川 昭 木村 年秀 渡邊 達夫
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.158-163, 1997-04-30
被引用文献数
8

つまようじ法とフロッシングを併用したバス法の2種類の刷掃法について,歯肉炎に対するマッサージ効果を比較した。実験的歯肉炎を有する24名の男子学生を対象とした。各被験者の上下顎を左右に2分割した。それぞれランダムに,一方をつまようじ法で刷掃する部位,残りの2分の1顎をバス法で磨き,かつデンタルフロスで清掃する部位とした。以降,歯科医師が毎日1回,21日間,染色された歯垢が完全に取り除かれるまで,被験者の口腔内を清掃した。刷掃方法の割付を知らされていない歯科医師が,歯周ポケットの深さ(PD)とプロービング時の出血(BOP)を診査した。また,上顎第1小臼歯の頬側近心歯間乳頭と頬側中央部の遊離歯肉の上皮の角化程度を,パパニコロ染色法により判定した。その結果, 1. 21日後には,つまようじ法で刷掃した部位のBOP値が,バス法とデンタルフロスで清掃した部位の値よりも有意に低かった。2. つまようじ法で刷掃した歯間乳頭部のみ,ベースラインと比較して,21日後には角化細胞数の割合が有意に増加した。3. 歯垢が完全に除去されるまでに要した時間では,つまようじ法の場合は,バス法とデンタルフロスを併用した場合の約70%であった。以上の結果から,つまようじ法はデンタルフロスを併用したバス法と比較して,短時間で,より有効なマッサージ効果を得られる可能性が示唆された。