著者
大江 準三 西川 訓利
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J89-B, no.9, pp.1569-1579, 2006-09-01

最近の自動車開発では,ITS(Intelligent Transport Systems)技術と総称されるように自動車の基本機能である「走る」「曲がる」「止まる」の高度化のみならず,環境適応性能や安全性能などの社会と高度に共存するための技術開発が進められ,更なる機能の進化を遂げている.その中でも情報通信技術いわゆるIT(Information Technology)は,ITS技術を実現するための不可欠な中核技術として位置づけられ,今や自動車の4番目の基本機能として「つながる」機能が定義されるまでに至っている.また,移動体である自動車での情報通信は無線が主体であり,情報の取込み口としての車載アンテナ技術は「つながる」機能を支える重要な中核要素をなしている.本論文では,車載アンテナ技術の変遷や動向について述べるとともに,自動車の意匠との整合性を保ちながらアンテナ性能を高めるといった特徴的な性能課題への取組み状況などにも触れながら,その技術概略についても述べてみたい.
著者
佐藤 和夫 西川 訓利 鈴木 徳祥 小川 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.892-900, 1996-11-25
被引用文献数
75

人体近傍に置かれた携帯無線機用アンテナの特性をFDTD法を適用して解析し,アンテナが人体から受ける影響を明らかにする.解析モデルは人体頭部と携帯無線機を握る手からなる人体モデル,および金属きょう体に取り付けられたアンテナから構成される.本解析モデルを用いて計算した結果は実験値とよく一致し,人体モデルの影響を含めて携帯無線機用アンテナの特性を精度良く解析できることを示した.この解析モデルを用いて,携帯電話,およびPHSの周波数帯において,携帯無線機に取り付けられたλ/4モノポールアンテナおよび平板逆Fアンテナの特性を計算した.その結果,放射効率は人体モデルの影響を大きく受け,45%以下にまで劣化することがわかった.更に,人体モデル頭部の形状や携帯無線機を握る手の位置が放射効率に与える影響を明らかにし,アンテナの種類によって人体から受ける影響が大きく異なることを示した.