著者
西本 真弓 七條 達弘
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
no.40, pp.37-49, 2007-05

我が国では,近年,未婚化や晩婚化,非婚化の進行が大きな社会問題となってきている。しかし,「一生結婚するつもりはない」と考えている未婚者はそれほど増加していないことから,未婚者の結婚意欲の変化が未婚化,晩婚化,非婚化の主たる要因とはいえない。そこで本稿では特に男性に注目し,結婚確率に影響を与える要因を明らかにすることを分析目的とする。推定には,総務省統計局が1986年,1991年,1996年に実施した『社会生活基本調査』の個票データを用いている。被説明変数に,既婚を1,未婚を0とする結婚ダミーを用い,プロビット分析を行った。推定結果から,非就業男性は,大企業の事務職と比較して結婚確率が50%以上減少することが明らかとなった。我が国の未婚男性における完全失業者やニートは増加傾向にあることから,結婚確率を上昇させるためには,失業者やニートを減少させるような対策が必要といえる。また,会社団体役員,管理職,そして商店主,工場主,サービス・その他の事業主,保安職は結婚確率が高いという結果が得られた。こうした収入が高く,安定している職業では結婚確率が高くなることが示されたといえる。
著者
西本 真弓 吉田 あつし
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.221-233, 2009 (Released:2010-05-26)
参考文献数
19
被引用文献数
1

療養病床には医療保険適用の医療療養病床と介護保険適用の介護療養病床の2タイプがあり,前者には医療の必要性が高い患者を,後者には医療の必要性が低い患者を受け入れることを目的としている。本稿では,どんな患者がどちらの入院サービスを受けているかを,ある療養病床を有する病院のデータを用いて検証した。 分析の結果,以下のことが明らかとなった。(1)要介護度が2以下の場合,介護療養病床を選択する確率が3割強減少する。(2)患者が1級または2級の身体障害者手帳を所持している場合,介護療養病床を選択する確率が25%前後減少する。(3)入院回数や脳血管疾患や心疾患によってあらわされている患者の入院時の健康状態は,療養病床の選択に有意に影響しない。いずれの保険も原則的に包括払いを採用し,要介護度が高い患者が介護療養病床を利用した時の報酬は医療療養病床を利用した時の報酬よりも高くなる。分析結果は,保険からの報酬の大きさによって病床が選択されていることを意味している。患者の健康状態にはほとんどかかわらず,介護保険からの報酬が医療保険よりも大きい場合は,介護療養病床が使われる。1級または2級の身体障害者手帳を持つ患者は,医療費自己負担分が地方自治体から助成されるので,医療保険が適用される医療療養病床を選択する。病院の場合も患者の場合も,経済的インセンティブが病床の選択に影響を与えているといえる。
著者
七條 達弘 西本 真弓
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.229-236, 2003-09-30 (Released:2009-01-20)
参考文献数
14

近年、我が国では少子化が急速に進行している。国立社会保障・人口問題研究所の『日本の将来推計人口―平成13(2001)~62(2050)年―』(2002)では、出生力低下の主な原因として、有配偶率の低下に加え、若い世代の夫婦における出生児数の減少が新たに認められている。 そこで本稿では、若い世代の夫婦がどのような要因により子供数を決定するのかについて明らかにすることを分析目的としている。推定には、総務省統計局が1996年に実施した『平成8年 社会生活基本調査』のうち、妻が20歳以上40歳未満のサンプルを用い、若い世代の夫婦において子供数を減少させる要因について考察する。 推定結果から、若い世代の夫婦が、非就業あるいは就業時間が比較的短い母親と同居している場合に子供数が多くなる傾向があることが示された。よって、家事や育児に関する外部サービスの充実が子供数上昇を促すと考えられる。
著者
西本 真弓
出版者
阪南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では、出産・育児と就業の両立を図るためにはどのような制度が必要とされているのかを明らかにするため、育児休業取得後の復職率を高める要因は何かを分析した。具体的には復職率が高い企業で導入されている制度や職場環境を明らかにし、復職率を高める要因を検証した。また、配偶者出産休暇制度や子の看護休暇制度にも注目して、これらの制度を有効に機能させるために必要なことは何かを検証し、男性の育児参加も視野に入れた分析を試みた。