著者
札野 順 飯野 弘之 山本 凉市 堀 幸夫 松原 洋 LUEGENBIEHL Heinz 西村 秀雄 HEINZ Luegenbiehl CLARK Scott
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.高等教育や企業などの違いを越えて、倫理教育・研修を行う上で、Plan-do-check-actといういわゆるPDCAサイクルを持った「価値共有プログラム」という概念が有効であることを提案した。2.「Ethics across the Curriculum(以下EAC)」、すなわち、カリキュラムを通して行う科学技術倫理教育の可能性に関して総合的な検討を行ない、1)金沢工業大学が平成16年度から実践するカリキュラムの具体的内容、2)EACの歴史、理論、応用、評価、3)倫理教育を専門科目と統合する方法とその問題点、4)技術者教育と人文科学を再統合する試み、6)大学全体での倫理に関する測定と評価を行う方法、8)倫理的ジレンマ解決能力の測定と評価の方法、などに関する具体的な成果を挙げた。3.原子力産業に関連する企業、研究組織などを中心に、技術者や研究者が持つ「価値」群を明確化するためのアンケート調査を実施した結果、学協会が示す価値群と優先順位などについて差があることがわかった。4.実効性のある企業倫理プログラムに不可欠な要素(倫理綱領、トップのコミットメント、教育・研修、ヘルプラインなど)を抽出した。5.技術倫理教育のための教材を開発し、教科書および視聴覚教材を作成した。(平成16年度開講の放送大学科目「技術者倫理」)6.科学技術倫理プログラムを構築する上で、今後、最大の課題となるのは、プログラムの実効性を測定する手法であることを確認し、具体的なツールとして、学習者のベスト・ワーク登録するe-portfolioや倫理的価値判断能力を測定するための手法ethics rubricなどの有効性について検討した。7.今後、科学技術倫理を国際的・学際的に研究するための組織、Ethics Crossroads Centerの基本構想を練り上げた。
著者
西村 秀雄
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.194-197, 1989-09-05 (Released:2017-02-10)

プトレマイオスの地球中心体系(いわゆる天動説)は,精度の良い,すぐれた宇宙体系であった。これには,今日から見て次の二つの理由があると考えられる。第一に,プトレマイオスの地球中心体系は,地球を座標の基準として実は太陽中心体系を書き換えたものとなっていること,第二に,プトレマイオスが採用した「エクァント」というメカニズムは,諸惑星の運動に関するケプラーの第二法則を近似するものとなっていること,である。本稿では,これらの点を明らかにし,あわせて,先に足立武氏が本誌第36巻第3号において提唱された「Ωポイント」がこのエクァントにあたることを示す。
著者
西村 秀雄
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.28, no.170, pp.99-105, 1989 (Released:2021-09-01)

In this paper, the author attempts to clarify to what extent the coordinate relations theoretically hold among the Copernican, the Tychonian, and the Ptolemaic world systems as they are compared by means of simplified models consisting of combined uniform circular motions. The results are: (1) Concerning the apparent positions and movements of the planets against the celestial sphere, there can be exact coordinate relationships among the three systems. (2) Concerning the distance from the observer, the visual size and brightness, and the phase of the planets, any of these systems can give satisfactory accounts of the phenomena observed with the naked eye, although exact coordinate relationships in these respects do not quite hold among the three systems. From the above, the present author concludes that the naked eye observations before the telescopic ones could not have established the superiority of the Copernican system over the others. The author also presents a new interpretation concerning A. OsianderJs description of the changes in brightness of Venus given in his Foreword to De Revolutionibus, and points out some of the related errors made in the recent historical investigations of the world systems.
著者
西村 秀雄
出版者
社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金屬學會誌 (ISSN:03694186)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.8-18, 1937-05-20 (Released:2008-11-13)
参考文献数
8
被引用文献数
4 1

The constitutions of the Al-rich alloys containing Cu and Mg were investigated by means of thermal analysis and microscopic examination. ation. From various constitutional sections taken as constant in Al-content or taken through the Al axis, the following conclusions were drawn: (1). In a range of Cu 50% and Mg 40%, the primary separations are (Al), CuAl2, S, T, β and X, where S and T being in equilibrium with (Al), denote ternary compounds Al13Cu7Mg8 and Al5CuMg4 respectively, β is an intermediate phase existing between Al and Mg and X is an unknown phase not determined in this investigation. (2). The ternary compounds Al13Cu7Mg8. and Al5CuMg4 were found to exist. (3). The uni-variant reaction lines were found to be: -Liq_??_(Al)+CuAl2, Liq_??_(Al)+S, Liq_??_(Al)+T, Liq_??_(Al)+β, Liq_??_CuAl2+S, Liq+T_??_S, Liq+X_??_S, Liq+X_??_T, Liq_??_T+β, and the in-variant points were; Liq (Al)+CuAl2+S, at 500°, Liq_??_(Al)+T+β, at 447°, Liq+S_??_T+(Al), at 465°, and Liq+X_??_S+T, at 525°. (4). It is concluded that the natural ageing of Duralumin and 24S-type Super-Duralumin is mainly concerned with the solid solubilily change of S-compound and CuAl2 or that of S-compound in Aluminium.
著者
栃内 文彦 札野 順 西村 秀雄 岡部 幸徳 金光 秀和 夏目 賢一 金 永鍾 デイビス マイケル プール イボー・ファン・ダ ピーターソン マーティン ニッケル フィリップ バーグ ポール・ファン・デン ワグナー-ツカモト シグモンド
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

社会のグローバル化を十分に踏まえた技術者倫理教育のための教材開発に資するべく、日・米・蘭の三カ国で技術者の価値観についての実証的比較研究を行ない、以下の成果を挙げた:1)「ソーラーブラインド(英語吹替版)」を用いたケースメソッド型の事例教材パッケージの開発、2)「技術者が重視すべき価値がモノづくりの現場においてどの程度重視されているか」に関する、日・米・蘭の工科系大学で学ぶ学生間における認識の違いの明確化、3)技術者倫理教育・研究ネットワークの拡大、4)現在行なっている技術者倫理教育のための教材開発への貢献、5)モノづくりにおけるアジア・イスラム的価値観に関する調査・研究の基盤構築。

1 0 0 0 OA 奇形と発癌

著者
西村 秀雄
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, 1973-06-25

催奇形性と発癌性とは,その始発過程に細胞の増殖の異常が与かるとの点で共通している.両者の関連を示す事実として,第一に同一の個体に奇形と癌とが合併する事例がある(類表皮肺癌とLungculdeSaC;ウイルムス腫瘍と虹彩欠損及び半身肥大症:神経線維腫と過誤腫;白血病とダウン症候群).第二に催奇形性と発癌性とを共に有する幾多の要因として放射線,アルキル化剤,アゾ色素,カルバミン酸塩,女性ホルモンなどがあり,第三に胎生期に適用され,出生後に発癌をきたす若干の要因が知られてきた.即ちヒトでは放射線による白血病の頻度の上昇,合成女性ホルモンによる膣癌の発現,実験動物では胎生後半期に適用された1.2.5.6.-dibcmzan-thracene.benzopyrene.アゾ色素たる1.2.-diethyl-hydrazineなど,ウレタン,Nーニトロソ化合物などがある.このようにある種の発癌物質に対する胎児の感受性が高いという事実は,発癌性環境要因の場合にこのことが起こるとの懸念を抱かしめるものである.しかし一方発癌性と催奇形性との平行関係を示さない幾多の要因がある.例えば一定の多環炭化水素,メチルニトロザニリン,エチオニン,わらびは発癌性は示すが催奇形性は明確ではなく,一方発癌性をほとんど示さない催奇形物質として,サルドマイド・アミノプラリン・コルヒチン・ニコチン抗けいれん剤などがある.この点については催奇形性に個有であるとみられる次記が考慮されるべきであろう.第一に作用の標的部位が母体,胎膜及び胎児組織からなる母児複合体であって,より混み入った過程が起こりうること,第二に胎児の発生段階の関与が目立っていること,第三には奇形を始発させる代謝の変調が多くは(細胞遺伝学的異常に該当するものは除かれる)一過性に留まること,つまり異常な過程が起こつ続けている腫瘍細胞にあたるものは求め難いことである.