著者
西林 仁昭
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

窒素ガスと水からの触媒的アンモニア生成反応が極めて効率的に進行することを明らかにした。この反応ではSmI2を還元剤として利用する必要があった。電気化学反応を適用し、反応に使用したSmI2の使用量を低減することができれば、実用化が可能になる。SmI3からSmI2への還元反応を検討したところ、イオン性液体を電解質として存在させた電気化学的還元手法を用いることで、SmI2が82%収率および81%ファラデー効率で得られることを明らかにした。本手法でSmI3から得られたSmI2を還元剤として利用した触媒的アンモニア生成反応を検討したところ、触媒当たり最高48当量のアンモニアが生成することが確認できた。
著者
西林 仁昭
出版者
錯体化学会
雑誌
Bulletin of Japan Society of Coordination Chemistry (ISSN:18826954)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.49-55, 2018-05-31 (Released:2018-08-24)
参考文献数
22

This paper describes our recent progress in catalytic nitrogen fixation by using transition metal-dinitrogen complexes as catalysts. Novel reaction systems for the catalytic transformation of molecular dinitrogen into ammonia and hydrazine undermild reaction conditions have been achieved by the molybdenum-, iron-, cobalt-, and vanadium-dinitrogen complexes as catalysts. New findings presented in this paper may provide a new approach to the development of economical nitrogen fixation in place of energy-consuming Haber-Bosch process.
著者
西林 仁昭 中島 一成 吉澤 一成 坂田 健
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究代表者らがこれまでに達成した知見を踏まえて、「温和な反応条件下でのアンモニア合成反応法の開発」と「温和な反応条件下でのアンモニアの分解反応の開発」に取り組んだ。前者では、トリホスフィン(PPP)型三座配位子やPCP型ピンサー配位子を持つ窒素架橋2核モリブデン錯体を設計・合成し、それらを触媒として利用した触媒的アンモニア生成反応を検討した。その結果大幅な触媒活性の向上を達成した。後者では、フェロセニルジホスフィンを配位子として有する窒素架橋2核モリブデン錯体の設計・合成に成功し、酸化還元による架橋窒素分子の窒素―窒素三重結合の開裂及び再結合を可逆的に制御できることを見出した。