著者
佐藤 洋一郎 伊藤 敏雄 加藤 鎌司 河原 太八 藤岡 利生 万年 英之 鞍田 崇 西田 英隆 細谷 葵
出版者
総合地球環境学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

「人類世」という新しい地質年代を提唱されているが、これは産業革命以降の急速なエネルギー消費により、人間活動が地球環境に大きな影響を及ぼすようになったことを、地質学的にも記述すべきとの判断による。しかし、環境の歴史を丁寧に調査すると、人間活動の影響は産業革命のはるか前から、われわれの想像を超えてはるかに大きかったことがわかってきた。
著者
艾爾肯 牙生 加藤 鎌司 明石 由香利 Nhi Phan Thi Phuong Halidan Yikeremu 田中 克典 龍 波 西田 英隆 龍 春林 Wu Min Zhu
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.52-65, 2011
被引用文献数
18

中国新疆ウィグル自治区のハミウリは <i>cassaba</i>, <i>chandalak</i>, <i>ameri</i> および <i>zard</i> の 4 変種に分類されているが,その遺伝的多様性についてはほとんど研究されていない.そこで,ハミウリおよび近隣地域の在来品種を含むメロン 120 系統を供試して,遺伝的多様性ならびに類縁関係を解析した.ハミウリ 24 品種の種子長はいずれも 9 mm 以上であり,欧米のフユメロン変種と同じく大粒系に分類され,中国東部のマクワ・シロウリ(小粒系)とは明瞭に異なった.一方,イラン,アフガニスタン,パキスタンおよび中央アジア諸国では,大粒系および小粒系の両者が混在していた.PS-ID 領域(<i>Rpl16-Rpl14</i>)の SNP(一塩基多型)および ccSSR7 マーカーにより葉緑体ゲノムの塩基配列多型を解析した結果,供試したメロン品種が 3 種類の細胞質型(母系)に分けられること,そしてハミウリの細胞質型(T/338bp 型)が欧米のフユメロン品種(T/333bp 型)と異なることが明らかになった.一方,RAPD および SSR マーカーを用いた核ゲノムの多様性解析では,ハミウリの多様性指数(D = 0.243)が他地域の在来メロンより低いことが判明した.系統間での遺伝的距離に基づくクラスター分析の結果,ハミウリのうち果実の貯蔵性に優れる <i>ameri</i> 変種および <i>zard</i> 変種のほとんどが第 2 クラスターに分類されたことから,両変種は遺伝的に分化していないと考えられた.一方,早熟で果実の貯蔵性が悪い <i>chandalak</i> 変種は第 4,第 6 クラスターに分類され,上記 2 変種とは遺伝的に分化していることが判明した.第 2 クラスターには他地域のメロン 12 系統も含まれたが,このうちトルクメニスタンおよびアフガニスタンのメロン 3 系統がハミウリと同じく大粒系(種子)で T/338bp 型(細胞質)であったことから,ハミウリが西方から導入されたと考えられた.これに対して,中国東部のマクワ・シロウリは小粒系,A/338bp 型であり,また核ゲノムの解析でも第 1~第 9 クラスターから遠く離れた第 10 クラスターに分類されたことから,ハミウリとは別起源であることが示された.<br>