著者
佐藤 洋一郎 伊藤 敏雄 加藤 鎌司 河原 太八 藤岡 利生 万年 英之 鞍田 崇 西田 英隆 細谷 葵
出版者
総合地球環境学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

「人類世」という新しい地質年代を提唱されているが、これは産業革命以降の急速なエネルギー消費により、人間活動が地球環境に大きな影響を及ぼすようになったことを、地質学的にも記述すべきとの判断による。しかし、環境の歴史を丁寧に調査すると、人間活動の影響は産業革命のはるか前から、われわれの想像を超えてはるかに大きかったことがわかってきた。
著者
田中 克典 加藤 鎌司 山本 悦代 大庭 重信
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では果実形質が選抜されていたことを検討するために,果肉色(CmOr)や果実の酸味(CmPH)に関連する遺伝子についてDNAマーカーを開発するとともに,それらのマーカーを用いてメロン種子遺存体を分析した.分析により,メロン種子遺存体の解析によって,近世の商業都市である大坂城・城下町ではメロン仲間の選択において酸味や果肉色に好みがあったこと,それらのメロン仲間が日本在来のマクワやシロウリと関連があることを示していたことがわかった.今後,作物への嗜好と選抜との対応,これに関わる社会や政治的背景を研究するため,これらDNAマーカーを幾つかの時代のメロン種子遺存体に適用する.
著者
艾爾肯 牙生 加藤 鎌司 明石 由香利 Nhi Phan Thi Phuong Halidan Yikeremu 田中 克典 龍 波 西田 英隆 龍 春林 Wu Min Zhu
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.52-65, 2011
被引用文献数
18

中国新疆ウィグル自治区のハミウリは <i>cassaba</i>, <i>chandalak</i>, <i>ameri</i> および <i>zard</i> の 4 変種に分類されているが,その遺伝的多様性についてはほとんど研究されていない.そこで,ハミウリおよび近隣地域の在来品種を含むメロン 120 系統を供試して,遺伝的多様性ならびに類縁関係を解析した.ハミウリ 24 品種の種子長はいずれも 9 mm 以上であり,欧米のフユメロン変種と同じく大粒系に分類され,中国東部のマクワ・シロウリ(小粒系)とは明瞭に異なった.一方,イラン,アフガニスタン,パキスタンおよび中央アジア諸国では,大粒系および小粒系の両者が混在していた.PS-ID 領域(<i>Rpl16-Rpl14</i>)の SNP(一塩基多型)および ccSSR7 マーカーにより葉緑体ゲノムの塩基配列多型を解析した結果,供試したメロン品種が 3 種類の細胞質型(母系)に分けられること,そしてハミウリの細胞質型(T/338bp 型)が欧米のフユメロン品種(T/333bp 型)と異なることが明らかになった.一方,RAPD および SSR マーカーを用いた核ゲノムの多様性解析では,ハミウリの多様性指数(D = 0.243)が他地域の在来メロンより低いことが判明した.系統間での遺伝的距離に基づくクラスター分析の結果,ハミウリのうち果実の貯蔵性に優れる <i>ameri</i> 変種および <i>zard</i> 変種のほとんどが第 2 クラスターに分類されたことから,両変種は遺伝的に分化していないと考えられた.一方,早熟で果実の貯蔵性が悪い <i>chandalak</i> 変種は第 4,第 6 クラスターに分類され,上記 2 変種とは遺伝的に分化していることが判明した.第 2 クラスターには他地域のメロン 12 系統も含まれたが,このうちトルクメニスタンおよびアフガニスタンのメロン 3 系統がハミウリと同じく大粒系(種子)で T/338bp 型(細胞質)であったことから,ハミウリが西方から導入されたと考えられた.これに対して,中国東部のマクワ・シロウリは小粒系,A/338bp 型であり,また核ゲノムの解析でも第 1~第 9 クラスターから遠く離れた第 10 クラスターに分類されたことから,ハミウリとは別起源であることが示された.<br>
著者
加藤 鎌司 山下 俊二
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.475-484, 1991-09-01
被引用文献数
6

コムギの出穂期は日長反応性,低温要求性及び純粋早晩性の3要因によって決定される複合形質であるから,その育種に際してはこれら3要因が出穂期にどのように関与しているかを明らかにする必要がある.またこのためには各要因を他の要因と切っ離して評価する必要がある.そこで研究では,日長反応性の評価法について検討するとともに,秋播き栽培したコムギ品種の圃場出穂期と上記3要因との関係を検討した.在来コムギ158品種(Tab1e1)を供試し,高知大学附属農場に1983年11月15日に播種し,出穂期を調査した.また全日長条件下での催芽後止葉展開迄日数(Dof)を一定値にする最短の低温処理期間によって低温要求性を評価した.純粋早晩性及び日長反応性の調査に際しては,低温処理により完全に春化した後12時間及び24時間の両日長条件で栽培し,24時間日長条件下でのDofにより純粋早晩性を,また日長の違いによるDofの変化により日長反応性を評価した.なお,後者のための指標として長・短日条件下でのDofの差及び比の2種類を用いた.出穂期には4月13日〜5月18日の,低温要求性にはO日〜80日の,そして純粋早晩性には27.6日〜49.8日の品種問変異が,それぞれ存在することが明らかになった(Fig.3).また日長反応性については,10.3日〜103.1日(差),もしくは!.30〜3.51(比)の品種間変異が認められた(Fig.3).