著者
立花 誠 大久保 範聡 勝間 進 諸橋 憲一郎 菊池 潔 長尾 恒治 深見 真紀 田中 実 宮川 信一
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本研究領域では「性スペクトラム」という新たな概念のもとに、性を再定義することを目指す。領域の全ての研究者が「性はこれまで言われれてきたような二項対立的なものではなく、連続的な表現型である」という視点を共有し、上記の領域目標の達成にむけて研究を推進する。このような目標のもとで、本領域では領域代表の下に総括班を置き、領域活動をサポートしていく2020年9月25日から10月23日にかけて、自己紹介を兼ねた公募班員のセミナーを開催した。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、オンラインでの発表となった。9月25日、10月2日、16日、23日の4日間で、全16名が研究発表を行った。活発な議論が交わされ、オンラインにもかかわらず大いに盛りあがった。2020年12月21日(月)から23日(水)までの3日間、東京農業大学世田谷キャンパスにて、新学術領域研究「配偶子インテグリティの構築」・「全能性プログラム:デコーディングからデザインへ」合同公開シンポジウムが開催され、立花が特別講演を行った。2021年3月25日(木)と26日(金)の2日間、第4回領域会議をオンラインにて開催した。本会議では、計画研究の研究代表者・分担者のほか、班友の3名、そして新たに公募研究班に加わった研究者1名も研究発表を行った。また、領域外からも講師1名を招き、ショウジョウバエ類の性染色体進化に関してご講演をいただいた。対面方式での会議の開催が叶わなかったが、非常に活発な議論が交わされ、各班員が順調に成果を上げていることを確認した。
著者
諸橋 憲一郎
出版者
岡崎国立共同研究機構
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本研究は生殖腺や副腎皮質などのステロイドホルモン産生組織の形成機構を明らかにすることを目的に行われた。主に核内レセプター型転写因子であるAd4BP/SF-1とDax-1の相互関係を明らかにすることに主眼をおいた。結果として、Dax-1遺伝子の転写がAd4BP/SF-1によって活性化されることが明らかになった。またこの活性化がDax-1遺伝子上に存在するAd4配列によるものであることが証明された。しかしながらこれらの結果はin vitro系で得られたものであったため、このような調節が生体内で機能していることを示すことが重要であると思われた。そこでAd4BP/SF-1遺伝子のハクアウトマウスを用い、Dax-1の発現を調べたところ脳下垂体と視床下部における発現は消失していた。この結果は生体内においてもAd4BP/SF-1はDax-1遺伝子の主要な転写因子として機能していることを示すものであった。一方、Dax-1はAd4BP/SF-1の転写活性に対し抑制的に働くことをP450SCCとP45011β遺伝子を用い明らかにしてきた。従って、Ad4BP/SF-1はステロイドホルモン産生に不可欠な遺伝子の転写を活性化するとともに、自らの転写抑制因子の転写を活性化していることになる。このような調節系は微妙な転写調節を可能にするものであると推測される。生体内においてAd4BP/SF-1により発現調節を受ける遺伝子はいずれも組織の特異性を規定するものが多く、その発現量は精密に調節される必要がある。Ad4BP/SF-1とDax-1による一見複雑とも思われる調節系が、このような精密な調節を可能にしているものと思われる。
著者
諸橋 憲一郎
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

核内受容体型転写因子であるAd4BP/SF-1は副腎皮質における各種遺伝子の転写を通じ、細胞の分化と機能維持に重要な機能を担っている。この因子の機能を通じ細胞が分化するにあたっては、クロマチン構造の制御を通じ、機能するエンハンサーが選択ならびに変換されるはずである。本研究では副腎皮質を対象として、Ad4BP/SF-1ならびにヒストン修飾を認識する抗体を用いたクロマチン免疫沈降法と大容量シークエンスをおこなった。その結果、Ad4BP/SF-1が遺伝子近傍または内部に存在するエンハンサーに結合することで解糖系遺伝子を制御していることが明らかになった