- 著者
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谷川 浩隆
- 出版者
- 一般社団法人 日本農村医学会
- 雑誌
- 日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.4, pp.643-647, 2007 (Released:2007-12-14)
- 参考文献数
- 8
近年の高齢化社会に伴い特に農村部では四肢体幹に疼痛をきたす運動器の変性疾患が増加している。厚生労働省の国民生活基礎調査によると有訴者の1~3位までは腰痛,肩こり,関節痛という運動器疼痛に独占されている1)。筋骨格系などの運動器疼痛をきたす疾患には加齢に伴う変形性脊椎症や関節症などの変性疾患や骨粗鬆症,関節リウマチや痛風,頸肩腕症候群などがあげられる。これらの疾患による疼痛では,時に心理社会的要因がからみ抑うつなどの精神症状が加わり症状を複雑にしていることがある。これに対し運動器疾患を治療する整形外科ではまだ決して心身医学が普及しているとはいえない。二次性線維筋痛症による運動器疼痛に対して心身医学的アプローチが有効であった症例を報告し,整形外科領域における心身医学の現状について考察した。