著者
米田 佳弘 藤田 種美 中原 紘之 金子 健司 豊原 哲彦
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.45-54, 2008 (Released:2008-01-23)
参考文献数
27
被引用文献数
2

大阪湾の人工護岸上の高密度にウニ類が生息している藻場において,3 年間にわたりウニ類の密度を人為的に調節した実験区で海藻群落の年間生産量を推定した。ウニ類の現存量が大きくなるほど海藻の全生産量も大きくなり,現在のウニ生息量の約 2 倍(2000 g 湿重/m2,60 個体/m2)でも海藻群落は維持された。このことから,大阪湾の人工護岸上の藻場では,ウニ類の摂食圧が増大すると海藻の生産量も同時に増大し,磯焼けとはならずに,海藻群落を維持しながらウニ類が高密度で共存できることが明らかとなった。
著者
成田 光好 大鹿 淳也 豊原 哲彦 岡本 信行 白山 義久
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.131, no.12, pp.634-638, 2015-12-01 (Released:2016-01-01)
参考文献数
9
被引用文献数
2

Japan Oil, Gas and Metals National Corporation (JOGMEC) conducted the Environmental Impact Study research from 2008 fiscal year under contract to the Ministry of Economy, Trade and Industry (METI) for the commercialization of Seafloor Massive Sulphide (SMS). It is necessary to consider the potential impacts of mining on the surrounding environment and to promote the project for long-term perspective. Particularly, because the specific chemosynthetic ecosystem and the unique biological communities exist around the hydrothermal area, the quantitatively evaluations of the environmental impacts and the conservation measures of biodiversity to avoid or reduce the effects on them as much as possible is required. The environmental assessment programs consist of baseline survey, environmental impact modeling, and the methodological concepts that will be applied to conserve biodiversity. In this paper, we will introduce the review of the project during 2008-2012 and the future prospects of EIA project for SMS mining.
著者
豊原 哲彦 仲岡 雅裕 土田 英治
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus : journal of the Malacological Society of Japan (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.27-36, 2001-06-30

岩手県大槌湾の海草藻場において, 本州以南では初記録となるキタノカラマツガイの生活史と個体群動態について調査した。野外調査は1995年10月から1996年11月までおよそ一ヶ月または一ヶ月半おきに行われた。貝はアマモとタチアマモの各群落からかぶせ網で定量的に採集された。海草の葉上に付着する卵塊の観察により, キタノカラマツガイの卵塊は11∿22個の卵が入ったカプセル型であり, 卵はプランクトン幼生期を経ずに底生発生することが示唆された。キタノカラマツガイの繁殖期は初夏であり, 寿命は一年であった。新規加入により5月から6月にかけて個体群密度が急激に増加し, 夏期は比較的高い密度が保たれているが, 8月から10月にかけて著しく減少した。密度の増加はアマモとその付着藻類の豊富な時期と一致しており, また密度の減少はアマモと付着藻類の減少と一致していたことから, 生息場所や餌量が個体数の制限要因になっていることが推察された。特に密度の減少期には個体の成長が停滞していたため, 餌不足が個体数減少の重要な要因であると考えられる。タチアマモ上の個体群密度はアマモ上に比べ年間を通して低く, また新規加入がタチアマモではほとんど見られなかったことから, キタノカラマツガイは生息場所としてタチアマモよりもアマモの方を好むことが示唆された。生息場所の選択に関しては海草2種の群落構造の違いが影響を及ぼした可能性がある。例えば, 平面的な形態的特徴を持つ本種にとって, 一年を通して茎部が少なく平たい葉が優占するアマモの方が付着基質として優れていること, また笠貝は一般に移動力が小さいため, 株密度が低く間隙の多いタチアマモ群落よりもより連続的に分布するアマモ群落の方が生息に好条件であることなどが考えられる。
著者
米田 佳弘 藤田 種美 中原 紘之 金子 健司 豊原 哲彦
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.45-54, 2008-01-15
被引用文献数
2

大阪湾の人工護岸上の高密度にウニ類が生息している藻場において,3年間にわたりウニ類の密度を人為的に調節した実験区で海藻群落の年間生産量を推定した。ウニ類の現存量が大きくなるほど海藻の全生産量も大きくなり,現在のウニ生息量の約2倍(2000g湿重/m^2,60個体/m^2)でも海藻群落は維持された。このことから,大阪湾の人工護岸上の藻場では,ウニ類の摂食圧が増大すると海藻の生産量も同時に増大し,磯焼けとはならずに,海藻群落を維持しながらウニ類が高密度で共存できることが明らかとなった。