著者
米田 佳弘 藤田 種美 中原 紘之 金子 健司 豊原 哲彦
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.45-54, 2008 (Released:2008-01-23)
参考文献数
27
被引用文献数
2

大阪湾の人工護岸上の高密度にウニ類が生息している藻場において,3 年間にわたりウニ類の密度を人為的に調節した実験区で海藻群落の年間生産量を推定した。ウニ類の現存量が大きくなるほど海藻の全生産量も大きくなり,現在のウニ生息量の約 2 倍(2000 g 湿重/m2,60 個体/m2)でも海藻群落は維持された。このことから,大阪湾の人工護岸上の藻場では,ウニ類の摂食圧が増大すると海藻の生産量も同時に増大し,磯焼けとはならずに,海藻群落を維持しながらウニ類が高密度で共存できることが明らかとなった。
著者
和久 光靖 橋口 晴穂 栗田 貴代 金子 健司 宮向 智興 青山 裕晃 向井 良吉 石田 基雄 鈴木 輝明
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-17, 2011-01-05
被引用文献数
4

顕著な貧酸素水の発生源となり周辺の浅場生態系に致命的な打撃を与えている, 埋め立て用土砂採取跡地(浚渫窪地)およびその周辺海域における酸素の消費過程を解明するため, 主たる酸素消費物質である粒子状物質の沈降フラックスを測定した。2007年6月から2007年7月の間に計4回, 浚渫窪地の内外の3測点において, 浚渫窪地上面(CDL-3.5m)と浚渫窪地海底(CDL-6.9, -6.4m)に相当する深度にセディメントトラップを設置した。懸濁態炭素の沈降フラックス(PC flux)は, 0.35〜15.3gm^<-2>d^<-1>と観測日により大きく変動し, 膨大なPC flux(9.48〜15.3gm^<-2>d^<-1>)が-6.9, -6.4m層で観測された。膨大なPC fluxの観測時には, 浚渫窪地周辺の浅海域において, 浚渫窪地から湧昇した貧酸素水に起因すると推察される底生生物の大量へい死と, そこから浚渫窪地内部への海水流入が認められた。観測されたPC fluxを上方からの沈降成分と, 水平輸送に由来する成分へ仕分けた結果, 膨大なPC fluxの観測時, 水平輸送成分は, 多いときには上方からの沈降成分の7〜11倍に相当した。これらのことから, 浚渫窪地周辺の浅海域での底生生物の大量へい死に伴い激増した粒子状物質が, 海水の流動によって浚渫窪地に輸送された結果, 膨大なPC fluxがもたらされたと考えられた。このように, 浚渫窪地は, 窪地内部の貧酸素水に起因する周辺浅海域の底生生物のへい死を招き, 浚渫窪地へ膨大な量の粒子状有機物の集積を引き起こし, 貧酸素化を加速すると示唆された。
著者
米田 佳弘 藤田 種美 中原 紘之 金子 健司 豊原 哲彦
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.45-54, 2008-01-15
被引用文献数
2

大阪湾の人工護岸上の高密度にウニ類が生息している藻場において,3年間にわたりウニ類の密度を人為的に調節した実験区で海藻群落の年間生産量を推定した。ウニ類の現存量が大きくなるほど海藻の全生産量も大きくなり,現在のウニ生息量の約2倍(2000g湿重/m^2,60個体/m^2)でも海藻群落は維持された。このことから,大阪湾の人工護岸上の藻場では,ウニ類の摂食圧が増大すると海藻の生産量も同時に増大し,磯焼けとはならずに,海藻群落を維持しながらウニ類が高密度で共存できることが明らかとなった。