- 著者
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豊満 美峰子
小宮 麻衣良
松本 仲子
- 出版者
- 日本食生活学会
- 雑誌
- 日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.2, pp.186-196, 2007 (Released:2007-11-07)
- 参考文献数
- 9
- 被引用文献数
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同一食品に対して, 情報を与えない場合と情報を与えた場合とでおいしさの印象がどのように変化するかを官能評価法により検討した。情報は, 価格, 商品名, 産地, 購入場所, 添加物, 栄養成分, 遺伝子組み換え, 栽培方法である。評価の方法は, 検査台に置いた食品について目視によりおいしさを判断することとし, 7段階の評点法で評価した。また目視による評価の信憑性を確認するため食パンとヨーグルトの2品目については実際に試食した。 1. 価格については, 調査品目数94品のうち約51%について, 無情報の場合より価格明示した場合で有意に評価の変化が認められた。高価なものは情報明示で評価が高まり, 安価なものは評価が低くなる傾向がみられた。 2. 商品名については, 調査品目数94品のうち約61%について, 無情報と商品名明示で有意差が認められた。調味料では, 「本醸造」「深層海水」「天然醸造」などの表示があるものの評価が高くなる傾向がみられた。また, 価格明示より商品名明示で評価が高くなる品目が多かった。 3. 産地については, 評価に変化がみられたものは調査品目数30品のうち約73%であった。オレンジジュースの愛媛産, チョコレートのベルギー産, りんごの青森産, 長野産のように産地が既知である品目は評価が高くなる傾向がみられた。 4. 栄養成分・添加物については, 栄養成分添加の情報は, おいしさにあまり良い影響は与えず, むしろ評価が低くなる傾向がみられた。評価が下がったのは, 調査品目数23品のうち約39%であった。 5. 遺伝子組み換えでは, 原材料が遺伝子組み換え無しと表示されているもののほうが遺伝子組み換えに関する情報が表示されていないものより情報を与えて評価が高くなる場合が若干多かった。また「減農薬」「無農薬有機」など一般に良いイメージをもたれているものは評価が高い傾向にあった。情報で評価に変化がみられたものは23品中11品48%であった。 6. 実際に試食した食パンとヨーグルトについても情報を与えることによって評価が変化し, 目視して評価した場合とほぼ同じ傾向を示した。 本調査結果から, 何らかの情報を与えると, 食品の種類や情報の種類によって評価に変化が生じることが明らかとなった。