著者
豊田 光世
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、自然環境の保全や資源管理をめぐる倫理的課題を分析し、ボトムアップの保全・再生事業を支える理念と実践プロセスを考察した。地域環境のガバナンスを考えていくうえで、風景や環境の価値認識の差異、土地所有から生じる権利や義務の問題、資源管理を支援・規制するための社会制度、地域のソーシャルキャピタル、人びとの価値観や思いなどといった視点から課題を整理していく必要がある。本研究では、新潟県佐渡市で進めた地域環境整備に向けた対話と協働の実践を通して、これらの課題について分析し、ガバナンスの推進において「多層的コモンズの包括的認識」と「プロセスと成果のオーナーシップの獲得」が重要であることを示した。
著者
豊田 光世 桑子 敏雄
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.473-479, 2011 (Released:2012-01-11)
参考文献数
16
被引用文献数
1

The idea of ecosystem services has been highlighted in order to identify a variety of benefits that human beings obtain from other life forms and to raise people's interest in conserving biodiversity. This idea helps us recognize the connection between our lives and environments and more actively participate in ecological activities. While this sort of instrumental approach to the conservation of biodiversity is particularly important for the growth of public participation, it also limits our understanding of its purposes. This paper, on the basis of field research conducted in Sado, Niigata, illustrates complex value issues involved in conserving biodiversity and discusses the importance of our kansei to uncover various values of the surroundings. As an approach for enhancing such kansei, the authors argue that multi-generational dialogue contributes to sharing different views of the participants and thereby cultivating a comprehensive perspective in environmental decision-processes.

1 0 0 0 人為と自然

著者
梶井 照陰 豊田 光世 川戸 圓 伊藤 真理子
出版者
日本箱庭療法学会
雑誌
箱庭療法学研究 (ISSN:09163662)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.63-77, 2019

箱庭療法学研究 第32巻 第1号 pp.63-77 2019年<BR>資料<BR>人為と自然<BR>シンポジスト:梶井照陰<BR>写真家/真言宗僧侶<BR>豊田光世<BR>新潟大学朱鷺・自然再生学研究センター<BR>川戸圓<BR>川戸分析プラクシス/ユング派分析家<BR>司会:伊藤真理子<BR>新潟青陵大学
著者
豊田 光世
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.247-255, 2017 (Released:2017-08-03)
参考文献数
13
被引用文献数
1

自然環境の保全を進めるうえで、多様な主体の参加と協働とはいかなる意味をもち、それらを支える合意形成とはどうあるべきなのだろうか。本稿では、新潟県佐渡市で進めてきた三つの事例を比較しながら、地域協働の保全活動推進に向けた合意形成のあり方を考察する。合意形成は、異なる意見を統合し、対立を克服するプロセスである。対立の可能性を検討するコンフリクトアセスメントから始まり、話し合いの実践、合意の形成、合意事項の実践と進む。それぞれの段階において、あるいは現場の状況に応じて、考慮すべきことが変化する。特に、「参加」というものをどのように理解するかということが、合意形成の質に大きく影響する。本稿では、市民参加の異なる捉え方を踏まえ、話し合いの場のデザインやプロセス設計の具体的考慮点と工夫を事例から分析し、協働という深い参加を実現するための合意形成に必要な視点を示す。