著者
佐川 元保 桜田 晃 芦澤 和人 前田 寿美子 中山 富雄 負門 克典 玄馬 顕一 小林 健 鳥居 陽子 竹中 大祐 丸山 雄一郎 三友 英紀 室田 真希子 梁川 雅弘 澁谷 潔 祖父江 友孝 原田 眞雄 三浦 弘之
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.351-354, 2022-10-20 (Released:2022-10-28)

日本肺癌学会肺がん検診委員会は,2022年に「肺がん検診ガイドライン」の改訂を行った.本稿では改訂に至った経過とその概要について解説する.「現行検診」に対する「推奨」は2010年ガイドラインから変化はなかった.全国的な精度管理の徹底や,国全体の死亡率減少効果への寄与度や感度・特異度の測定などに関する評価が必要である.「重喫煙者に対する低線量CT検診」は,欧米において肺癌死亡率減少効果のエビデンスが得られたが,過剰診断,偽陽性,放射線被ばくなどの不利益は無視できない.安易な導入を行って混乱する事態を避けるためには,まずは適切な「実装研究」を行うことにより,日本の社会にどのように導入することが望ましいのかを検討することが重要である.一方,「非/軽喫煙者に対する低線量CT検診」は,現在のところ有効性のエビデンスは十分でないため,それを集積することが第一に重要である.
著者
佐川 元保 中山 富雄 芦澤 和人 負門 克典 小林 健 櫻田 晃 佐藤 雅美 澁谷 潔 祖父江 友孝 竹中 大祐 西井 研治 原田 眞雄 前田 寿美子 丸山 雄一郎 三浦 弘之 三友 英紀 村田 喜代史 室田 真希子
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.929-935, 2020-12-20 (Released:2020-12-28)
参考文献数
2
被引用文献数
1

「肺がん検診の手引き」は2020年に大幅な改訂を行った.この稿では特に重要と思われる「胸部X線検診の読影医の条件」と「症例検討会の実施」に関して背景とねらいを解説する.2017年版の読影医の基準はわかりにくいという批判が多くの自治体職員から寄せられており,改訂が必要であった.2020年版では,「症例検討会等におおむね年に1回以上参加すること」を条件とするとともに,上級医には読影経験も条件とした.「症例検討会」を実施する場合の留意点に関しても併せて述べた.本稿が今後の肺がん検診の精度管理に役立つことを望みたい.
著者
塚本 徳子 角田 博子 菊池 真理 負門 克典 佐藤 博子 川上 美奈子 福澤 晶子 岡部 薫 向井 理枝 源新 めぐみ 平松 園枝 斎田 幸久
出版者
Japan Association of Breast Cancer Screening
雑誌
日本乳癌検診学会誌 = Journal of Japan Association of Breast Cancer Screening (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.239-246, 2007-10-30
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

わが国で現在乳癌検診の中心はマンモグラフィで行われているが, 高濃度乳房である閉経前女性に対して超音波検診が注目されている。超音波検診の成績は過去多くの報告があるが, 日本乳腺甲状腺診断会議 (JABTS) によりまとめられた超音波検診の要精査基準に従って精度管理され行われたシステムでの報告はまだない。われわれは技師が検査を行い, 医師がこの要精査基準に従って判定した3年間の検診成績をまとめ, この体制での乳房超音波検診の有用性について検討した。<br>乳房超音波検査延べ受診者は17,089名であり, 約90%が50歳未満であった。判定は, カテゴリー1が8,289名 (48.5%), カテゴリー2が8,183名 (47.9%), カテゴリー3以上の精査対象者が616名 (3.6%) となった。このうち73.4%にあたる452名の追跡が可能であり, 48名 (0.28%) が乳癌と診断された。手術症例46例の中で早期乳癌は37例 (80.5%) あり, そのうちマンモグラフィでは検出できなかったものは16例と43%を占めていた。<br>乳房超音波検診の診断に際し, 乳房超音波診断ガイドラインを診断基準に用いることで, 有所見率の高いと言われている超音波検査でも精査率を上げ過ぎることなく早期乳癌の検出に寄与することができた。