- 著者
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三浦 弘之
泉本 勝利
塩見 雅志
- 出版者
- 帯広畜産大学
- 雑誌
- 帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, no.3, pp.389-401, 1979-11-20
1.硫安分画およびリン酸塩分画により,ヤギミオグロビンを分離,精製した。その結果,409nmに対する280nmの吸光比で示される純度は,もっとも精製された場合で5.25であった。2.純度4.80のヤギミオグロビン画分は,セファデックスG-100およびSDS-PAG電気泳動において単一であり,7.5%ゲルPAG電気泳動において,結晶標品のブタおよびウシミオグロビンと同様に3本のバンドが認められた。これらのことから,純度5.25まで高められたヤギミオグロビンの精製純度は非常に高いと言える。3.ミオグロビンの自動酸化は一次反応であった。4.添加する還元剤(ハイドロサルファイトナトリウム)の濃度を増加させると,自動酸化の速度定数は高くなった。また還元剤を添加して還元型ミオグロビンを調製したあと10分間放置した場合でも同様であった。還元剤濃度0.04%以下で速度定数をほぼ一定にすることが出来るが,0.02%以下では確実に酸素型ミオグロビンを調製出来なかった。したがって,本研究における使用濃度は0.02%とした。5.高純度のミオグロビン(純度5.25)を用いた場合,ミオグロビンの濃度を変化させても速度定数は一定であった。6.調製時の酸素型ミオグロビンの割合を低下させると,速度定数は増加の傾向を示すが,酸素型ミオグロビンの割合が60%以上の場合は,速度定数の変動は無視できる程度であった。高割合の酸素型ミオグロビンに一定の割合で酸化型ミオグロビンを添加した場合,酸素型ミオグロビンの割合の変化に対して速度定数は一定であった。7.ミオグロビンの精製純度を高めるに従って速度定数も上昇した。これは,精製過程において,夾雑タンパク質が除去されたためと考えられる。8.純度5.25のヤギミオグロビンの自動酸化の速度定数は,0.103hr^<-1>であった(24±0.5℃,pH6.0)。これを他の研究報告と比較すると,家畜間では,ウシおよびブタより大きくウマより小さい。9.ミオグロビンの自動酸化速度の測定の際は,添加する還元剤の量,調製時の酸素型ミオグロビンの割合およびミオグロビンの精製純度を正確におさえる必要がある。