著者
天羽 薫 足利 学 山根 知子 垣之内 鈴子 魚橋 武司 堺 俊明
出版者
藍野大学
雑誌
藍野学院紀要 (ISSN:09186263)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.43-48, 2004
被引用文献数
1

摂食障害とアスペルガー障害の合併した症例の報告は,僅かしか見られない。今回我々は,重度の摂食障害とアスペルガー障害の合併(comorbidity)した症例を経験した。患者はドイツ留学を契機に摂食障害を発症し,10年余り処々の医療機関や心理カウンセリングを受けていたにもかかわらず,来院時体重は,わずか22.8kgの低体重で,生命の危機的状況にあった。入院時使用していた下剤や,腹部を締め付けていたベルトの使用を禁止し,外泊・退院のための目標体重を設定し,それを努力目標とした。その結果,入院52日目に退院できた。なお,アスペルガー障害については,DSM-IV-TRの診断基準を満たしていた。単純な指示的な入院行動療法が,効を奏したものと考えられた。
著者
橋本 美貴 廣田 彬世 松本 藍 八尾 佳代子 鎌田 由美子 足利 学 中野 博重
出版者
藍野大学
雑誌
藍野学院紀要 (ISSN:09186263)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.51-57, 2005
被引用文献数
1

若者へのエイズ予防啓発活動に重要な役割を果たす媒体に着目し,無関心期の若者に受け容れられるパンフレットを作成し,C大学1回生計82名(男性46名,女性36名)を対象として,作成したパンフレットの評価を自記式質問紙を用いて実施した。パンフレットの評価は,(1)大きさ,(2)形,(3)デザイン,(4)字の大きさ,(5)内容の分量,(6)内容の分かりやすさについて行った。結果は,(1)大きさ,(2)形,(3)デザイン,(6)内容の分かりやすさは高い評価を得た。パンフレットを読んで今後,性行為時にコンドームを使用しようと思うと答えたのは,男性95.7%,女性91.7%であった。しかし,保健所の存在,レッドリボンの認識は低く,更なる啓発活動の必要性を強く感じた。
著者
足利 学
出版者
藍野大学
雑誌
藍野学院紀要 (ISSN:09186263)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.27-33, 2001

本研究は健常成人のストレス・マネジメントに関する2つの研究から成り立っている。第1研究では,セルフ・コントロールスケジュール(Rosenbaum)を332名の健常成人に実施し,本検査の因子構造を明らかにした。因子分析の結果,本尺度は3因子20項目,すなわち消極的対処行動,気分転換対処行動,および実践的対処行動の3つの対処行動を抽出した。本検査の標準化に関しては,さらに妥当性の検証などの詳細な検討が必要であると考えられるが,わが国においてストレス対処行動を測定する尺度の一つとして有用であると考えられる。第2研究では,第1研究で得られたストレス対処行動尺度およびエゴグラム(TEG)を299名の健常成人に実施し,ストレス・マネジメントの観点から,対処行動別にストレスヘの対処方法について考察を加えた。
著者
岸田 秀樹 足利 学 木下 泰子 江副 智子 飯田 英晴
出版者
藍野大学
雑誌
藍野学院紀要 (ISSN:09186263)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.119-130, 2007

自殺現象は複雑であり,自殺のタイプに対応した多様な自殺予防戦略が必要である。そこで本稿でわれわれは,まず自殺をめぐるジレンマに起因する自殺予防の困難性を確認する。第2に,自殺者の意志や動機に基づく定義の問題を示しつつ,行為とその痕跡に基づく定義の必要性をうったえる。第3に,我が国の自殺認定が行為論的定義に基づいて,個々の死因を分類していることを示す。第4に,行為論的定義に基づいた,デュルケームによる自殺の社会的タイプ,自己本位的自殺,集団本位的自殺,アノミー的自殺,宿命論的自殺に基づいて,自殺予防のための個人への介入の可能性を探求する。最後に,地域住民自身によるヘルスプロモーションに貢献するため,予防医学モデルに基づく精神医学による自殺予防と社会政策的な社会学的自殺予防を概観しつつ,われわれのうつ病についての啓発活動と地域社会に潜在する対自殺抵抗資源の発見を目指した地域研究に言及する。