著者
岸田 秀樹 Hideki Kishida 藍野大学医療保健学部作業療法学科 Aino University Faculty of Nursing and Rehabilitation Department of Occupational Therapy
雑誌
藍野学院紀要 = Bulletin of Aino Gakuin (ISSN:09186263)
巻号頁・発行日
no.22, 2009-03-31

本稿では, 第1に, 制度的問題の解決を通して, 不審死体の届出, 死亡の種類の公的認定, 分担死体の埋葬の義務を含むプロセスが確立し, 聖六坊の防犯的役割も明確になったことを明らかにする. 第2に, 心中法度の成立により男女の情死が「相対死」という犯罪となり, 死体の裸晒しを含む, 過酷な刑罰が適用されたことを示す. 第3に, 個人単独の自殺は犯罪ではなかったが, 検使役による公的介入を招き, 死体が自殺現場に晒されたり, 公衆の面前で体表検索されたりし, 都市では自殺者の葬送儀礼と家族のケアを欠いていたことを示す. 最後にデュルケームの自殺類型論の観点から, 大坂の自殺名所であった千日墓所で, 心中法度成立後, 経済的繁栄期における相対死の流行, 飢饉時の単独自殺の増加の影響を遮断し, 自殺抑止期間が延長している成功的事実を検討し, 心中法度を背景にして聖六坊や非人番が自らの職務遂行を通して自殺予防に貢献したことを明らかにする
著者
岸田 秀樹 Hideki Kishida 藍野大学医療保健学部作業療法学科 Aino University Faculty of Nursing and Rehabilitation Department of Occupational Therapy
雑誌
藍野学院紀要 = Bulletin of Aino Gakuin (ISSN:09186263)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.75-87, 2009-03-31

本稿では, 近世都市大坂の千日墓所の死亡埋葬記録の分析に基づいて, 1)大多数の死体が火葬にされ(平均95%), 2)土葬は自殺死体を含む不審死体(犯罪者の刑執行前の死体, 身元引受人のない死体, それらが疑われる死体)に適用される少数事例であったこと(平均5%), 従って3)都市大坂の墓所の本質的機能が火葬にあり, 専門的に火葬業務に従事する職業が成立していたこと, を明らかにする. さらに死亡埋葬記録に記載された死亡語彙を「死亡の種類」(病死, 自殺, 他殺, 事故死)の定義に基づいて分類し, 自殺を含むすべての死亡の種類を含意する可能性のある行倒死について, 1)享保飢饉を契機に町奉行所への届出が聖六坊の義務となったが, 検使役が出動した期間は14年間(1758-1772)に過ぎなかったこと, 2)行倒死体は墓所の大穴に投げ込むだけの土葬にされたこと, を明らかにする.
著者
堀 寛史 杉本 明文 佐伯 武士 平山 朋子 Hori Hirofumi Akifumi Sugimoto Takeshi Saiki Tomoko Hirayama 藍野大学医療保健学部理学療法学科 藍野大学医療保健学部理学療法学科 藍野大学医療保健学部理学療法学科 藍野大学医療保健学部理学療法学科 Aino University Faculty of Nursing and Rehabilitation Department of Physical Therapy Aino University Faculty of Nursing and Rehabilitation Department of Physical Therapy Aino University Faculty of Nursing and Rehabilitation Department of Physical Therapy Aino University Faculty of Nursing and Rehabilitation Department of Physical Therapy
雑誌
藍野学院紀要 = Bulletin of Aino Gakuin (ISSN:09186263)
巻号頁・発行日
no.22, 2009-03-31

理学療法学教育において臨床実習は重要な位置づけにある. しかし, その方法論は古くから変化しておらず, 現代の教育に必ずしも適当であるとはいえない. 今回, その課題について, 研究会を設立し検討した. その結果, 「関わること」の重要性が浮かび上がり, いかにして関われるのかを明確にする必要が示唆された. 研究会では人に関わる以前に自らに関わり, それを基盤に他者と関われると考えた. それは言語的コミュニケーションのみならず, 身体的コミュニケーションの重要性を前提としている. 関わりについてケア, クリティシズム, アンガージュマンなどのキーワードを使用し説明を加えた. 最終的に言語的・身体的コミュニケーションの経験を自らが解釈し, それを言語化できるような学習プロセスの経過(思考し表現すること)が必要であると結論づけた. 臨床実習は自己, 他者への関わりを理解し, 経験するプロセスなのである.
著者
伊吹麻里 中村 歩美 中野 真希 室谷 絵理子 河野 益美 柴田 真理子 足利 学 中野 博重 Mari Ibuki Ayumi Nakamura Maki Nakano Eriko Muroya Masumi Kono Mariko Shibata Manabu Ashikaga Hiroshige Nakano 藍野学院短期大学 藍野学院短期大学 藍野学院短期大学 藍野学院短期大学 藍野学院短期大学 藍野学院短期大学 藍野大学 藍野大学 Aino Gakuin College Aino Gakuin College Aino Gakuin College Aino Gakuin College Aino Gakuin College Aino Gakuin College Aino University Aino University
雑誌
藍野学院紀要 = Bulletin of Aino Gakuin (ISSN:09186263)
巻号頁・発行日
no.18, pp.105-111, 2005-03-31
被引用文献数
2

A市B区における3ヶ月児,1歳6ヶ月児,3歳児の核家族世帯の母親300人を対象に,人的環境面が育児不安にどのように影響しているかについて検討した。母親の育児歴や育児の協力者の有無,児の年齢などにより母親の抱える悩みは様々であった。育児を行うにあたり多少の悩みを持つこと自体は問題ではなく,悩みの程度や育児環境,協力者の有無,協力者の精神的なサポートが得られるかどうかが大切である。それ故,近年の社会情勢を加味し,地域特性を捉えた上で母親だけでなく,父親も含めた妊娠期からの継続した関わりが必要である。そのためには,保健師は子育ての情報や知識の提供だけでなく,育児者間の交流が図れる場や,いつでも悩みを打ち明けられる場の提供などの精神面のフォローが必要である。