著者
辻 照彦
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

『ハムレット』の3種類のテキストのうち、Second Quarto (Q2)とFirst Folio (F)の間に見られる3行を超えるパッセージの異同に注目し、異同発生メカニズムの解明を試みた。First Quartoも含めたテキストの詳細な比較分析の結果、Fのみに見られるパッセージはFolioへの新たな加筆ではなく、Q2の基になったマニュスクリプトに存在していた可能性が高いこと、そして、現在までに提出されてきた作者改訂説は、シェイクスピアがQ2をFのように改訂したと考えられるほど説得的でないことを明らかにすることができた。
著者
加藤 行夫 田中 一隆 山下 孝子 英 知明 佐野 隆弥 辻 照彦 勝山 貴之 石橋 敬太郎 杉浦 裕子 真部 多真記 西原 幹子 松田 幸子 本山 哲人 岡本 靖正
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、主として英国初期近代(エリザベス朝およびジェイムズ朝)の演劇作品および当時の役者・劇団・劇場の総合研究を「歴史実証主義的立場」から新たに検証し直す作業を行なった。とくに「デジタルアーカイヴズ」を多用して、定説と考えられてきた既存の概念・理論を、現存する公文書や有力な歴史的基礎資料を根幹とした「検証可能な方法」で再検討し直すことを最大の特徴とした。この研究手法により、当時の劇作家、幹部俳優、劇場所有者、印刷出版業者等をはじめとした「演劇世界全般の相関的ネットワーク構築」の特徴的なありようを、演劇理論や劇作家と劇団研究、個々の劇作品とその出版等を通して追究した。