著者
河野 荘子 岡本 英生 近藤 淳哉
出版者
日本青年心理学会
雑誌
青年心理学研究 (ISSN:09153349)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-11, 2013-08-30 (Released:2017-05-22)
被引用文献数
4

本研究は,共感性を多次元的なものと定義し,犯罪者と一般青年との比較を通して,犯罪者の共感性の特徴について明らかにしようとするものである。その結果,犯罪者は,他者の不運な感情体験や苦しみに対して同情的で,何らかの配慮をすることに方向づけられやすい一方で,他者の立場にたって物事をとらえる視点が十分に高くない「アンバランスな共感性」を持つことが示された。また,この状態では,他者の苦しみによって,自分の苦しみが増大することを抑制する自己防御システムが働きにくくなることが推測された。
著者
白井 利明 岡本 英生 栃尾 順子 河野 荘子 近藤 淳哉 福田 研次 柏尾 眞津子 小玉 彰二
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.111-129, 2005-09-30

非行の原因に関する研究は多いが,立ち直りの研究は少ない。非行経験のある多数の少年は矯正機関とかかわることなしに立ち直っている。このことを考えると,社会内に立ち直りを促進する要因があると考えられる。本研究は,立ち直りには「援助者との出会い」が必要であり,出会いのためには少年の心理的な特性として「ひたむきに物事に取り組む力」と「抑うつに耐える力」の成熟が求められると考える。この仮説を実証するため,非行から立ち直った2名に対する面接調査を実施した。その結果,親との出会い直しが必要であるが,そのためには親以外の大人による援助が重要なきっかけとなっていることがわかった。また,「ひたむきに物事に取り組む力」と「抑うつに耐える力」は仮説を支持したが,どちらか一方でもよった。仮説は部分的に支持され,さらなる解明は今後の課題とされた。
著者
河野 荘子 岡本 英生 近藤 淳哉
出版者
日本青年心理学会
雑誌
青年心理学研究 (ISSN:09153349)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-11, 2013-08-30

本研究は,共感性を多次元的なものと定義し,犯罪者と一般青年との比較を通して,犯罪者の共感性の特徴について明らかにしようとするものである。その結果,犯罪者は,他者の不運な感情体験や苦しみに対して同情的で,何らかの配慮をすることに方向づけられやすい一方で,他者の立場にたって物事をとらえる視点が十分に高くない「アンバランスな共感性」を持つことが示された。また,この状態では,他者の苦しみによって,自分の苦しみが増大することを抑制する自己防御システムが働きにくくなることが推測された。