著者
小山田 智寛 二神 葉子 逢坂 裕紀子 安岡 みのり
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.154-157, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
4

近年、デジタルコンテンツの公開がますます盛んになり、オープンデータによるデジタルデータの活用も進んでいる。一方、フロッピーディスクやMOなどの記録メディアの問題は言うまでもなく、2019年12月のYahoo! ブログのサービス終了など、プラットフォームの変容に追随できず公開が持続できないデジタルコンテンツも増えている。東京文化財研究所では、2018年、幕末から明治大正期にかけての書画家の番付のデータベースを公開したが、これは2004年に作成され、技術的な問題で公開が停止していたデータベースのリニューアルである。このリニューアル作業を例として、デジタルコンテンツを持続させるための課題を検討したい。
著者
逢坂 裕紀子
出版者
アート・ドキュメンテーション学会
雑誌
アート・ドキュメンテーション研究 (ISSN:09179739)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.18-32, 2016-03-31 (Released:2021-06-25)

本論は、東京国立博物館が所蔵する館史資料『大震災関係書類』を対象に、いわゆる博物館業務において優先される収蔵品や展示に関するものではない資料や情報が、近年謳われる“地域連携”志向において、地域との関係性を示す資料としてどのように活用されうるかを明らかにすることを目的とする。それにより従来の博物館研究において、いわゆる展示や収蔵品といった優先度の高い情報ではなかったためにあまり焦点があてられてこなかった資料を、博物館の社会的・歴史的位置や地域との関係性を示す資料として捉え直し、博物館資料のさらなる活用可能性を提示する。
著者
逢坂 裕紀子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.s3, pp.s135-s138, 2022 (Released:2022-11-02)
参考文献数
8

本報告では、東京大学文書館が所蔵する人事記録をもとにした人名データベースの構築とその活用について報告する。所蔵資料『職員進退』目次情報及び文書館作成「教員データベース」は、明治初期の大学発足時からの所属教職員に関するデータベースとして、これまでレファレンスなど館内において活用されてきた。学内外からの利用ニーズも高いコンテンツであるため、公開に向けて個別に管理運用されてきたファイルの統合及びデータの整理、ウェブデータベースの構築をおこなった。ウェブデータベース化にあたっては、オープンソースのCMSであるOmeka Sを利用し、キーワードによる全文検索機能を持たせ、国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス(Web NDL Authorities)による典拠データへのリンク表示の機能をもたせることで、人名データベースの精度を高めた。人名データベースにより、コンテンツの自由度を増加させ、所蔵資料の利活用性を高めることができる。
著者
山崎 沙織 逢坂 裕紀子 岡本 詩子
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.45-63, 2012

2009年に制定された「公文書等の管理に関する法律」の要点のひとつは、国の非現用公文書等についての利用請求権を 認め、それに基づく異議申し立てを可能にしたことにある。同法の努力義務規定により、上述の権利とそれに基づく異義申し立ては地方自治体の公文書政策にも反映される見込みだ。そこで、本研究は同法制定後の地方自治体の公文書館についての条例・規則の改訂状況を次の2点から調査した。(1)利用請求権や異議申し立てを認める改訂はあったか。(2)公文書館への意味づけを変えるような改訂はあったか。調査の結果、(1)'新規に条例・規則を制定した自治体を除き、利用請求権や異議申し立てを認める改訂は見られないこと、(2)'公文書館への意味づけは「地域の歴史・教育・文化を振興させる場」と「開かれた行政を実現させる場」に二分されるが、前者が保持される傾向にあり、この傾向が利用請求権成立の困難さに一定の影響を与えていることが判明した。