著者
野原 卓 宋 俊煥 泉山 塁威 木原 一郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.201-216, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
12
被引用文献数
2

都心部のストリートにおいて整備・管理運営・利活用等を総合的に行うストリートマネジメントを継続的に実現するには、ストリートマネジメント主体の形成もしくは醸成が重要になる。本論では、ストリートマネジメントプロセスを①初動期、②主体形成(醸成)期、③主体発展期という段階で整理し、また、マネジメントに関わる主体の役割を、①意思決定、②運営、③管理、④活用、⑤支援の5つで仮説的に整理した結果、ストリートマネジメントの主体形成(醸成)を円滑に行うためには、(1)マネジメント実働主体(特に運営主体)が形成・醸成される環境づくりの工夫、(2)合意形成を円滑にするためのワークショップ・シミュレーション・実験等の丁寧なプロセスと支援、(3)意思決定を円滑に行うための多主体を巻き込んだ包括的なプラットフォームの形成と行政の受け皿、(4)方向性共有のためのビジョン構築と共有プロセス、(5)発展期における活用・支援を通じた多主体への拡張、 (6)運営と実行を柔軟かつ機動力を持って行う体制、などが重要となることが明らかになった。
著者
李 寶欖 高見沢 実 野原 卓
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.69-76, 2011-04-25 (Released:2011-12-27)
参考文献数
20

近代化による無秩序な市街地拡散は、車両交通への依存、緑地の破壊、公害問題などで居住環境を悪化させた。それを乗り越える動きから始まったのがニューアーバニズム(以下NU)である。NUはその効果に関する実証研究がされるほど事例が蓄積してきており、それと同時に基礎自治体や州レベルでNUの基準化・制度化が進んでいる。2002年にはNUのコンセプトを入れた新しいゾーニングである「スマートコート」が発表され、近年、マイアミ市ではスマートコードを基にした「マイアミ21」の適用が全市レベルでは最初で承認された。そこで、本研究ではマイアミ21の内容と適用過程を検証することを目的にする。その結果、スマートコードはマイアミ市に適用するため、実現ツールとして進歩した四つの点から見られ、されにマイアミ市独自の技術も発展した。また、シャレット手法により合意形成に至った。それらにより、スマートコードは今後従来のゾーニングを置き換える可能性を高めるきっかけになると考えられる。
著者
岡村 祐 野原 卓 田中 暁子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.21, no.49, pp.1241-1246, 2015

Open House is a program, where multiple houses are open to the public simultaneously within a specific area. This research focuses on this program held in Japan and analyses what organisers are aiming at through it and how they approach relevant stakeholders. As a result, it reveals that at an Open House a variety type of events are normally arranged in order to promote totality of architecture and life and work and area value created based on architecture and to provide an opportunity for multiple stakeholders to be involved in local resources management utilising building stocks.
著者
岡村 祐 野原 卓 田中 暁子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.21, no.47, pp.317-320, 2015

This study focuses on homeowners opening their property to the public at Open House London. On the basis of questionnaire it finally reveals their motivation and role. Close cooperation between a homeowner and an associated architect made a decision of participation and hosted many visitors by providing a guided tour, etc. Homeowners fully understood an organizer's concept "quality of architecture design" and took a responsibility of educating citizens instead of aiming at gaining economical or social benefit or regarding it as an opportunity to start something new. Such a homeowner in fact has repeatedly participated, which makes this program attractive.
著者
野原 卓 釣 祐吾
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.611-618, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
6
被引用文献数
3

本研究は、地方都市におけるストリート空間の魅力と活気を取り戻すために、道路と沿道が連携しながら行うストリートデザインマネジメントの詳細な展開プロセスのあり方について、実践事例の分析を通して明らかにすることを目的としている。地方都市の3つの実践事例(長期醸成型の喜多方市ふれあい通り、短期醸成型の石巻市中央一大通り、短期一斉型の松山市ロープウェイ通り)の分析を通して、プロセスを(1)導入・(事業)検討段階、(2)計画・共有段階、(3)実施・管理段階の3つの段階に整理した上で、街路と沿道とが一体となったストリートデザインマネジメントを実現するためには、事業開始時に多主体が連携できる柔軟な体制をインフォーマルでもよいので構築すること、頻度の高い勉強会等を通じて丁寧にビジョンを共有すること、そして、具体的な整備者(設計者や施工者)を交え共有したビジョンを円滑に伝達する仕組みを創出することなどが重要であるということが明らかになった。