著者
野島 美保
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.15-25, 2007-09-20 (Released:2022-08-19)
参考文献数
29

本稿は,仮想世界ビジネスについて,その価値と収益性の関係を中心に論点を整理し,研究上および実務上の今後の方向性を明らかにすることをねらいとする.仮想世界の一種であり商用サービスが早くから行われてきたオンラインゲーム業界を,実証調査の対象とする.ユーザーが知覚する価値として「新奇性」「コミュニティ」「アイデンティティ」が発見され,収益性に最も影響するのは「コミュニティ」であることが示された.
著者
野島 美保
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.44-55, 2008 (Released:2021-07-01)
被引用文献数
2

本論文の目的は、 MMOの収益性の問題を、利用動機・ゲーム内行動といった消費者行動から説明する枠組みを提示することである。 MMOパブリッシャーのマーケティング戦略という経営学的な視 点に立ち、ゲームの収益性に影曹する要因を洗い出す。 まず、収益性を示す指標を導くために、バッケージ販売・定額制・アイテム課金の料金制度の違いを分析し、利用期間(定着性)。単価に着目した。次に、MMOユーザーの利用動機と行動を測定し、その変数化を試みた。日本のMMOユーザーに対してアンケート調査を行い、3つの潜在変数(成長、コミュニケーション、アイデンティティ)を導いた。最後に、 MMOユーザーの利用動機・行動によって定着性・単価がどの程度影曹されるかを知るために、構造的な定量分析を行った。 その結果、「成長」動機はゲームヘの熱中度を増加させるものの収益性に直接的に影響せず、利用期間と単価に直接的に影響しうるのは「コミュニケーション」動機であることが示唆された。
著者
魏 晶玄 野島 美保
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.47-62, 2004

<p>既存市場の有無が新製品市場に与える影響(経路依存性)を実証的に明らかにするために、新市場の初期ユーザー属性分析を行う。新市場としてオンラインゲーム産業をとりあげ、同一ゲームに対する日韓のユーザー調査を行い、ユーザー属性の国際比較を行う。既存のビデオゲーム市場が存在した日本と既存市場のない韓国等において、オンラインゲームの普及度合いに国際的な差異が生じているからである既存ビデオゲーム市場の存在が、日韓のユーザー属性の違いとして表れていることが、ユーザー調査によって明らかにされる。日本のビデオゲーム・ユーザーは同質的な集まりではなく、新しいオンラインゲームに対して異なる志向をもつ複数のユーザー群の集まりであることが示され、複数の異質的な初期ユーザー群を仮定したイノベーション研究の必要性を提唱する。</p>