著者
松浦 眞 生田 信之 石山 純一 鈴木 勝彦 野本 俊夫 今野 一弥 浅田 格 遠藤 智明 野角 光治
出版者
宮城工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は移動実験車を使って中学校への総合的学習への直接的支援活動を行うことを目的とするものであった。本研究を遂行するために必要な条件は第1に移動実験車を設置すること、第2に体験教室を実行できるスタッフを確保すること、第3に体験教室に必要な実験テーマを決定し、実験器具等の準備をすること、第4にこの活動の趣旨を広め、中学校から派遣要請を得ることであった。3年の研究期間を通してこれらの条件のうちはじめの3つの条件は満足できたが、最後の中学校からの派遣要請は予想より少なく必ずしも満足できるものではなかった。しかしながら、3年間の活動全体としては本活動が"リカレンジャー"の呼び名で全国紙やテレビで報道されたこともあり、爆発的ともいえる程の人気を得た。その結果、今や出動要請は引きも切らないほどで、5月には年間の申し込みを締め切らざるを得ないほどとなった。3年間の活動を通して実施した出前体験教室は計29回、教室参加者の合計は2200名以上、講師として参加した教職員の延べ人数は82名、アシスタント学生は延べ160名以上となった。またリカレンジャーの活動はマスコミに繰り返し報道され、地元テレビ局には7回登場し、新聞には3回、ラジオに1回取り上げられた。また読売新聞の全国版にも大きく報道された。このように本活動は青少年、特に小学生に対する理科離れ対策として大きな成功を収めることが出来た。本活動が成功した理由は、(1)移動実験車により求められればどこへでも出かけ、インパクトのあるサイエンスショーとものづくりの楽しさを体験できるワークショップを組み合わせで実施したこと。(2)リカレンジャーの名称やロゴをデザインしたそろいのTシャツを着るなど、子供達に親しみやすいイメージを与えたこと。(3)多くの学生の積極的協力が得られたこと等である。その結果、これまでに経験したことがない広範囲の子供達にサイエンスの不思議さやものづくりの楽しさを経験させることが出来た。本活動は従来各地で行なわれてきた青少年科学祭典とは異なる新しい活動スタイルを生み出したと言えよう。今後、この活動が中学校の理科教師に受け入れられ、中学校の理科教育への支援活動に貢献できるようにすることが課題である。