- 著者
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萩原 保一
- 出版者
- 日本高専学会
- 雑誌
- 高等専門学校の教育と研究 : 日本高専学会誌 (ISSN:1343456X)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, no.2, pp.2-7, 1998-04-30
青少年犯罪が議論されはじめて久しいが,また新たな事件が続発している.毎日のようにマスコミの話題になり対策が提案される.これらの現象は近代社会が生み出す現代病であり,対症療法では解決できるとは思えない.マスコミは事件を個別に取り上げるが,子どもは全体として変化し,対応を難しくしている.長い人間の歴史の中では「育児」と「教育」の哲学は結構確立できている.この哲学を放棄し,合理性のみを求め,競争の社会を突っ走る.気がついたら手の着けようがなくなっている.考えてみれば教育については諸外国の方がはるかに先輩で,我々が今悩んでいる問題の多くは解決済みなのかも知れない.いろいろな事件を横目で見ながら,学生の変化や高専の抱える問題について触れてみた.