著者
吉崎 もと子 渋谷 岳造 鈴木 勝彦 清水 健二 中村 謙太郎 大森 聡一 高井 研 丸山 茂徳
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.58, 2011 (Released:2011-09-01)

様々な分野の研究から、初期地球の熱水系にはメタン生成菌のような水素をエネルギー源とする化学合成独立栄養細菌を一次生産者に持つ生態系が繁栄しており、水素は生命誕生・進化の重要な鍵であったと考えられる。本研究では、初期地球熱水系では当時の表層にあったとされるAl枯渇型コマチアイトが水素発生を担っていたと考え、熱水実験を通して初期地球のコマチアイト熱水系における水素発生量とその反応過程を検証した。その結果、コマチアイトの熱水変質による顕著な水素発生量を確認した。また、実験生成物の分析を行った結果、かんらん石では従来提唱されてきたように蛇紋石化反応に伴う磁鉄鉱生成によって水素が発生しているのに対し、コマチアイトでは別の水素発生プロセスが進行し、それは、粘土鉱物への?V価鉄の分配によるH2Oの還元であると推定した。コマチアイトの熱水変質による水素発生量は、現生のかんらん岩熱水系で観測される水素濃度に匹敵し、現世のかんらん岩熱水系と同様に、初期地球熱水系の生態系に豊富な量の水素を供給していたことが示唆される。
著者
佐藤 佳子 熊谷 英憲 岩田 尚能 柴田 智郎 丸岡 照幸 山本 順司 鈴木 勝彦 西尾 嘉朗
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.72, 2011 (Released:2011-09-01)

3.11の巨大地震の後、福島第一原発の事故により放射性希ガス放出が予想された。そこで、放射性希ガスを四重極質量分析計で測定し、希ガス存在度の変化の検証を試みた。Ar-41, Ar-39, Kr-85, Xe-133などの希ガスが安定な希ガス同位体に対して10倍以上に増加したことが地震後の測定で明らかになりつつある。地震による安定な希ガス同位体の放出を差し引いて、放射性希ガス存在度の変化について報告する。
著者
野崎 達生 加藤 泰浩 鈴木 勝彦
出版者
日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.279-305, 2014-12-25 (Released:2015-01-06)
参考文献数
132
被引用文献数
1

Along with the progresses in analytical procedure and mass spectrometry, the number of papers using a Re–Os isotope system has rapidly increased, although Re and Os are trace elements whose typical concentrations in geological materials are ppt~ppb levels. Rhenium has two isotopes and 187Re is a radio isotope which generates 187Os through β- decay in the half-life of 41.6 Gyr. Since both Re and Os are highly siderophile and chalcophile elements, they are concentrated into sulfide minerals. Besides the 187Re–187Os decay system, Re is more incompatible than Os during a magma differentiation process, producing a large variety of the 187Re/188Os and 187Os/188Os ratios among various reservoirs on the Earth. The seawater 187Os/188Os ratio is mainly controlled by riverine flux having a high 187Os/188Os ratio (~1.4) and hydrothermal fluid/cosmic dust fluxes with low values (0.12~0.13). Thus, the Re–Os isotope system is a powerful tool for (1) geochronology of sulfide deposit, black shale and petroleum deposit using an isochron method, (2) geochronology of ferromanganese crust whose sedimentary age can be determined by fitting their 187Os/188Os ratios with the secular variation curve of the marine Os-isotope ratio, (3) decoding the trigger and processes of global climate change and impact event, and (4) unraveling the magma source and formation processes of volcanic rocks. Here, we review the recent geochemical study using the Re–Os isotope system and especially focus on a geochronology of the sulfide deposit.
著者
黒田 潤一郎 谷水 雅治 堀 利栄 鈴木 勝彦 小川 奈々子 大河内 直彦
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.398-398, 2008

白亜紀のAptianからTuronianにかけて、海洋底に有機質泥が堆積する海洋無酸素イベントOceanic Anoxic Event (OAE)が繰り返し発生した。その中でも、前期AptianにおきたOAE-1aは汎世界的に有機質泥が堆積する最大級のOAEである。このOAE-1aの年代(約120 Ma)は地球最大の洪水玄武岩であるオントンジャワ海台の形成時期(123~119Ma)に近く、このため両者の関連が注目されてきた。オントンジャワ海台の火山活動とOAE-1aの関連を調べることで、大規模な火成活動と地球表層環境変動とのリンクを理解することができる。しかし、両者の時間的関連や因果関係について未解明の問題が多く、前者については年代学的・層序学的精査が、また後者については数値モデル実験などを用いた検討が必要である。本研究では、Aptian前期にテチス海や太平洋で堆積した遠洋性堆積物の炭素、鉛、オスミウム同位体比を測定し、OAE-1aの層準の周辺でオントンジャワ海台の形成に関連した大規模火山活動の痕跡が認められるかどうかを検討し、両者の同時性を層序学的に評価した。用いた試料はテチス海西部の遠洋性堆積物(イタリア中部ウンブリア州)、太平洋中央部の浅海遠洋性堆積物(シャツキー海台のODP198-1207Bコア)および深海遠洋性堆積物(高知県横波半島の四万十帯チャート;庵谷ほか、印刷中)の3サイトの遠洋性堆積物を使用した。これら3サイトにおいて、微化石および炭素同位体比変曲線からOAE-1aの層準を正確に見出した。横波半島の四万十帯チャートは、OAE-1aのインターバルを含む数少ない太平洋の深海底堆積物である(庵谷ほか、印刷中)。イタリアセクションのOs同位体比はOAE-1aの開始時およびその数10万年前の2回、明瞭なシフトが認められ、同位体比の低いOsの供給が増加したことが明らかになっている(Tejada et al., submitted)。特にOAE-1aの開始時に起きたOs同位体比のシフトは極めて大きく、数10万年間続くことから、オントンジャワ海台の形成に関連したマントルからの物質供給でのみ説明可能である。今回、低いOs同位体比が横波チャートにも認められることが明らかになった。先に述べたOs同位体比の変動は地球規模のものと結論付けられる。一方、海洋での滞留時間の短いPbはOsと異なり、サイト間で同位体比が異なる。イタリアのセクションでは当時のユーラシア大陸地殻に近いPb同位体比を示し、同位体比の大きな変動は認められない。これに対し、横波チャートのPb同位体比はオントンジャワ海台玄武岩の同位体比にほぼ一致し、オントンジャワからの物質供給が活発であったことを示している。シャツキー海台の堆積物のPb同位体比はイタリアセクションと横波チャートの中間的な値を示す。また、シャツキー海台の堆積物には、OAEが開まる時期にオントンジャワ海台からの物質供給が増加したことを示唆するPb同位体比の変化が認められた。このように、Pb同位体組成には当時の古地理(オントンジャワ海台からの距離、深海/浅海)に対応した違いが認められた。本発表では上記の新知見に加えて、3サイトのPb同位体比と古地理分布からオントンジャワ海台からの物質供給プロセスなどを検討する。
著者
鈴木 勝彦 賞雅 朝子 土屋 卓久 深海 雄介 折橋 裕二 新城 竜一
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2021

<p>182Wは消滅核種182Hfのβ壊変によって生成される。ハワイ,サモアなどの海洋島玄武岩には現在のマントル値に対して低い182W同位体を持つ。本研究では、地球初期のコア分離において、第一原理自由エネルギー計算により、コア-マントル境界P-T条件においても、Wは液体金属相に強く分配され、Hfは溶融ケイ酸塩に留まることが明らかになった。このようなHf-Wの分別により、コアは182Hf /182W比が低くなり,その結果コアは182Wの低い特性を持つことになる。本研究ではさらに,エチオピア玄武岩のW同位体比組成を分析した。その結果,エチオピア玄武岩は,現在の平均的なマントルに比べてわずかに負のμ182Wを示した。この結果と上記の第一原理計算によるコアの低い182W同位体を考え合わせると,ハワイ,サモアの玄武岩やエチオピア玄武岩は182W同位体値の低いコア成分を含んでいる可能性が高いことを示唆する。</p>
著者
佐藤 佳子 熊谷 英憲 岩田 尚能 柴田 智郎 丸岡 照幸 山本 順司 鈴木 勝彦 西尾 嘉朗
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.72, 2011

3.11の巨大地震の後、福島第一原発の事故により放射性希ガス放出が予想された。そこで、放射性希ガスを四重極質量分析計で測定し、希ガス存在度の変化の検証を試みた。Ar-41, Ar-39, Kr-85, Xe-133などの希ガスが安定な希ガス同位体に対して10倍以上に増加したことが地震後の測定で明らかになりつつある。地震による安定な希ガス同位体の放出を差し引いて、放射性希ガス存在度の変化について報告する。
著者
石川 晃 下條 将徳 鈴木 勝彦 Collerson Kenneth D. 小宮 剛
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2012年度日本地球化学会第59回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.55, 2012 (Released:2012-09-01)

マントル中の親鉄元素の過剰を説明するレイトベニア仮説は広く知られるが、真偽のほどは未だ研究者間で異論がある。最近のタングステン同位体比を用いた研究から、現在の地球マントルに含まれる親鉄元素の大部分が40-38億年前の「後期隕石重撃期」にもたらことが提案されているが、本研究によると、38億年前の超苦鉄質岩は太古代以降のマントルとほぼ同程度の強親鉄性元素を含んでいることがわかった。この事実はレイトベニア成分が「後期隕石重撃期」よりかなり以前に地球に付加し、その後均質化したことを示唆するため、タングステン同位体比による考察と明らかに矛盾している。
著者
鈴木 勝彦
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.67-102, 1999-06-01 (Released:2016-12-28)
参考文献数
155

Negative thermal ionization mass spectrometry (N-TIMS) has been recently developed as a precise and accurate method in mass spectrometry to determine isotope ratios of some elements, which cannot be measured by positive thermal ionization mass spectrometry (P-TIMS) easily. In N-TIMS, isotopic compositions of elements, such as halogens, chalcogens, boron and platinum group elements with high ionization potentials, are determined as negative atomic ions M-, oxide ions MOx- (x=1-4) or fluoride ions MFx- (x=4). Recent interesting developments in geochemistry is the determinations of rhenium-osmium systematics, redetermination of the relative atomic masses of elements by more precise and more accurate isotope ratio measurements, the determination of isotope variations in geological and cosmic samples and the analysis of trace and ultra-trace amounts of elements in the environment. In this paper, after theory and characteristics of N-TIMS are mentioned, some recent applications of N-TIMS is summarized in the field of geochemistry and environmental chemistry. Among recent topics, (1) application to rhenium-osmium systematics, (2) precise boron isotope analysis and its application to environmental chemistry, and (3) precise iron isotope analysis and its application to biological and medical use are described. Problems involved in N-TIMS are also discussed.
著者
鈴木 勝彦 賞雅 朝子 深海 雄介 飯塚 毅 折橋 裕二 新城 竜一
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p><sup>182</sup>Hfは比較的短い半減期890万年で<sup>182</sup>Wにベータ壊変する。Hfは親石元素、Wは親鉄元素であるために、マントルとコアの間で分別が起き,マントルは高いHf/W比,コアは低いHf/W比を持つと考えられる。地球の初期,<sup>182</sup>Hfが消滅する前にコアが分離すれば,Hf/Wの高い始原マントルは高い<sup>182</sup>W/<sup>184</sup>W比を,Hf/W比の低いコアは低い<sup>182</sup>W/<sup>184</sup>W比を持っていることになる。本研究では,東アフリカAfarプルームに由来するエチオピアの玄武岩とアデン湾のMORBに適用した結果,いくつかの試料で,繰り返しの誤差の範囲を超えて負異常が得られた。コアの物質を含んでいる可能性が考えられるか,少なくとも地球ができて間もない頃の化学分別の痕跡を含んでいると考えられる。</p>
著者
山本 正浩 中村 龍平 笠谷 貴史 熊谷 英憲 鈴木 勝彦 高井 研
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2017年度日本地球化学会第64回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.146, 2017 (Released:2017-11-09)

深海熱水噴出孔では海底面から熱水が噴出し、周囲の海水によって冷却されることで鉱物が沈殿し鉱体が形成される。我々はこの鉱体の主要成分である硫化鉱物が導電性を持つことを明らかにしている。鉱床下に存在し、海底に湧出する熱水は還元的な化合物(硫化水素、水素、メタン)に富み、海底面から浸透し鉱床近傍で接する海水は酸化的な化合物(酸素、硝酸、硫酸)を含む。我々は、熱水中の還元剤の持つ電子が硫化鉱物を介して海水中の酸化剤に受け渡される放電現象の存在を提唱し、実際にこの現象が深海熱水噴出域の海底の広域で起きていることを現場電気化学計測によって明らかにした。また、この放電現象を人為的に制御することで発電技術として利用可能であることも明らかにしている。本発表では、上記について説明するとともに、今後の深海底発電技術の開発、およびその模擬として行っている陸上温泉での発電試験の結果についても紹介する。
著者
浦辺 徹郎 沖野 郷子 砂村 倫成 石橋 純一郎 高井 研 鈴木 勝彦
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.6, pp.1027-1036, 2009-12-25
被引用文献数
4 1

Since the discovery of rich microbial communities at and around seafloor hydrothermal sites, their extension towards the oceanic crust beneath the seafloor is of great interest not only for microbial physiology/ecology but also for a wide range of Earth and planetary sciences. How can the communities survive in such an extreme environment? What kinds of metabolism are in action? It is proposed that the sub-seafloor ecosystems are characterized by different kinds of chemosynthetic primary production (carbon fixation), all of which are supported by chemical energy supplied from the sub-seafloor aquifers. We designate the unseen aquifers as sub-seafloor TAIGAs (great rivers) which are responsible for a geochemical flux equivalent to or even larger than that of terrestrial river runoff (<i>e.g.</i> Wheat and Mottl, 2000). Besides, they are responsible for supplying nutrients to microbes beneath the seafloor. We hypothesize that there are four representative TAIGAs based on the chemical energy of compounds of sulfur, carbon (methane), iron, and hydrogen, all of which are supported by the TAIGAs. It is important to note that the sub-seafloor ecosystems are controlled extensively by or are mutually related to the types of TAIGA that flow at the site. The hypothesis can be tested through cooperative research among microbiologists, geochemists, geophysicists, and geologists.
著者
野崎 達生 鈴木 勝彦 加藤 泰浩 松岡 篤
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究では,古海洋・古気候変動の原因解明に有用なRe-Os同位体の迅速測定方法を開発した.Re,Osは濃度が非常に薄いためにTIMSでの測定が一般的であるが,MC-ICP-MSと気化法を組合せた分析手法を開発し,従来よりも数倍サンプル処理能力を向上させることに成功した.本手法を美濃帯坂祝地域のチャート試料に適用し,三畳紀の約40 Myrにわたる長期の古海洋Os同位体比経年変動曲線を復元した.本結果から,チャート試料が古海洋のOs同位体比を復元する記録媒体として有効であることが初めて明らかになった.また,三畳紀前期に今まで確認されていなかった還元的海洋環境が広がっていたことが解明された.
著者
浦辺 徹郎 沖野 郷子 砂村 倫成 石橋 純一郎 高井 研 鈴木 勝彦
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008-11-13

地下・海底下に存在する大量の水は、流域の岩石との反応により、海洋を含む地球表層環境や生命活動に大きな影響を与えると考えられてきた。本研究では、海底下の水の流れを地質学的背景から4種類に分類し(4つの大河仮説)、鉱床形成を含めた物質循環システムと微生物生態系システムが4つの大河に対応して制御されていることを、期間中に実施した33の研究航海と物理・化学・生物・地質の分野横断的手法を通じて明らかにした。
著者
森下 知晃 小澤 一仁 鈴木 勝彦 芳川 雅子
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,本来直接観察・サンプル採取を行えない日本列島のような島弧深部相当(最上部マントル/下部地殻)でのプロセスを理解するために,アルバニアなどに露出するオフィオライトに着目し,野外調査および,採取した試料の解析を行った。その結果, 島弧深部相当,特にマントル相当の岩相について下位から上位にかけて(1)中央海嶺とは異なり,流体の流入を伴うようなマグマ活動に関連した岩相が上位にかけて増加すること(2)かんらん岩層の上位には,シリカの付加が普遍的に観察されること(3)これまで中央海嶺環境で形成されて来たと考えられていた西側部分について,一部が島弧でのマグマ活動および加水作用をうけていることを明らかにした。
著者
松浦 眞 生田 信之 石山 純一 鈴木 勝彦 野本 俊夫 今野 一弥 浅田 格 遠藤 智明 野角 光治
出版者
宮城工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は移動実験車を使って中学校への総合的学習への直接的支援活動を行うことを目的とするものであった。本研究を遂行するために必要な条件は第1に移動実験車を設置すること、第2に体験教室を実行できるスタッフを確保すること、第3に体験教室に必要な実験テーマを決定し、実験器具等の準備をすること、第4にこの活動の趣旨を広め、中学校から派遣要請を得ることであった。3年の研究期間を通してこれらの条件のうちはじめの3つの条件は満足できたが、最後の中学校からの派遣要請は予想より少なく必ずしも満足できるものではなかった。しかしながら、3年間の活動全体としては本活動が"リカレンジャー"の呼び名で全国紙やテレビで報道されたこともあり、爆発的ともいえる程の人気を得た。その結果、今や出動要請は引きも切らないほどで、5月には年間の申し込みを締め切らざるを得ないほどとなった。3年間の活動を通して実施した出前体験教室は計29回、教室参加者の合計は2200名以上、講師として参加した教職員の延べ人数は82名、アシスタント学生は延べ160名以上となった。またリカレンジャーの活動はマスコミに繰り返し報道され、地元テレビ局には7回登場し、新聞には3回、ラジオに1回取り上げられた。また読売新聞の全国版にも大きく報道された。このように本活動は青少年、特に小学生に対する理科離れ対策として大きな成功を収めることが出来た。本活動が成功した理由は、(1)移動実験車により求められればどこへでも出かけ、インパクトのあるサイエンスショーとものづくりの楽しさを体験できるワークショップを組み合わせで実施したこと。(2)リカレンジャーの名称やロゴをデザインしたそろいのTシャツを着るなど、子供達に親しみやすいイメージを与えたこと。(3)多くの学生の積極的協力が得られたこと等である。その結果、これまでに経験したことがない広範囲の子供達にサイエンスの不思議さやものづくりの楽しさを経験させることが出来た。本活動は従来各地で行なわれてきた青少年科学祭典とは異なる新しい活動スタイルを生み出したと言えよう。今後、この活動が中学校の理科教師に受け入れられ、中学校の理科教育への支援活動に貢献できるようにすることが課題である。
著者
土屋 基 鈴木 勝彦 井上 忠夫 樋口 和洋 三野 大來
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

中学・高校・大学等に通う女性約8,000名のうちの約3割が「手足双方の冷え」(冷え性)を自覚し、別の約3割が「手または足の冷え」を自覚していた。全般に、中学から大学等へと就学段階が進むにつれて食生活、生活習慣、痩身意識、行動などが好ましい状況からかけ離れて行く傾向が見られた。この傾向は、大学等学生の冷え性率(冷え性自覚者の全体に占める割合)が中学生のそれよりも高く、また高校生のそれをはるかに上回っていることにも表れていた。冷え性の女性は、非冷え性の女性に比べて、先に触れた生活、意識、行動が芳しくないだけでなく、身体や精神に関する愁訴率も高いことが確認された。
著者
田近 英一 多田 隆治 橘 省吾 関根 康人 鈴木 捷彦 後藤 和久 永原 裕子 大河内 直彦 関根 康人 後藤 和久 大河内 直彦 鈴木 勝彦 浜野 洋三 永原 裕子 磯崎 行雄 村上 隆
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

約25億~20億年前に生じた全球凍結イベントと酸素濃度上昇の関係を明らかにするため,カナダ,米国,フィンランドにおいて地質調査及び岩石試料採取を実施し,様々な化学分析を行った.その結果,同時代の地層対比の可能性が示された.またいずれの地域においても氷河性堆積物直上に炭素同位体比の負異常がみられることを発見した.このことから,氷河期直後にメタンハイドレートの大規模分解→温暖化→大陸風化→光合成細菌の爆発的繁殖→酸素濃度の上昇,という可能性が示唆される.