著者
濱西 伸治 青木 良浩 和田 仁
出版者
宮城工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

まず,ヒトから計測可能な三種類の聴覚由来の生体反応を剣道の練習前後で測定した.その結果,DPOAEレベルは剣道の練習前後では有意な変化は見られなかった一方で,剣道の練習は,感覚細胞よりも脳の中枢により大きな影響を及ぼしていることが示唆された.また,FEM解析ソフトを用いて,面の打突部に打撃を与えたときの応力分布を解析した.その結果,打撃によって耳部よりも,頭頂部でのダメージが大きくなることが示唆された.
著者
池田 千里 山本 誠一 田口 收 鯨井 千佐登
出版者
宮城工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

平成8〜9年度の2年間、計画に沿って以下の研究を遂行し、一部は図書、学術誌等で公表した。1.奈良〜平安時代にかけての、東北地方の鉄生産の代表的な遺跡として、青森県の杢沢、宮城県柏木、福島県武井の各遺跡に着目し、現地での文献調査や出土資料収集も行った。2.古代からの日本周辺地域との交流の歴史の中で、朝鮮半島からの九州および畿内、日本海沿いへの影響、特に伽耶地方の古代製鉄遺跡遺構のの分布・立地状況の確認、文献資料収集と現地研究者との討論を行い、東北への鉄文化や製鉄技術の移入の経緯を探った。3.鉄器文化の中で、近世まで継続してきた「刃物」に着目し、古来の「鉄系クラッド材」として、種々の鉄と鋼について、鍛造および圧延による接合加工(鍛接)を行った。結果として、接合界面に微細な動的再結晶の形成と鍛錬組織の繰り返しなどの、変形特性や接合性に及ぼす加工率、温度、強度差、含有成分等の効果について系統的な金属学的依存性が認められた。4.上記1、2、の基盤を背景に、遺構の製鉄関連出土の鉄滓について、地理的・歴史的特徴をふまえ、化学成分関係、顕微鏡組織など、材料工学的見地から、比較・検討を行った。その結果、各地域での製鉄技術や炉内反応の共通点、相違点を明らかにすることができた。すなわち、鉄かんらん石の存在は、鉄収率は大幅に低減させていること、酸化チタンも、スラグに移行するときにウルボスピネル(Fe_2TiO_4)やイルメナイト(FeTiO_3)などを形成し、これらの化合物の形態と分布の相異に関連性があること、などが明らかになった。さらに、出土層位が異なる鉄滓組織の比較によって、酸化チタンの含有量の比較ができ、たたら製鉄の操業レベルが時代とともに向上していること、が確認できた。
著者
松浦 眞 生田 信之 石山 純一 鈴木 勝彦 野本 俊夫 今野 一弥 浅田 格 遠藤 智明 野角 光治
出版者
宮城工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は移動実験車を使って中学校への総合的学習への直接的支援活動を行うことを目的とするものであった。本研究を遂行するために必要な条件は第1に移動実験車を設置すること、第2に体験教室を実行できるスタッフを確保すること、第3に体験教室に必要な実験テーマを決定し、実験器具等の準備をすること、第4にこの活動の趣旨を広め、中学校から派遣要請を得ることであった。3年の研究期間を通してこれらの条件のうちはじめの3つの条件は満足できたが、最後の中学校からの派遣要請は予想より少なく必ずしも満足できるものではなかった。しかしながら、3年間の活動全体としては本活動が"リカレンジャー"の呼び名で全国紙やテレビで報道されたこともあり、爆発的ともいえる程の人気を得た。その結果、今や出動要請は引きも切らないほどで、5月には年間の申し込みを締め切らざるを得ないほどとなった。3年間の活動を通して実施した出前体験教室は計29回、教室参加者の合計は2200名以上、講師として参加した教職員の延べ人数は82名、アシスタント学生は延べ160名以上となった。またリカレンジャーの活動はマスコミに繰り返し報道され、地元テレビ局には7回登場し、新聞には3回、ラジオに1回取り上げられた。また読売新聞の全国版にも大きく報道された。このように本活動は青少年、特に小学生に対する理科離れ対策として大きな成功を収めることが出来た。本活動が成功した理由は、(1)移動実験車により求められればどこへでも出かけ、インパクトのあるサイエンスショーとものづくりの楽しさを体験できるワークショップを組み合わせで実施したこと。(2)リカレンジャーの名称やロゴをデザインしたそろいのTシャツを着るなど、子供達に親しみやすいイメージを与えたこと。(3)多くの学生の積極的協力が得られたこと等である。その結果、これまでに経験したことがない広範囲の子供達にサイエンスの不思議さやものづくりの楽しさを経験させることが出来た。本活動は従来各地で行なわれてきた青少年科学祭典とは異なる新しい活動スタイルを生み出したと言えよう。今後、この活動が中学校の理科教師に受け入れられ、中学校の理科教育への支援活動に貢献できるようにすることが課題である。
著者
丹野 浩一 佐藤 友章
出版者
宮城工業高等専門学校
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

近年、VOC、室内感染症、高齢化に伴う介護環境問題、ヒートアイランド現象、多様なウイルス疾病など衛生環境の悪化が問題になっている。これに伴って抗菌・坑かび材料の開発が活発に行われ有機系材料については2億円市場にも成長している。最近は無機系材料の開発にも関心がもたれ、酸化チタンなど光触媒材料が市場化されている。しかしながら光触媒系が効力を発揮するためには光源が必要であり、使用環境が限定される。本研究では多様な環境下で抗菌効果を発揮できる材料の開発を目的として、光触媒、非光触媒系複合抗菌材料の開発に関する基礎研究を行った。本研究成果が対象とする分野は、緑化計画に伴う植栽によるビル外壁のクラックの汚染、内装建材、介護環境の抗菌、排水管の抗菌やバイオコロージョン防止、水質汚濁の防止などである。本研究では、光触媒から酸化チタンを、そして非光触媒から抗菌性が証明されている貝殻、抗菌性金属などを用い、これらの複合粒子を作成し、それを焼結した。基礎研究として粒子単体の抗菌性、複合粒子の抗菌性、焼結体の抗菌性についてそれぞれ実験し比較検討した。その結果、試料単体の抗菌性については従来公表されている結果とほぼ同等の抗菌性があることがわかった。また、複合粒子とした場合には各抗菌要素の相乗効果が作用し、紫外光の有無にかかわらず、ほとんどすべての試料について抗菌性の発現が認められた。これに対し、焼結した試料については抗菌性は試料によって大きく異なる結果を呈した。PH測定などの結果、焼結により組成の変化が生じ、場合によっては中和傾向となる様相を呈し抗菌性が低下することが判明した。なお、研究推進における調査過程で将来の応用を考えた場合に環境影響にも配慮することの重要性が指摘されたため、本来目的としていた要件のひとつであった金属元素の効力比較については今回の実施を見合わせた。