- 著者
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金光 義彦
廣理 英基
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 基盤研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 2018-04-01
本研究では、半導体ナノ粒子や単原子層材料に固有の電子状態、電子間の強いクーロン相互作用、さらには特異的な表面電子状態に起因した高調波発生を探索するとともに、バルク結晶と比較することによりナノ構造固有の高調波発生のメカニズムを解明することを目的としている。初年度は、高次高調波発生の理解とその制御を目的として、2色の励起光源を組み合わせた励起・計測手法を新たに開発した。試料を中赤外光で強く励起することにより、バンド端から離れた大きな波数領域に電子を駆動して生じる高次高調波を測定した。特にレーザーの偏光に対する結晶角度依存性や強度依存性を測定し、強電場励起による非線形光学現象と従来の弱励起下での非線形光学との関係の解明を目指した。その結果、層状化合物半導体GaSeにおいて材料固有の特異なバンド構造を反映して、高次高調波発生の発生選択側が決定されることを初めて明らかにした。また、新しい光電変換材料である有機無機ハイブリッドハロゲン化鉛ペロブスカイト半導体の薄膜試料において、従来の半導体に比べて高効率な高次高調波発生を観測することに成功した。高効率な高次高調波発生の起源を明らかにするために、ペロブスカイト構造固有のバンド構造を取り込んだ理論計算も進めた。高調波の起源である非線形電流は励起された価電子帯内を運動する正孔が主要な寄与であり、従来とは異なるモデルによって説明できる可能性があることが分かった。