著者
金森 道
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2008-02

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2577号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2008/3/15 ; 早大学位記番号:新4736
著者
長谷見 雄二 山田 常圭 金森 道 李 海峰
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、環境共生建築のひとつの手法として注目されているアトリウム型建築とダブルスキン型建築について、自然換気と煙制御を両立させる技術的可能性を検討した。環境共生や省エネルギーの要求などから、自然換気の活用への期待が高まっているが、火災安全の視点からは、このように自然換気を促進するための開放的な空間構成は、火災時には、煙の流動拡大を引き起こし、全館に人命危険を及ぼすおそれが大きいため、特殊な例を除いてはなかなか普及していない。この実状は、自然換気システムは、今後、必要性を増すと考えられるにも関わらず、それに適した煙制御計画手法が未整備なままであることが、その適用を特殊な条件に限定し、普及や技術的展開を阻んでいることを浮き彫りにするものである。そこで、本研究は、自然換気と煙流動が同一の流体力学的原理-煙突効果に支配されることに注目し、新たな視点から、ソーラーチムニーによる自然換気システムをほぼそのまま煙制御システムとして利用する設計概念を提示して、その有効性・妥当性を模型実験と数値計算により実証した。本システムでは自然換気のシステムを煙制御に対しても用いることになるので、火災時にも機械の力を頼らずに自然換気システムのポリシーを一貫にしたうえ、設備・しくみが煙制御のためだけのものでない分、コスト的に有利になるものという二次的な効用も得られると考えられる。意匠・空間計画に対しては、排煙設備や遮煙シャッターなどが軽減・省略できるという観点では、本システムは有利なものであるといえる。本研究の成果に基づいて、現在の一般的なアトリウム型建築・ダブルスキン型建築に著しい改変を及ぼすことなく、火災安全性能を確保できるため、今後、自然換気を活用した環境共生・省エネルギーと火災安全性の両立を実現させる建築を普及させていくことが期待される。