著者
三宅 陽一 金田 義宏 原 茂雄 藤井 義雄
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.267-271, 1988-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

犬, 猫の避妊手術に起因する弊害を知る目的で, 当家畜病院で過去9年 (猫の場合は8年) の間に卵巣割去術, もしくは卵巣子宮全摘出術を受けた雌犬95頭, 雌猫162頭の畜主にアンケート調査を行った.その結果, 手術後に子宮蓄膿症候群を発症したものは犬, 猫ともに0%, 乳房 (腺) 腫瘍の発症はそれぞれ1.6%, 2.0%と低かった.しかし, 手術後に体重が手術前に比べて1.5倍以上になったものは10.9%(犬), 6.7%(猫) にみられた. また, 脱毛や皮膚病, 尿失禁や尿閉の発症が, 犬・猫ともに少なからず認められた. さらに, 不可能であるにもかかわらず, 産子を得たいとする畜主 (犬で19.4%, 猫で9.4%) が少なくないことが注目された.
著者
岡田 啓司 加崎 弘康 東郷 幸 冨澤 伸行 原 茂雄 金田 義宏
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.673-676, 1995-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
13

健康なビーグル犬各7頭に, 消風散, 当帰飲子, 小柴胡湯および小青龍湯の漢方方剤1.25g (小青龍湯は1.5g) を朝, 夕2回に分割して連続7日間経口投与したところ, 消風散を除く3方剤により, Compound 48/80に対する皮内反応を指標とした肥満細胞脱顆粒作用は有意に抑制され, 当帰飲子を除く3方剤により, リン酸ヒスタミンに対する皮内反応を指標とした抗ヒスタミン作用は有意に増強された. また, 小青龍湯および小柴胡湯投与開始後7日には, 血中Cortisol濃度が投与開始前に比べて有意に増加した.
著者
岡田 啓司 菊地 薫 三浦 潔 佐藤 利博 森田 靖 田高 恵 荻野 朋子 金田 義宏
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.74-79, 1997-02-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
19
被引用文献数
4 3

生後1-6週齢の白痢発症黒毛和種子牛とその母牛16組および健康な母子牛5組について, 白痢発症とアルコール不安定性母乳との関連を検討した.発症子牛16頭の母乳はアルコール試験陽性9頭 (56.3%)(A群), 陰性7頭 (B群) であった.血液所見から発症子牛の母牛は非発症健康対照群 (C群) に比べて低エネルギー状態にあることが示唆され, 子牛は低脂質血症を示した.またA群母牛はB群に比べて血中アンモニア濃度は高値を, 乳清中グルコース (GLU), カルシウムは低値を示し, 子牛の血中トリグリセライドは高値であった.A群母牛にメンブトン5gを2日間経口投与したところ, アルコール不安定乳は全頭で改善され, 子牛7頭の白痢は治癒した.メンブトン投与後母牛乳清中GLUは増加した.以上から母牛のエネルギー不足がアルコール不安定乳と子牛の白痢の誘因と考えられた.
著者
金田 義宏 岡 基 旭 興正
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.68-76, 1969-09-30 (Released:2008-05-15)
参考文献数
12

1964年6月から1965年8月の間,青森県集約酪農地域内で乳牛飼養頭数の比較的多い8市町村において,400戸の農家を対象として3回にわたって成雌牛延3,520頭の繁殖状況を調査して次の成績が得られた。1.妊否の割合は各調査時ともほぼ同率でとくに差異は認められなかった。2.病的空胎牛は510頭(14.5%)で,この内訳は卵巣疾患が166頭(32.6%),卵巣と子宮疾患の合併症が168頭(32.9%)で最も多く,ついで子宮疾患が119頭(23.3%),低受胎が25頭(4.9%),その他31頭(6.3%)であった。3.卵巣疾患の主体は鈍性~微弱発情および卵胞発育障害で,その他に持続性発情,卵巣嚢腫,黄体形成不全,卵巣卵管癒着,永久黄体が少数みられた。4.子宮疾患の主体は子宮内膜炎で,その他に子宮下垂,子宮粘液症,頸管炎,子宮発育不全,子宮膿瘍がみられた。5.腟疾患では尿腟が多く,その他に腟炎が少数みられた。6.経産牛では鈍性~微弱発情,卵胞発育障害あるいはこれに子宮内膜炎を併有する合併症が多く,未経産牛では子宮内膜炎,低受胎,卵巣発育不全が多くみられた。7.子宮疾患,卵巣•子宮•腟疾患の合併症,腟疾患および低受胎と診断されたもののうち,1年以内に回復受胎したものは39.1%(52/133頭)であり,卵巣疾患および卵巣•子宮疾患の合併症における65.4%(138/211頭)と比較して低率を示していた。8.調査期間中に受胎した1,076頭のうち授精3回以内で受胎したものは,未経産,経産牛ともに90%内外を示していたが,空胎期間がかなり長いものが経産牛において多く認められた。9.空胎期間は分娩月によってかなりの差がみられ,4~6月および11~12月分娩牛はその他の月の分娩牛に比べて長い傾向がみられた。10.調査期間中に売却された乳牛421頭のうち繁殖障害および不妊の理由によるものが124頭(29.5%)でかなり高率を示していた。11.繁殖成績は地区により著しく異なり,病的空胎率はとくに開拓農家において高率であった。