著者
佐々木 淳 岡田 啓司 佐藤 至 佐藤 洋 千田 広幸 大谷 久美子 池田 光秀 池田 美喜子 山本 幸男 渡部 典一
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故から1年が経過した頃より、福島県の帰還困難区域内で飼育・維持されている黒毛和牛の皮膚に白斑がみられはじめ、放射線被ばくの影響が懸念されたことから、その原因究明のため調査・研究を行った。白斑は頭頚部、体幹部、四肢などほぼ全身で認められた。白斑の大きさは直径1cm程度であり、白斑部では被毛の白色化とともに皮膚が肌色に退色しているものもみられた。皮膚生検による組織学的検索では、病変部に一致してメラニン色素の減少・消失とメラノサイトの減数が認められた。本研究結果より本病変は尋常性白斑と診断され、原因はメラノサイトの減少と活性低下の可能性が示唆された。
著者
阿南 智顕 菊池 薫 一條 俊浩 岡田 啓司 佐藤 繁
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.154-160, 2016-03-15 (Released:2016-10-02)
参考文献数
15

子牛に対するグリセロール投与の効果を明らかにする目的で,絶食した子牛と下痢症のために衰弱した子牛にグリセロールを1回経口投与し,エネルギー補給効果と衰弱症状の改善効果を検討した.その結果,投与群では投与量(50 ~ 200mℓ)および投与方法(カテーテル,哺乳ビン)にかかわらず,投与後に血糖(Glu)が上昇して遊離脂肪酸(FFA)が低下する傾向が認められた.Gluはカテーテルおよび哺乳ビン投与牛ともに,200mℓ投与牛で投与後2時間にピークを示して12時間まで持続し,Glu上昇とFFA低下の程度や持続時間は,投与量が増えるに伴って大きくかつ長い傾向がみられた.このことから,2 ~ 4カ月齢子牛に50 ~ 200mℓのグリセロールを投与すると,量依存性にGluが高値を示し,エネルギー補給効果のあることが明らかにされた.一方,野外の下痢症子牛を対象としてグリセロール200mℓ のカテーテルでの経口投与による衰弱症状と糞便性状の改善効果を検討した結果,活力の低下や消失,起立困難や歩様蹌踉などの衰弱症状は,投与翌日に11頭中10頭で活力が向上し,3頭で起立困難と歩様蹌踉の改善傾向がみられた.糞便性状は投与翌日に11頭中3頭で色調,8頭で性状,また,3頭で臭気に改善傾向がみられた.このことから,下痢症により衰弱症状を呈した子牛に対してグリセロール200mℓ をカテーテルで経口投与することは,下痢症からの回復を早める手段として有効であることが示唆された.
著者
岡田 啓司 加崎 弘康 東郷 幸 冨澤 伸行 原 茂雄 金田 義宏
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.673-676, 1995-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
13

健康なビーグル犬各7頭に, 消風散, 当帰飲子, 小柴胡湯および小青龍湯の漢方方剤1.25g (小青龍湯は1.5g) を朝, 夕2回に分割して連続7日間経口投与したところ, 消風散を除く3方剤により, Compound 48/80に対する皮内反応を指標とした肥満細胞脱顆粒作用は有意に抑制され, 当帰飲子を除く3方剤により, リン酸ヒスタミンに対する皮内反応を指標とした抗ヒスタミン作用は有意に増強された. また, 小青龍湯および小柴胡湯投与開始後7日には, 血中Cortisol濃度が投与開始前に比べて有意に増加した.
著者
宮崎 珠子 宮崎 雅雄 安田 準 岡田 啓司
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.54-61, 2010-11-05 (Released:2012-12-07)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

哺乳子牛は,摂取した乳汁を第四胃で凝乳し,固体成分のカードと液体成分のホエーに分けて消化を行う特有の消化機構を有する.本報では,子牛の第四胃のカード形成を,超音波画像診断法を用いて,リアルタイムに評価する手技について報告する.プローブを正中線に沿って動かして第四胃の横断像を描出し,第四胃が最大に見えた部位でプローブを体側方向に動かし,左右両方の側面から第四胃の内容物について観察することで,カードは明瞭な輪郭を持つエコージェニックな画像として,ホエーはエコーフリーな画像として描出される.カードの有無を含めた形成状態を評価する最も適した時間は,明瞭な輪郭を持つ大きな一塊のカードが観察される哺乳後1〜2時間が推奨される.超音波検査は非侵襲的であり,無麻酔での検査が可能なため,野外でも臨床応用できる利点がある.同じ凝乳する代用乳を哺乳した29頭の子牛について,第四胃のカード形成状況を調べたところ,29頭中8頭の子牛でカードが形成されず,凝乳する代用乳を哺乳してもカードを形成しない子牛が存在することを明らかにできた.以上のように,第四胃の超音波検査は,リアルタイムに哺乳子牛のカード形成を評価でき,カード形成牛と非形成牛の迅速なスクリーニングが可能になった.
著者
岡田 啓司 古川 岳大 安田 準 内藤 善久
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.713-718, 2002-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ホルスタイン種乳牛25頭を適正 (N) 群, 高デンプン (S) 群, 高タンパク (P) 群の3群に分け, 血中乳酸 (LA) およびアンモニア (NH3) 濃度とルーメン環境との関連を検討した. S群のルーメン液中総原虫数は採食後に著しく減少し, 活性度も低下した. ルーメン液中LA濃度は光学活性の異なるD-LA, L-LAともに採食後2時間に増加し, ルーメンpHはその後も低下し続けた. ルーメン液中および血中それぞれのD-LAとL-LA濃度との間には正の相関があった. ルーメン液中NH, 濃度はP群で採食後2時間以降に著しい増加を示したが, N群およびS群では採食後4時間に減少した. 採食後4時間のルーメン液中と血中NH3濃度に相関があった. 以上より, 血中NH, 濃度は, 乳牛が摂取した飼料中のタンパク質のルーメン内における消化の状態を反映していると考えられた.
著者
岡田 啓司 小林 晴紀 花田 直子 平沼 宏子 林 奈央 嵐 泰弘 千田 廉 出口 善隆 佐藤 繁
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.183-188, 2011-12-30 (Released:2013-05-17)
参考文献数
12
被引用文献数
1

挙肢を行わない簡便な蹄病診断法の確立を目的として,3軸加速度センサと跛行スコアを組み合わせて,牛の跛行の主な原因となっている蹄底潰瘍および白帯病の摘発を試みた.その結果,正常牛の歩様は外蹄から着地し内蹄で踏み切り,重心が左右にぶれない安定した歩様であるため,跛行スコアは1,加速度変量総和は3622±227m/s2で安定していた.蹄底潰瘍罹患牛は歩行時に罹患肢の内蹄と外蹄を同時に着地し,跛行スコアは2~3,加速度変量総和は7225±877m/s2であり,正常牛に比べて有意(p<0.01)な高値を示した.白帯病罹患牛の加速度変量総和は正常牛と同様の値を示したが,跛行スコアは3~4であった.よって加速度センサと跛行スコアを組み合わせることにより蹄底潰瘍と白帯病を摘発できる可能性が示唆された.
著者
岡田 啓司 深谷 敦子 志賀 瀧郎 平田 統一 竹内 啓 内藤 善久
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.311-315, 2003-05-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

黒毛和種母牛5頭を分娩後低でんぷん飼料で飼養し, その後にデントコーンサイレージ3kg/日を追加給与した結果, 全頭の子牛は給与開始後1~3日に軽度の糞便性状の変化 (前駆症状) を示し, 5~7日に水様性白痢を発症した. この時, 母乳の乳脂肪率は前駆症状発現当日および白痢発症当日の朝に増加した. 母乳のpHは白痢発症前日に大きく変動した. 乳脂肪中パルミチン酸とステアリン酸は前駆症状発現前日から増加した. 子牛の血中トリグリセライドと遊離脂肪酸濃度は前駆症状発現当日に低下したが, 白痢発症前日には元の値に復した. このように母牛の飼料の変更は母乳成分を変化させ, それにより子牛の消化管での脂肪の吸収低下が引き起こされて白痢の発症した可能性が示唆された.
著者
山岸 則夫 入江 陽一 能登 はる菜 浪岡 徹 岡田 啓司 大澤 健司 内藤 善久
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
日本家畜臨床学会誌 (ISSN:13468464)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.16-19, 2006-06-10 (Released:2009-04-22)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

30日齢のホルスタイン種子牛1頭(雄)が、急性に落ち着きなく寝起きを繰り返し、起立時には腹部を蹴り上げるなどの疝痛症状を示した。排便量は少なく、腹部は進行性に膨満し振盪にて拍水音が聴取された。血液一般検査では、白血球数の著しい増加が顕著であった。腹部X線検査では、ガスが膨満しループ状になった小腸が腹腔内全域に観察された。右〓部切開による試験的開腹では、ガスで膨満した小腸が腹腔内に充満していた。触診にて腸問膜根の約180°反時計方向への捻転を確認し、これを用手的に整復した。術後、症例は速やかに回復した。
著者
渡邉 貴之 小西 一之 野口 浩正 大福 浩輝 岡田 啓司
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.7-12, 2012-06-30 (Released:2013-05-17)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

黒毛和種経産牛の栄養状態と胚移植受胎率の関連性について調査した.試験はⅠ期とⅡ期に分けて実施した.泌乳していない黒毛和種経産牛を,Ⅰ期は61頭,Ⅱ期は29頭供試した.移植胚は新鮮1胚または凍結1胚とした.粗飼料は全て収穫時に飼料分析を行った自家産数種の乾草または低水分サイレージのうち2種類をTMRミキサーで混合して給与した.飼料設計は,Ⅰ期は可消化養分総量(TDN)130%,乾物摂取量(DMI)100%以上とし,可消化粗蛋白質(DCP)は考慮しなかった.Ⅱ期はⅠ期の代謝プロファイルテスト(MPT)結果を考慮して,これら粗飼料に圧片トウモロコシを加えTDN 120%,DCP 200%未満,DMI 100%以上とした.両期とも胚移植開始2カ月前から体重が維持できるよう混合粗飼料の給与量を調整した.Ⅰ期は20頭,Ⅱ期は10頭を無作為に抽出し,MPTを胚移植開始1カ月後に実施した. TDNの充足率はⅠ期がⅡ期よりも有意に高かった(137% 対113% , p<0.01)が,MPTを取り入れ高タンパク状態を改善したⅡ期のDCP充足率はⅠ期に比べ有意に減少した(310%対147% , p<0.01).DMI充足率は114%と107%で差は認められなかった.給与した飼料の平均デンプン(NFC)含量はⅠ期が7.9%,Ⅱ期が17.6%とⅡ期が有意に高かった.Ⅱ期はⅠ期に比べ血中遊離脂肪酸,β-ヒドロキシ酪酸が有意に低かった(p<0.05,p<0.01)ことから,低NFCに起因するル-メンの発酵不足によるエネルギー不足が改善されたことが考えられた.また,血液尿素窒素もⅡ期がⅠ期に比べ有意に低かった(p<0.01)ことから,Ⅱ期では,Ⅰ期においてみられたルーメン発酵不足と高タンパク飼料によるル-メン内の利用しきれないアンモニアの発生が抑えられたと考えられた.胚移植受胎率はⅠ期37.7%(23/61),Ⅱ期は65.5%(19/29)とⅡ期が有意に高く改善された(p<0.05).以上のことから,黒毛和種受胚牛の受胎率はDCPの過剰摂取やDCPとNFCのアンバランスな場合に低下すること,MPTを基にした飼料設計で改善することが認められた.また,イネ科牧草の飽食給与は,著しい蛋白過剰をもたらす可能性があることが明らかになった.
著者
生田 健太郎 西森 一浩 安田 準 岡田 啓司
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-8, 2014-06-30 (Released:2014-07-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1

泌乳牛における糞尿排泄量,窒素(N)出納,養分消化率および第一胃微生物態N合成量(MNS)と血液成分との関連性を検討するため,初産牛と経産牛を4頭ずつ供試し,一期14日間のクロスオーバー法で全糞尿採取法によるN出納試験を行った.糞尿排泄量,N出納,養分消化率およびMNSに関する27項目を目的変数とし,血液成分を3つの説明変数群(飼料摂取前,飼料摂取後および飼料摂取前後の差,各13項目)として,81例の重回帰分析を行った.その結果,有用な重回帰式(決定係数(R2) ≧0.5)が62式得られた.これらのうち,飼料摂取前の血液成分を説明変数群とした場合,尿中へのN排泄量,糞尿合計へのN排泄量,乳中へのN排泄量,尿中へのN排泄割合および非繊維性炭水化物(NFC)消化率において精度の高い重回帰式(R2≧0.8)が得られた.飼料摂取後の血液成分を説明変数群とした場合,尿量,N摂取量,糞中へのN排泄量,尿中へのN排泄量,糞尿合計へのN排泄量,糞中へのN排泄割合,N消化率,粗脂肪消化率およびNFC消化率において精度の高い重回帰式が得られた.飼料摂取前後の差を説明変数群とした場合,生糞量,糞中へのN排泄量,糞尿合計へのN排泄量,中性デタージェント繊維消化率において精度の高い重回帰式が得られた. 以上のことから,血液成分が泌乳牛の糞尿排泄量,N出納および養分消化率を反映していることが証明され,野外での把握が困難であったこれらの値を血液成分から推定できることが示唆された.