著者
木村 祐哉 原 茂雄
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.349-352, 2008-04-25
被引用文献数
10

鍼治療のもつ長期的効果の検討のため,犬の自律神経の概日リズムに対して電気鍼刺激がもつ影響について,コサイナー法を用いて評価した.自律神経機能の指標としては心拍変動の周波数解析を用いた.温度,日照時間をコントロールした環境制御室において馴化させたビーグル犬を用い,保定のみの場合,あるいは保定した上で電気鍼刺激を加えた場合の24時間心電図データを求めた.保定のみの場合では15分間保定台にくくりつけるのみとし,電気鍼刺激はその間,脊椎上に存在する2箇所の経穴(GV-5, GV-20)に刺入した鍼を電極として5V, 250μsecの電流を2Hzの頻度で加えた.心電図データからは心拍数および心拍変動の変動係数(CVRR),高周波数成分(HF),低周波数成分/高周波数成分比(LF/HF)を求めた.得られた5頭分のデータによると,心拍数は刺激後に最大となり,その後減少する傾向が見られた.その他の心拍変動の指標では明期に減少し,暗期には次第に増加する傾向が見られた.コサイナー法によると刺激の有無に関わらずいずれの指標も有意な24時間周期を示し,それぞれの周期性を比較すると,交感神経活動の指標とされるLF/HFで水準の上昇(P=0.006)と頂点位相の前進(P=0.012)がみられた.結論として,電気鍼刺激は犬における交感神経の概日リズムを前進させ,またその水準を上げる効果をもつことがわかった.
著者
三宅 陽一 金田 義宏 原 茂雄 藤井 義雄
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.267-271, 1988-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

犬, 猫の避妊手術に起因する弊害を知る目的で, 当家畜病院で過去9年 (猫の場合は8年) の間に卵巣割去術, もしくは卵巣子宮全摘出術を受けた雌犬95頭, 雌猫162頭の畜主にアンケート調査を行った.その結果, 手術後に子宮蓄膿症候群を発症したものは犬, 猫ともに0%, 乳房 (腺) 腫瘍の発症はそれぞれ1.6%, 2.0%と低かった.しかし, 手術後に体重が手術前に比べて1.5倍以上になったものは10.9%(犬), 6.7%(猫) にみられた. また, 脱毛や皮膚病, 尿失禁や尿閉の発症が, 犬・猫ともに少なからず認められた. さらに, 不可能であるにもかかわらず, 産子を得たいとする畜主 (犬で19.4%, 猫で9.4%) が少なくないことが注目された.
著者
岡田 啓司 加崎 弘康 東郷 幸 冨澤 伸行 原 茂雄 金田 義宏
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.673-676, 1995-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
13

健康なビーグル犬各7頭に, 消風散, 当帰飲子, 小柴胡湯および小青龍湯の漢方方剤1.25g (小青龍湯は1.5g) を朝, 夕2回に分割して連続7日間経口投与したところ, 消風散を除く3方剤により, Compound 48/80に対する皮内反応を指標とした肥満細胞脱顆粒作用は有意に抑制され, 当帰飲子を除く3方剤により, リン酸ヒスタミンに対する皮内反応を指標とした抗ヒスタミン作用は有意に増強された. また, 小青龍湯および小柴胡湯投与開始後7日には, 血中Cortisol濃度が投与開始前に比べて有意に増加した.
著者
杉原 茂雄 佐藤 裕一 千葉 尚 三野 正幸
出版者
一般社団法人 日本液晶学会
雑誌
日本液晶学会討論会講演予稿集 2006年 日本液晶学会討論会 (ISSN:18803490)
巻号頁・発行日
pp.90, 2006 (Released:2008-03-13)

液晶セルに4つの信号を印加することにより円形の絞りを作ることができる。この絞りは液晶の透過率-電圧特性からなだらかな透過率分布を持ったものとなる。これを用いて点像を撮影した場合,高い空間周波数までコントラストが高く,位相の反転のない像が得られることが光学的伝達関数の計算から明らかになった。この液晶絞りをカメラレンズの前に置いて実景を撮影したところ,期待した効果が得られ,さらにこの透過率分布をなだらかにするセル構造を検討した。
著者
宮原 宏輔 市川 輝夫 向原 茂雄 岡田 富 郭 樟吾 谷野 慎 瓜生 康浩 坂本 雄大 畑岡 峻介 藤津 和彦
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.416-421, 2013 (Released:2014-01-29)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

The surgical procedure for a brainstem lesion must be carefully considered because of the critical neurological functions of the brainstem. We have surgically treated brainstem cavernous angioma after bleeding without significant postoperative morbidity, because the boundary between the angioma and normal brain tissue is generally well demarcated by preceding hemorrhages. However, because the angioma tissues are often destroyed by hemorrhage, care must be taken not to leave any pieces of the angioma tissue. To reduce the risk of morbidity, surgeons must investigate carefully when performing the operation. We analyze the surgical results and pathological findings of nine cases of symptomatic brainstem cavernous angiomas, and discuss the various surgical strategies especially based on the timing of surgery.
著者
石澤 英亮 増井 良平 齋藤 諭 久保田 敬士 真原 茂雄
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学術講演大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.26, pp.376-378, 2012

導電粒子として、表面に低融点半田を被覆した樹脂粒子を用いた異方性導電接着材を開発した。従来のAuやNiメッキ樹脂粒子を用いた異方性導電材料の物理接触による導電性と比較し、この半田被覆樹脂粒子を用いることで、金属接合による高い接続信頼性を発現した。 また、半田の溶融による接続であるため、樹脂粒子の変形がさほど必要でなく、従来の圧着加重に対し、1/2~1/3といった低圧での実装が可能となった。 さらに、フラックス性の付与により、Cu電極の接続も可能となった。
著者
田辺 晃久 本間 康彦 兼本 成斌 日野原 茂雄 五島 雄一郎
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.323-331, 1984
被引用文献数
2 1

試作体位センサーによる体位情報とホルター心電図との同時記録から,虚血ST-T変化と体位ST-T変化との鑑別を試みた.対象は陳旧性心筋梗塞(OMI) 16名,狭心症(AP) 16名,健常例11名の計43名であつた.虚血ST変化はOMIで3/21件(14%), APで29/35 (83%)とAPに多く,体位ST変化はOMIで13/21 (62%), APで5/35 (14%)とOMIに多かつた.最大ST変化に至る時間は体位ST変化では10秒以内が18/25 (72%)と大多数を占めたのに対し,虚血ST変化では1分以上が28/32 (88%)と大多数を占めた.体位T変化についても10秒以内が15/18 (83%)と大多数を占めたのに対し,虚血T変化では10秒以内はわずか2/13 (15%)ときわめて少なかつた. CM<sub>5</sub>誘導における体位ST変化の20/22 (91%), T変化の19/21 (90%)は体位変換前後で標準12誘導心電図のV<sub>4</sub>, V<sub>5</sub>, V<sub>6</sub>のいずれかに対応して変化した.すなわち,これらの変化の原因は心軸回転で説明可能であつた.しかし,体位ST-T変化のうちST変化で2/22 (9%), T変化で2/21 (10%)は心軸回転で説明不能であつた. ST-T変化前に対する変化後の心拍数増加率(HR比)は虚血ST-T変化では高値例が多く,体位ST-T変化では少なかつた.とくにT変化でHR比1.3以上は虚血T変化の12/16 (75%)に対し,体位T変化では3/21 (14%)ときわめて少なかつた.以上より,ホルター心電図法の体位ST-T変化の虚血ST-T変化に対する鑑別点として, (1)ST-T丁変化の最大に至る時間, (2)標準12誘導心電図との比較, (3)心拍数増加の有無などの検討が重要と考えられた.
著者
冨澤 伸行 山手 寛嗣 荻野 朋子 原 茂雄
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.115-118, 2001-02-20

左側肘関節の脱臼に対して整復術を試みたものの, 改善の認められなかったポメラニアン種の雄 (4歳) に対して関節固定術を実施した. 右側肘関節のX線写真において, 肘突起の欠損および鈎状突起の低形成が認められたことから, 本症例の肘関節脱臼の要因が先天性の肘関節異常であることが強く疑われた.