著者
岩崎 久美子 豊 浩子 立田 慶裕 福本 徹 金藤 ふゆ子 須原 愛記 笹井 宏益
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、貧困家庭の増加など、子どもをめぐる成育環境の悪化が社会問題化し、家庭の社会経済的背景に由来する教育格差が拡大・再生産される懸念が生じている中で、国内外の格差是正のための先導的事例を検証し、我が国の施策に資する知見を提供することを目的としている。平成29年度は、英国に焦点を当て、子供の貧困に関する関係書籍や文献による分析を行い、併せて英国での現地調査を実施した。英国の現地調査では、英国に在住する海外共同研究協力者とともに子供の貧困問題を扱うチャリティ団体を特定し、視察・関係者への聞き取りを行った。訪問したチャリティ団体は、①就学前教育や保育の分野の研究にさまざまな助成金を提供しているNuffield Foundation、②ロンドン市長がパトロンでロンドンの貧困層の子供たちを対象にウェルビーイング、スキル、雇用と起業に関する支援を行うThe Mayor's Fund for London、③Lambeth地区の貧困家庭に対し10年計画の早期介入プログラムを多機関連携により実施しているLambeth Early Action Partnership、④ホームレスの若者に住居を提供、雇用支援、教育(英語、リテラシー、ITスキル、職業訓練、幼児教育、育児教育)などを通して雇用機会や社会復帰を支援するThe Cardinal Hume Centre、⑤貧困と子供の保護に関するプログラムを提供することを通じ課題を把握し国、地方自治体への政策提言を行っているThe Children's Society、⑥貧困、恵まれない環境、社会的孤立状態にある人々への実践的、情緒的、財政的支援を行う英国で最も古いチャリティの一つであるFamily Actionである。これらの聴取内容の一部は、雑誌『社会教育』に、英国NPO(チャリティ)の事例紹介として連載している。
著者
金藤 ふゆ子 岩崎 久美子
出版者
文教大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究は、保護者や地域住民による学校支援が、教員の職務遂行に及ぼす効果を明らかにすることを目的とした。学校・家庭・地域の連係による教員の推進は、教育基本法に明記される新たな教育の方向性であり、本研究はその効果を教員の観点から解明した。学校支援は、放課後子ども教室事業や学校支援地域本部事業に着目し、当該事業を実施する学校に勤務するか否か別に、教員の意識やストレスを比較分析した。K県全小中学校教員調査、及び全国小学校教員調査を質問紙調査により実施し、分析を行った。保護者や地域住民の学校支援は、教員の職務遂行上の肯定的意識を高め、かつ児童生徒を肯定的に捉える傾向に影響することが明らかとなった。