著者
鈴木 啓悟 吉田 翔太 佐々木 栄一 竹谷 晃一 前田 健児 近藤 泰光
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_731-I_737, 2016 (Released:2017-01-29)
参考文献数
14

橋梁の腐食損傷は主として水分と塩化物の存在に影響を受ける.これらの腐食因子は風向,風速,気温,湿度,降雨,波浪などの気象外乱の複合作用により橋梁に来着する.本研究は,ACM センサで計測される腐食応答電流値を主とした1年間のモニタリングデータを基に,まず外乱となる気象データから重回帰式を求めた.次に重回帰式から過去5年分の気象データをもとにしたACM電流応答の推定値を算出し,その季節変動に伴う応答傾向の再現性を検証したうえで,最後に重回帰式の各係数のt値を評価することで,腐食応答に及ぼす原因について検証した.検証の結果,本研究の事例においては降雨と風の相互作用により,腐食応答が促進される可能性が示唆された.
著者
宮里 心一 深田 宰史 田中 泰司 花岡 大伸 伊藤 始 鈴木 啓悟 杉谷 真司 宇津 徳浩 井林 康 津田 誠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.F5-0089, 2023 (Released:2023-02-20)
参考文献数
56

市町村は多くのインフラを管理しているが,そのメンテナンスに苦労している.特に北陸地方のコンクリート構造物では,塩害やASRによる劣化が生じやすく,早急な対応が望まれる.このような背景を踏まえて本稿では,地元の大学・高専教員が連携して,市町村が管理する道路橋を対象にした,メンテナンスの合理化に向けた支援について論ずる.はじめに,新潟県上越地区・富山県・石川県・福井県の41市町に対してヒアリング調査を実施し,課題とニーズを抽出した.次に,これらを改善すべく,コンクリート橋に対する点検・診断・措置の手順案を策定し,また技術展示会を開催し,さらに実橋を用いた補修効果の評価に取り掛かった.以上により,市町村の実情を起点とした,官学連携による道路橋の維持管理の合理化に向けた実績とその評価を整理した.
著者
平尾 賢生 鈴木 啓悟 木村 定雄 北 隆之介 森山 守
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_739-I_746, 2017 (Released:2018-01-31)
参考文献数
9

近年,道路橋のRC床版の劣化が問題となっている.そこで,本研究ではRC床版内の水平ひび割れに焦点を当て,道路橋におけるRC床版を模擬した試験体を対象に超音波探傷を行い,水平ひび割れ位置の検出手法を提案した.本手法はアスファルト表面から低周波の超音波を入射して計測した波形の内,水平ひび割れおよびそれに形状を準ずる面状境界から得る反射波形データに基づき,複素型実信号マザーウェーブレット(CRMW)を作成する.作成したCRMWを用いて連続ウェーブレット変換処理(CWT)を行うことで反射波を信号処理し,水平ひび割れ位置情報を分析する.本手法を適用した結果,波形の極大値は水平ひび割れの位置と一致しており,良好な検出性能を有することが明らかとなった.