著者
宮里 心一
出版者
金沢工業大学
雑誌
KIT progress : 工学教育研究 (ISSN:13421662)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.51-60, 2011-03-15

産学共同研究の一部が、工学設計IIIの研究プロジェクトになる場合がある。すなわち、学生は教員ならびに共同研究先の企業人とチームを組み、プロジェクトが推進される。したがって、その結果として研究成果が挙がるとともに、学生にとっては教員のみならず企業人からも教育的指導を受けることによる能力向上が期待できる。本論文では後者に注目し、産学共同研究プロジェクトに参画した5人の4年生に関する教育効果を整理した。すなわち、教員のみならず企業人も、学生のエンジニアリングデザイン能力(2点)と人間力(3点)の計5つの観点に関して3度に亘り評価し、その後に学生も自己評価する教育システムを試行した結果を分析した。その結果、共同研究プロジェクトを通じた産学連携による教育は、学生の能力向上に大いに役立つことが明らかになった。
著者
鎌田 敏郎 西田 孝弘 今本 啓一 宮里 心一 長田 光司 河合 慶有 網野 貴彦 大即 信明
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.987-992, 2022 (Released:2023-11-01)
参考文献数
2

(公社)日本コンクリート工学会では,「コンクリートのひび割れ調査,補修・補強指針-2013-」を,同指針2009の小改訂として刊行している。2009年の大改訂から13年が経過し,この間の新たな知見を加え,この度,「コンクリートのひび割れ調査,補修・補強指針 2022」を刊行した。この指針は,ひび割れに関心のあるすべての方が,ひび割れ発見から,調査,原因推定,評価,判定,補修・補強を体系化して行える指針である。本稿では同指針の内容を解説する。
著者
宮里 心一 深田 宰史 田中 泰司 花岡 大伸 伊藤 始 鈴木 啓悟 杉谷 真司 宇津 徳浩 井林 康 津田 誠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.F5-0089, 2023 (Released:2023-02-20)
参考文献数
56

市町村は多くのインフラを管理しているが,そのメンテナンスに苦労している.特に北陸地方のコンクリート構造物では,塩害やASRによる劣化が生じやすく,早急な対応が望まれる.このような背景を踏まえて本稿では,地元の大学・高専教員が連携して,市町村が管理する道路橋を対象にした,メンテナンスの合理化に向けた支援について論ずる.はじめに,新潟県上越地区・富山県・石川県・福井県の41市町に対してヒアリング調査を実施し,課題とニーズを抽出した.次に,これらを改善すべく,コンクリート橋に対する点検・診断・措置の手順案を策定し,また技術展示会を開催し,さらに実橋を用いた補修効果の評価に取り掛かった.以上により,市町村の実情を起点とした,官学連携による道路橋の維持管理の合理化に向けた実績とその評価を整理した.
著者
宮里 心一 伊代田 岳史 白旗 弘実 小田 義也 塩見 康博 鶴田 浩章
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集H(教育) (ISSN:18847781)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.1-9, 2019 (Released:2019-01-20)
参考文献数
23

グローバル化が進む中,学部と大学院修士課程における6年間の教育による土木技術者の育成が望まれている.この様な背景を踏まえて本論文では,社会で活躍する人材を大学・大学院で効果的に育成すべく,産業界で活躍するために必要な能力を整理した上で,それらを学生が習得するための授業について検討した.加えて,意欲の高い学部生が大学院へ進学する動機付けを精査した.その結果,コミュニケーション能力や論理的思考力等が産業界で求められており,それらは大学院の研究活動および研究室活動で顕著に育まれることを明らかにした.また,現場見学や技術者との交流により,学部生は土木が社会で役立つ本質を認識し,学習意欲の向上につながるとともに,大学院進学のきっかけになることを確認し,これらを盛り込んだ授業を整理した.
著者
橘高 義典 今本 啓一 半井 健一郎 山田 一夫 宮里 心一
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.984-991, 2014 (Released:2015-11-01)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

東日本大震災での福島第一原子力発電所の事故により,放射性物質を有する汚染水が敷地内に大量に残留しており,それらの処理,一時保管,漏洩防止などが重要な課題となっている。また,外部に飛散した放射性物質により汚染された廃棄物などの処理,処分,再利用技術が必要とされている。本稿では,コンクリート工学の視点からこれらの問題に関連する既往研究,報告,技術提案などを概説する。
著者
平野 誠志 加賀谷 悦子 宮里 心一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.22-00238, 2023 (Released:2023-04-20)
参考文献数
7

著者が所属する道路関連会社において,2020年4月から5月にかけて20名の新型コロナウイルス感染者が発生し,クラスターと呼ばれる感染者の集団が発生した.本研究では,事前に策定された既存の感染症BCPに基づき実施した対策について,レジリエンスによる再評価を実施した.すなわち,感染症リスクを低減し感染拡大から回復する力を「レジリエンスの大きさ」,実際の感染者や濃厚接触者,自宅待機者などが通常業務に及ぼす影響を「損害の大きさ」と定義し,両者を比較した「総合評価」を用いて対策の妥当性の再評価を行った.さらに,再評価結果および既存の感染症BCPの準用結果を用いて,新型コロナウイルス感染症を対象にしたBCPに反映すべき対策の提案を行った.
著者
林 俊斉 齋藤 淳 宮里 心一
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.178-184, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
10

本研究はコンクリートの乾燥収縮に各種粗骨材の品質が及ぼす影響を明らかにすることを目的として、岩種および産地の異なる粗骨材を用いて実験的検討を行った。特に粗骨材の品質の内、吸水特性に着目し、一般的な吸水率に加えて、吸水・放水時の膨張・収縮ひずみや化合水についても検討した。その結果、粗骨材の吸水膨張ひずみが岩種によらずコンクリートの乾燥収縮との相関が高いことを確認した。その上で粗骨材のひずみ特性が異なる要因を化学的に分析し、骨材の化合水量が吸水膨張ひずみと相関が高いことを示した。これにより少量の試料で短時間に測定可能な化合水量により、コンクリートの乾燥収縮を推定できる可能性を新たに示した。
著者
高原 利幸;TAKAHARA Toshiyuki 宮里 心一;MIYAZATO Shinichi
出版者
金沢工業大学
雑誌
工学教育研究;KIT progress (ISSN:13421662)
巻号頁・発行日
no.29, pp.51-57, 2021-03-10

新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、オンライン講義が導入された。オンラインでは、講義を何度も見返したり、チャット機能を用いた秘匿性の高い質問ができたりとこれまでにない魅力がある一方で、ネット環境等により画面の小さいスマートフォンで受講せざるを得ない学生や、デジタル環境で質問することが苦手な学生の存在も危惧された。そこで、本研究ではこれまで対面授業を受けたことのある2、3 年生、並びに1 年生の導入科目の5 科目について、講義終了時点でアンケート調査を行い、特に質問のしやすさについての学生意識を検討した。その結果、チャット機能はあるもののオンライン型では、講義後の簡単な質問ができなかったことがオンデマンド型に比べると問題となっていること、オンデマンド型では質問の時差性に問題があることが分かり、オンラインでの「質問のさせ方」を工夫する必要であることが浮かび上がってきた。;On-line lecture has many advantages, such as repeated learning or private question using chat function. However, they are assumed that some students must use their smart phone to attend on-line lectures due to their poor internet environment, and some are not good at making question through digital devices. In this study, we performed questionnaires against second and third grade students who have experiences to receive face-to-face lecture and first-year students. As a result, it is suggested that not a few students hesitate to make questions through digital environment. To improve or enrich the on-line lectures, we have to exercise ingenuity against "how to ask" of students.
著者
中島朋子 宮里心一
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2017(仙台)
巻号頁・発行日
2017-06-13

近年,耐食性に優れるステンレス鉄筋が注目され始めている。ここで,引張により鋼材に応力が負荷された場合,負荷されていない状態とは腐食特性が異なる可能性も考えられるが,それを検討した事例は少ない。そこで本研究では,3水準の引張履歴が付与された3種類のステンレス鉄筋を対象に,溶液中およびモルタル中における腐食特性を,アノード分極曲線,マクロセル電流密度,およびミクロセル電流密度により評価した。その結果,引張履歴を有するステンレス鉄筋と有さないステンレス鉄筋では同様に,腐食電流が流れにくく,耐食性は高いことを明らかにした。
著者
宮里 心一
出版者
金沢工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

海岸部に立地する鉄筋コンクリート橋における上部工の形状が、飛来塩分の付着量に及ぼす影響を、実験的に検討した。すなわち、寸法および凹凸に相違を設けた4種類の供試体を、人工飛来塩分発生装置や人工降雨装置に暴露し、付着した塩分量を測定・比較した。その結果、上部工底面の凹部への巻き込み現象や上部工側面の雨水による洗浄効果に着目して、最も塩分が付着する部位を解明できた。