著者
佐藤 加代子
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.89, no.4, pp.73-82, 2019-08-25 (Released:2019-09-06)
参考文献数
46
被引用文献数
3

Differences in cardiovascular disease are found between the genders. In women, it is known that estrogen has both indirect and direct protective effects on the cardiovascular system. This includes a decrease in low-density lipoprotein cholesterol (LDL-C), an increase in high-density lipoprotein cholesterol (HDL-C), the vasodilatation response by endothelial Nitric Oxide Synthase (eNOS) synthase, and prostacyclin synthesis.Many cases of coronary spastic angina and acute coronary syndrome (ACS) have been observed during the menstrual and the late luteal phases of the menstrual cycle, corresponding with low levels of estrogen. After menopause, the risk of atherosclerosis and associated conditions such as; dyslipidemia, hypertension, obesity, diabetes, T cell activation, and adhesion molecules, increase. Consequently, the risk of a cardiovascular event also increases. In addition, regarding the pathological mechanism underlying ACS, erosion is observed most prominently during pre-menopause, whereas plaque rupture is observed in post-menopause.Furthermore, microvascular angina is often found in menopausal women displaying various symptoms, thus a diagnosis may be difficult. We recognize a decrease in vascular endothelial function and the coronary flow reserve and a high level of lactic acid in the coronary sinus as diagnostic criteria. Regarding problems associated with the "super-aging" society, there are many elderly female patients with HFpEF (heart failure with preserved ejection fraction) who have diastolic dysfunction. Also well-known are cases of atherosclerosis and osteoporosis progressed by common risk factors, and recently, vascular bone disease.There are characteristics in women for microvascular angina and heart failure, as well as ischemic heart disease, due to atherosclerosis caused by the sex hormone environment in later life stages. Considering gender-specific medicine in the prevention and treatment of cardiovascular disease is important for healthy aging of women.
著者
須藤 紀子 佐藤 加代子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.291-299, 2005-10-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
71
被引用文献数
2 1

市町村保健センターの栄養指導担当者においで, 妊娠中の飲酒が生まれてくる子どもに悪影響を及ぼすことは漠然と認識されているが, 具体的にどのような障害が生じるのかについてはあまり知られていない実態を受け, (1)これまでに前向きコホート研究において観察された, 妊娠中の飲酒が子どもに及ぼす影響にはどのようなものがあるかを整理し, 情報提供することを目的とした。また, 少量飲酒であれば容認する意見もあったことから, (2)飲酒量のレベルを純アルコール14g以下の少量飲酒に限定した場合でも, 障害が認められるかどうかを明らかにすることを目的とした。系統的レビューの結果, 妊娠中の母親の飲酒の影響は, 成長遅滞, 先天奇形, 脳の形成異常, 睡眠障害, 神経学的機能障害, 認知力低下, IQ・学習能力の低下, 言語発達遅滞, 注意欠陥, 問題行動と多岐にわたることが分かった。少量飲酒が子どもの身体発育に及ぼす影響については研究結果間で不一致がみられ, 一定の見解は得られなかった。今後はこれら一つひとつの障害について絞り込んだ文献検索を行い, メタアナリシスを用いて研究結果を統合することで, 科学的根拠に基づいた飲酒指導を行うためのエビデンスを蓄積していく必要があると考える。指導の現場においては, 妊娠中の少量飲酒が子どもに及ぼす影響について研究結果が不十分である現時点では, 少量飲酒を容認することは避けたほうがよいと考えられた。
著者
佐藤 加代子
出版者
長崎大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

<研究目的>抗がん剤を含む細胞毒性薬剤の取り扱いの危険性に関しては、医療従事者の抗がん剤曝露を最低限に抑えるために、曝露防止に関して様々な検討がなされており、世界的にガイドラインが作成されている。本邦でも抗悪性腫瘍剤の院内取扱い指針として「抗がん剤調製マニュアル」が出され、医療従事者における抗がん剤曝露に関する注意喚起がなされている。しかし、マニュアルやガイドライン、様々な曝露防止に対する検討がなされているのは、ほぼ注射剤の抗がん剤調製に関する事であり、同様に曝露の危険性が高い散剤についての詳細な検討はない。そこで今回、同じ分包機を使用することによる他剤への汚染、また、汚染された散剤を服用することによる他の患者への影響を最小に抑えることを目的とした。<研究方法>6-メルカプトプリン製剤を自動散剤分包機で分包後、洗浄剤として重曹、酸化マグネシウム、乳糖で洗浄を行った。それぞれの洗浄散剤中に含まれる6-メルカプトプリン量を高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて定量した。<研究成果>洗浄散剤中に含まれる6-メルカプトプリン量は重曹で3回目には検出限界以下、酸化マグネシウムで4回目には検出限界以下、乳糖では5回目でも6-メルカプトプリンが検出された。以上の結果より、洗浄剤として炭酸水素ナトリウムを使用し3回以上洗浄することが最も確実に抗がん剤を洗浄できる方法であることが明らかとなった。当院では、抗がん剤を分包する際は、他の散剤の分包が無い時に行っており、分包後清掃を行っている。効果的な洗浄剤の種類と使用法を明らかにできたことで清掃作業者への影響を最小に抑えることが出来ると考えられる。
著者
梶本 雅俊 葛木 みどり 山本 照子 鈴木 妙子 佐藤 加代子
出版者
国立公衆衛生院
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

昨年度行った基礎的検討として液クロによる金属パタン分析法を用い、尿中のNa・K・Ca等の陽イオンの分析を、同じくF・SO4、SO2、C1、N03等の陰イオンの分析をして金属栄養の指標とした。無機質代謝のうち、従来公衆栄養的見地からはカルシウム不足がいわれているので。今回は日本人の日常生活の中での真の吸収率を求めようとして、カルシウムについての吸収率を求めた。厳密な二回の実験を用い、実験は男子8名、女子8名の厳重な管理のもとに血液成分、カルシウム、ホルモンについてデータを得て分析した。その結果牛乳食、野菜食、小魚食、炭酸カルシウム食のうち、牛乳群の便Ca吸収率が最も高く、牛乳群、小魚食の尿中にカルシウム排泄が多かった。介入疫学の手始めとして神奈川県、津久井郡の城山町を始め保健所管内の4町における健診時において住民検診時に血液性状や食習慣調査データを用いて、地域別集計と比較を行った。一部は歯科健診も行い健康状態との関連を分析した。食習慣調査を行い、また健康に役立つ心構えの調査で、腹八分や塩分控え目等の食行動調査20項目間の関連分析を行った。過去の栄養調査し食習慣の結果を総合して、多変量解析を用い、そのうち主成分分析では、身体的測定項目は相互に強く関連し、アンケートでもビタミンの摂取を除く他の項目について互いに強く関連したことが分ったので今後は数項目の調査で他の項目が推定できることが分った。中国東北部吉林省において都市・農村部の約1000名の健康と栄養状態の日中比較では健康状態は都市部ではあまり違いが無かったが農村部では日本よりカルシウム、ビタミン栄養状態も含め悪く地域差が大きかった。