著者
鈴木 杏子 仲河 優里 西 まみか 野田 裕美子 高岡 素子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成20年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.95, 2008 (Released:2008-08-29)

【目的】 精進料理とは禅寺で修行に励む僧侶たちが食べる、殺生を禁じた粗末な食事で、動物性の食材を一切使用しない伝統的な料理である。現在、「精進料理」には2つの側面があり、1つはお寺に伝承され、調理される修行僧の食事と法要後に食される料理であり、もう一つは禅寺の近くに精進料理専門店で発達している。本研究ではカロリー控えめでヘルシーであると思われている精進料理メニューの実態調査を行い、現代における精進料理の栄養について明らかにし、また精進料理の食味に及ぼす油の影響について調べた。 【方法】 1.京都の精進料理専門店3店を選び、1食分のメニューを合計5点注文し、各食材の質量を測定、汁物の塩分濃度を測定した。栄養摂取量は各食材の重量を基に栄養価計算ソフト(エクセル栄養君Ver.4.0)を用いて解析した。2. 油脂の使用が精進料理の食味に及ぼす影響を知るために、3種類のメニューについて油添加・油無添加で調理し、官能検査を行った。 【結果および考察】 1. 1食分を成人女性の昼食と見積もり、各成分について食事摂取基準量の30%を基準量とした。エネルギーは967kcalで基準量の約1.57倍、食塩は6.4gで基準量の2.67倍であり、高カロリー、高塩分であることが明らかとなった。しかしながらPFCバランスは良好であり、ほとんどのミネラルやビタミン、食物繊維は基準量以上摂取できていた。 2. けんちん汁ではほとんどの項目で油添加の方が好ましいという評価が得られた。油無添加では塩味が強く感じられ、油の使用により味がまろやかになることが示唆された。切干ダイコンでは、全ての項目で油添加の方が好ましいという評価であった。白和えは油の有無による顕著な違いは見られなかったが、油を加えることによって塩味が抑えられる点では同様な傾向を示した。
著者
阿部 貴弘 山岸 祐子 鈴木 杏子 菊原 綾乃
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.22-00264, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
9

東京都青梅市を流れる多摩川は,かつては筏流しや渡し船,現在でも子供の川遊びやカヌー,ボルダリングなど,生活や生業,レクリエーションの場として盛んに利用されてきた.そうした利用を反映して,多摩川及び多摩川沿いの地形地物には,地名とは異なる多数の呼び名が付けられてきた. 本研究では,こうした呼び名について,文献調査やヒアリング調査に基づき網羅的に抽出するとともに,それらを対象物,由来,呼称者の視点から分類・整理した.さらに,各視点から相互にクロス分析を行い,呼び名の特徴を明らかにした.そのうえで,名付けの動機に着目した分析から,呼び名の意義を明らかにした.これらは,呼び名を通した河川特性の理解はもとより,今後の河川利用の促進や人々と河川との関係の再構築にも資する研究成果である.