著者
石井 昇 松田 均 中山 伸一 鎌江 伊三夫 中村 雅彦
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

【研究目的】日常診療、研究等に多忙な医療従事者や医学生等に対して、その職種やレベル別に応じた適切な教育効果が期待されるコンピューターシミュレーションを用いた災害医学、災害医療の教育システムの開発を目指したもので、特に自己学習が可能なゲーム感覚で学習が継続できるプログラムを作成する。【研究実施計画】平成12年度は地震時の災害医療における国内外の関連資料の収集・分析と、コンピューターへのデータ収録、さらに地震災害の初動期災害医療対応のシナリオ作成に必要な画像の収録・編集等を行った。平成13年度は、災害発生初期における医療対応での問題点等の抽出を行い、災害医療の実際等に基づいたシナリオ作成と災害発生後の状況を疑似体験できる災害現場を仮想空間にてシミュレーションできる3次元モデルプログラムの開発をコンピューターシミュレーションソフト開発会社等との協力のもとに着手した。平成14年度は、コンピューターソフト関連の技術者等の協力を得てコンピューターグラフィック化を含めたシナリオ作成と災害発生現場を擬似体験できる災害現場の3次元仮想空間でのシミュレーションモデル作成を行った。【本研究によって得られた新たな研究等の成果】地震災害想定モデル作成の複雑さと困難さに直面し、本研究期間内において地震災害想定シミュレーションシナリオ作成の完成に到達することは出来なかったが、コンピューターシミュレーションソフト開発会社の協力が得て、災害想定モデルのシナリオ作成の第一段階として、工場爆発想定の3次元の災害現場の仮想空間モデルを作成し、この仮想空間モデルを活用した災害現場でのトリアージ訓練シミュレーション教育システムのプロトタイプを作成中で、本年4月に完成した。今後地震災害想定モデルの作成に向けての研究を継続する予定である。
著者
川口 功 鎌江 伊三夫 宗圓 聰 坂本 長逸
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.289-302, 2014-10-31 (Released:2014-11-08)
参考文献数
37

本分析では,慢性的な疼痛を伴う変形性関節症,関節リウマチ,腰痛症患者に対しセレコキシブを投与した場合の費用対効果を,ロキソプロフェンナトリウムの投与を比較対照とした場合について検討した。分析は,マルコフモデルを用いて,慢性的な疼痛を伴う変形性関節症,関節リウマチ,腰痛症患者の予後を,ロキソプロフェンナトリウム服用群とセレコキシブ服用群の各々について,分析対象者の生涯に渡り(分析対象者全員が死亡するまで)シミュレーションした。費用の算定は支払者の視点で行い,直接医療費を集計対象とした。効果の指標は質調整生存年(quality-adjusted life years,QALYs)とした。費用と効果はマルコフモデルにより3ヶ月ごとに推計し,年率2%で現在価値に割引換算した。その結果,セレコキシブ投与群はロキソプロフェンナトリウム群よりも0.024 QALY多く獲得されること,反面,総費用は73,496円増加すると算定された。すなわち,セレコキシブによる治療が,ロキソプロフェンナトリウムに比べ1QALY多く獲得するために必要となる追加費用(ICER)は3,126,463円/QALYと算定され,セレコキシブの費用対効果は良好であると結論された。
著者
鎌江 伊三夫 柳沢 振一郎 石井 昇
出版者
神戸大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
2000

敦賀湾における核事故を想定した医療対応力に関して、北陸・東海・近畿の部の医療機関にアンケート調査を実施した。その結果、ヨウ素製剤の備蓄・重症熱傷や骨髄抑制の治療などの急性期治療は、限定された人数なら対応可能であるが、大規模事故にて多数の被爆者が出た場合は対応が困難であることが推定された。敦賀湾限定の核事故におけるヨウ素製剤投与に関しては、確認された備蓄量11万人分という数量から推測して、準広域にて十分な対応が可能と思われるが、大都市を含む大規模災害となった場合の必要数と供給には2桁ほどの乖離が予想された。広域避難に対しては転送手段・受け入れネットワークにも課題が確認された。また、NBC災害や大規模災害に対する災害対応マニュアルを含めた準備態勢にも問題が見受けられた。一般施設の被災に関して、施設間転送ネットワークや各種災害マニュアルなどは比較的低予算で整備することが出来、ほかの各種災害に援用可能なシステムもあるので、積極的な整備が望まれる。災害拠点病院や県立病院単位でのネットワークは整備されているが、ネットワーク外に置かれている私立病院をはじめとする施設と患者が存在する。特に広域避難に関しては、個々の施設や自治体の対応の限界を超えた問題が多い。行政や関連学会の補助が必要と考えられるなど、今後の対策要件等について明らかにすることができた。避難区域が広域となった場合や大都市が発災中心となった場合、さまざまな医療措置が不足となる事態が想定される。例えば本研究の調査では、人工透析通院数と余剰受け入れ可能数の乖離が確認された。政策における余剰医療設備の適正量の決定は、医療経済的な側面からだけではなく社会安全保障の側面からの検討も必要との示唆を得た。