著者
岡本 八寿祐 中村 雅彦
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.193-202, 2009-11-30 (Released:2018-02-01)
参考文献数
21
被引用文献数
1

毎年、大量の外国産クワガタムシ・カブトムシが日本に輸入されている。このような現状の中、在来種との競合、交雑など様々な問題点が指摘され、それに関わる検証実験等が報告されている。しかし、その報告の多くは外国産クワガタムシの例であり、外国産カブトムシの例はほとんどない。外国産カブトムシも外国産クワガタムシと同様、定着、競合など生態系や在来種への影響等のリスク評価を行なう必要がある。本研究では、コーカサスオオカブトムシが、成虫期・幼虫期で日本の野外で定着することができるのか、また、日本本土産カブトムシと競合し、その採餌行動等に影響を与えるのかを調べた。野外観察と飼育実験の結果、コーカサスオオカブトムシの成虫は、日本本土産カブトムシと同等に生存し、産卵した。また、野外でコナラの樹液を吸った。しかし、幼虫は、冬に野外で生存できなかった。これらのことから、コーカサスオオカブトムシの日本への定着は、困難であることが示唆された。成虫の活動に関しては、コーカサスオオカブトムシの雄の活動時間帯は、日本本土産カブトムシの雄と重なる時間帯があり、餌場で闘争した場合、コーカサスオオカブトムシが勝つことが多かった。これらのことから、コーカサスオオカブトムシは、逃げ出したり放虫された成虫が、野外で活動する際、日本本土産カブトムシと競合し、その採餌行動に影響を及ぼす可能性が高いと考えられた。
著者
中村 雅彦
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.132-146, 1991-11-20 (Released:2010-02-26)
参考文献数
31
被引用文献数
4 2 7

The purpose of this study was to investigate how heterosexual interaction including cognitive and behavioral aspects varies in terms of love styles, satisfaction, and commitment. A questionnaire survey was conducted for one hundred and fifty two college students who were engaging in romantic relation-ships. Respondents answered measures on their current interaction, and on perceived similarity with their partner. They had also rated love style measure based on Lee (1977) 's typology of love, and social exchange measures incuding satisfaction and commitment with partner. Multiple regression analyses showed that Erotic love style was dominant in romantic relationship. That is, Eros was positively afected by exchanges of self-disclosure, giving money and goods, meta-commnication, and perceived similarity. Those results were generally consistent, regardless of respondents' gender, relationship length, and intimacy status. It was also revealed that commitment for partner was generally determined by self-investment, relationship satisfaction and CLalt, supporting the prediction from Rusbult (1983) 's investment model. On the other hand, equity of outcomes had little effect for satisfaction, and commitment.
著者
岡本 八寿祐 中村 雅彦
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.193-202, 2009-11-30
参考文献数
21

毎年、大量の外国産クワガタムシ・カブトムシが日本に輸入されている。このような現状の中、在来種との競合、交雑など様々な問題点が指摘され、それに関わる検証実験等が報告されている。しかし、その報告の多くは外国産クワガタムシの例であり、外国産カブトムシの例はほとんどない。外国産カブトムシも外国産クワガタムシと同様、定着、競合など生態系や在来種への影響等のリスク評価を行なう必要がある。本研究では、コーカサスオオカブトムシが、成虫期・幼虫期で日本の野外で定着することができるのか、また、日本本土産カブトムシと競合し、その採餌行動等に影響を与えるのかを調べた。野外観察と飼育実験の結果、コーカサスオオカブトムシの成虫は、日本本土産カブトムシと同等に生存し、産卵した。また、野外でコナラの樹液を吸った。しかし、幼虫は、冬に野外で生存できなかった。これらのことから、コーカサスオオカブトムシの日本への定着は、困難であることが示唆された。成虫の活動に関しては、コーカサスオオカブトムシの雄の活動時間帯は、日本本土産カブトムシの雄と重なる時間帯があり、餌場で闘争した場合、コーカサスオオカブトムシが勝つことが多かった。これらのことから、コーカサスオオカブトムシは、逃げ出したり放虫された成虫が、野外で活動する際、日本本土産カブトムシと競合し、その採餌行動に影響を及ぼす可能性が高いと考えられた。
著者
石井 昇 松田 均 中山 伸一 鎌江 伊三夫 中村 雅彦
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

【研究目的】日常診療、研究等に多忙な医療従事者や医学生等に対して、その職種やレベル別に応じた適切な教育効果が期待されるコンピューターシミュレーションを用いた災害医学、災害医療の教育システムの開発を目指したもので、特に自己学習が可能なゲーム感覚で学習が継続できるプログラムを作成する。【研究実施計画】平成12年度は地震時の災害医療における国内外の関連資料の収集・分析と、コンピューターへのデータ収録、さらに地震災害の初動期災害医療対応のシナリオ作成に必要な画像の収録・編集等を行った。平成13年度は、災害発生初期における医療対応での問題点等の抽出を行い、災害医療の実際等に基づいたシナリオ作成と災害発生後の状況を疑似体験できる災害現場を仮想空間にてシミュレーションできる3次元モデルプログラムの開発をコンピューターシミュレーションソフト開発会社等との協力のもとに着手した。平成14年度は、コンピューターソフト関連の技術者等の協力を得てコンピューターグラフィック化を含めたシナリオ作成と災害発生現場を擬似体験できる災害現場の3次元仮想空間でのシミュレーションモデル作成を行った。【本研究によって得られた新たな研究等の成果】地震災害想定モデル作成の複雑さと困難さに直面し、本研究期間内において地震災害想定シミュレーションシナリオ作成の完成に到達することは出来なかったが、コンピューターシミュレーションソフト開発会社の協力が得て、災害想定モデルのシナリオ作成の第一段階として、工場爆発想定の3次元の災害現場の仮想空間モデルを作成し、この仮想空間モデルを活用した災害現場でのトリアージ訓練シミュレーション教育システムのプロトタイプを作成中で、本年4月に完成した。今後地震災害想定モデルの作成に向けての研究を継続する予定である。
著者
清水 義雄 中村 雅彦
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.17-30,64, 2000-07-25 (Released:2007-09-28)
参考文献数
26

鳥類の混群形成の意義には,相利共生,片利共生,寄生の3種類がある.カモ類の採餌混群では,随伴種は中核種の採餌行動により利用可能となった餌を採餌することで採餌効率を上げ,中核種は随伴種による明確な悪影響を受けないことから,混群形成の機能的な意義は片利共生とされてきた.渉禽類やスズメ目鳥類の混群では,混群サイズの増加にともない餌をめぐる競争や攻撃頻度が増大するため,随伴種のみならず中核種も採餌効率が下がること,人為給餌による餌量の増加は混群形成を抑制することがわかっている.しかしカモ類では,実験的に餌量を操作し,餌量の違いが混群形成の様式,混群サイズ,種間順位,各構成種の採餌行動に与える影響を明らかにした研究はない.そこで本研究は,非繁殖期に混群を形成するコハクチョウ,ホシハジロ,オナガガモに人為給餌を施し,人為給餌前後の混群形成の様式,採食行動,社会行動を比較することにより,餌量が混群形成の機能的意義に与える影響を明らかにすることを目的とした.調査は1996年10月15日から12月28日まで長野県南安曇郡豊科町の犀川貯水池で行なった.貯水池の一部に実験区を設定し,約30kgのイネの種子やもみがらを1日3回与え,餌量を操作した.群れは,単独,同種群,コハクチョウとホシハジロの2種混群,コハクチョウとオナガガモの2種混群,ホシハジロとオナガガモの2種混群,3種混群の6つのタイプに分け,人為給餌前後で各群れタイプの個体数を記録した.人為給餌前後の追従関係,混群タイプの構成割合,採餌割合,攻撃頻度を比較するため,コハクチョウ25個体,ホシハジロ22個体,オナガガモ21個体を一個体当たり8~13分間連続してビデオカメラで録画し,行動を分析した.各種の採餌テクニックや採餌頻度は,群れタイプで異なることが予想されたので,各群れタイプに属するコハクチョウ109個体,ホシハジロ91個体,オナガガモ79個体を一個体につき約5分間ビデオ録画し,人為給餌前後で採餌テクニックと採餌頻度を分析した.採餌混群は,人為給餌前後とも,コハクチョウが首入れ採餌をする前に水中を脚で頻繁にかき回すときに形成された.脚のかき回しにより水底に沈むイネやぬかがわき上がり,ホシハジロはコハクチョウの直下に潜水採餌,オナガガモはわき上がった餌を両種の周囲で採餌した.各種の追従行動から,3種混群の中核種はコハクチョウ,追従種がホシハジロとオナガガモであり,オナガガモはコハクチョウに追従するホシハジロに追従することがわかった.追従頻度は人為給餌後に増加し,その結果3種混群の混群形成率が増加し,群れサイズは約2倍に上昇した.この時,構成種の76%がホシハジロだった.採餌割合は,人為給餌後の3種混群時に3種とも増加した.人為給餌前のコハクチョウの首入れ採餌頻度は3種混群時が最も高く,ホシハジロも3種混群時及びコハクチョウとの混群時に潜水時間を短縮することで潜水採餌の頻度を高めた.オナガガモは3種混群時のみ,ついばみ採餌,首入れ採餌,こしとり採餌の3種類の採餌テクニックを併用し,こしとり採餌では移動距離を短くすることにより採餌頻度を高めた.人為給餌前は3種とも3種混群において採餌頻度を高めているため,採餌混群の機能的意義は相利共生といえる.人為給餌後の3種混群では,コハクチョウだけが採餌頻度を下げ,ホシハジロに対する攻撃頻度を増加させた.これに対しホシハジロとオナガガモは人為給餌前と同様に採餌頻度を高めていた.したがって人為給餌後の採餌混群の機能的意義は,宿主がコハクチョウ,寄主がホシハジロ,オナガガモの寄生関係といえる.3種混群のコハクチョウにとって,ホシハジロの適度な個体数は,自らの採餌頻度を高めるのに有効だが,人為給餌による過度の群れサイズの増加はコハクチョウの採餌行動の混乱,攻撃頻度の増加をもたらし,採餌頻度は減少する.このことから,随伴種であるホシハジロの個体数が採餌混群の適応的意義を決定する主因と考えた.人為給餌の餌は3分以内に水中に沈み,沈んだ餌はコハクチョウが脚でかき回すことではじめてホシハジロ,オナガガモが利用可能となる.それゆえ,カモ類の混群では,与えた餌の絶対量ではなく,中核種により開発され随伴種が利用可能になった餌量が混群形成に影響を与えると考えた.
著者
中村 雅彦
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.131-137, 1984-08-30 (Released:2010-07-16)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

The purpose of this study is to examine the effects of personalistic self-disclosure on interpersonal attraction. Thirty-two male subjects participated in the experiment. After showing intimate or superficial disclosure, the confederate attributed the cause of his disclosure either to the subjects (personalistic condition) or to the confederate himself (non-personalistic condition). Subjects were then informed of these attributions. Results obtained clearly supported the hypotheses. Subjects who received intimate and personalistic disclosures liked the confederate significantly more than those who received intimate and non-personalistic disclosures. On the other hand, subjects who received superficial and personalistic disclosures disliked the confederate significantly more than those who received superficial and non-personalistic disclosures.
著者
村田 浩一 佐藤 雪太 中村 雅彦 浅川 満彦
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

日本アルプスの頚城山脈、飛騨山脈および赤石山脈において、環境省および文化庁の許可を得てニホンライチョウから血液を採取した。栄養状態や羽毛状態に著変は認められず、すべて健常個体であると診断された。血液塗抹染色標本を光学顕微鏡下で観察したところ、78.1%(57/73個体)にLeucocytozoon sp.の感染を認めたが、他の血液原虫感染は認めなかった。検出された原虫の形態および計測値から、大陸産のライチョウに確認されているL.lovatiと同種であると判定した。感染率に性差は認めなかった。本血液原虫の血中出現率は、春から夏にかけて上昇し、夏から秋にかけて低下する傾向が観察された。ほとんどの地域個体群にロイコチトゾーン感染が確認されたが、常念岳および前常念岳の個体群には感染を認めなかった。L.lovatiのmtDNA cytb領域を解析し、各地域個体群間および他の鳥種間で塩基配列の相同性を比較検討した。南北アルプスのライチョウ間では差が認められなかったが、他の野鳥寄生のLeucocytozoon spp.との間では差が認められた。L.lovatiを媒介していると考えられる吸血昆虫を調査した。調査山域でアシマダラブユおよびウチダツノマユブユ等の生息を確認した。PCR法によりブユ体内からL.lovatiと100%相同の遺伝子断片が増幅された。このことから、L.lovatiの媒介昆虫はブユであることが強く示唆された。本研究で得られた数々の知見は、ニホンライチョウを保全する上で有用であると考える
著者
金 幸夫 鳥巣 岳彦 中村 雅彦 黒木 健次 多治見 新造
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.32-36, 1990-10-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
12

We reported a case of a 58-year-old man who sustained dislocation of the knee with patella tendon rapture.Primary operative treatment was carried out. The treated knee was placed in a cast for seven days, then early quadriceps exercise was started. One year after surgery, the knee was stable and painless with flexion movement from 0 to 120 degrees.
著者
清水 義雄 中村 雅彦
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 = Japanese journal of ornithology (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.17-30, 2000-07-25
参考文献数
26

鳥類の混群形成の意義には,相利共生,片利共生,寄生の3種類がある.カモ類の採餌混群では,随伴種は中核種の採餌行動により利用可能となった餌を採餌することで採餌効率を上げ,中核種は随伴種による明確な悪影響を受けないことから,混群形成の機能的な意義は片利共生とされてきた.渉禽類やスズメ目鳥類の混群では,混群サイズの増加にともない餌をめぐる競争や攻撃頻度が増大するため,随伴種のみならず中核種も採餌効率が下がること,人為給餌による餌量の増加は混群形成を抑制することがわかっている.しかしカモ類では,実験的に餌量を操作し,餌量の違いが混群形成の様式,混群サイズ,種間順位,各構成種の採餌行動に与える影響を明らかにした研究はない.そこで本研究は,非繁殖期に混群を形成するコハクチョウ,ホシハジロ,オナガガモに人為給餌を施し,人為給餌前後の混群形成の様式,採食行動,社会行動を比較することにより,餌量が混群形成の機能的意義に与える影響を明らかにすることを目的とした.<br>調査は1996年10月15日から12月28日まで長野県南安曇郡豊科町の犀川貯水池で行なった.貯水池の一部に実験区を設定し,約30kgのイネの種子やもみがらを1日3回与え,餌量を操作した.群れは,単独,同種群,コハクチョウとホシハジロの2種混群,コハクチョウとオナガガモの2種混群,ホシハジロとオナガガモの2種混群,3種混群の6つのタイプに分け,人為給餌前後で各群れタイプの個体数を記録した.人為給餌前後の追従関係,混群タイプの構成割合,採餌割合,攻撃頻度を比較するため,コハクチョウ25個体,ホシハジロ22個体,オナガガモ21個体を一個体当たり8~13分間連続してビデオカメラで録画し,行動を分析した.各種の採餌テクニックや採餌頻度は,群れタイプで異なることが予想されたので,各群れタイプに属するコハクチョウ109個体,ホシハジロ91個体,オナガガモ79個体を一個体につき約5分間ビデオ録画し,人為給餌前後で採餌テクニックと採餌頻度を分析した.<br>採餌混群は,人為給餌前後とも,コハクチョウが首入れ採餌をする前に水中を脚で頻繁にかき回すときに形成された.脚のかき回しにより水底に沈むイネやぬかがわき上がり,ホシハジロはコハクチョウの直下に潜水採餌,オナガガモはわき上がった餌を両種の周囲で採餌した.各種の追従行動から,3種混群の中核種はコハクチョウ,追従種がホシハジロとオナガガモであり,オナガガモはコハクチョウに追従するホシハジロに追従することがわかった.追従頻度は人為給餌後に増加し,その結果3種混群の混群形成率が増加し,群れサイズは約2倍に上昇した.この時,構成種の76%がホシハジロだった.採餌割合は,人為給餌後の3種混群時に3種とも増加した.<br>人為給餌前のコハクチョウの首入れ採餌頻度は3種混群時が最も高く,ホシハジロも3種混群時及びコハクチョウとの混群時に潜水時間を短縮することで潜水採餌の頻度を高めた.オナガガモは3種混群時のみ,ついばみ採餌,首入れ採餌,こしとり採餌の3種類の採餌テクニックを併用し,こしとり採餌では移動距離を短くすることにより採餌頻度を高めた.人為給餌前は3種とも3種混群において採餌頻度を高めているため,採餌混群の機能的意義は相利共生といえる.人為給餌後の3種混群では,コハクチョウだけが採餌頻度を下げ,ホシハジロに対する攻撃頻度を増加させた.これに対しホシハジロとオナガガモは人為給餌前と同様に採餌頻度を高めていた.したがって人為給餌後の採餌混群の機能的意義は,宿主がコハクチョウ,寄主がホシハジロ,オナガガモの寄生関係といえる.<br>3種混群のコハクチョウにとって,ホシハジロの適度な個体数は,自らの採餌頻度を高めるのに有効だが,人為給餌による過度の群れサイズの増加はコハクチョウの採餌行動の混乱,攻撃頻度の増加をもたらし,採餌頻度は減少する.このことから,随伴種であるホシハジロの個体数が採餌混群の適応的意義を決定する主因と考えた.人為給餌の餌は3分以内に水中に沈み,沈んだ餌はコハクチョウが脚でかき回すことではじめてホシハジロ,オナガガモが利用可能となる.それゆえ,カモ類の混群では,与えた餌の絶対量ではなく,中核種により開発され随伴種が利用可能になった餌量が混群形成に影響を与えると考えた.
著者
中村 雅彦 斎藤 和志 若林 満
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.15-22, 1990-04-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
13
被引用文献数
4 3

The purpose of this study was to investigate how attitude change is generated by the recipient's degree of attitude formation, evaluative-emotional elements contained in the persuasive messages, and source expertise as a peripheral cue in the persuasion context. Hypotheses based on the Attitude Formation Theory of Mizuhara (1982) and the Elaboration Likelihood Model of Petty and Cacioppo (1981, 1986) were examined. Eighty undergraduate students served as subjects in the experiment, the first stage of which involving manipulating the degree of attitude formation with respect to nuclear power development. Then, the experimenter presented persuasive messages with varying combinations of evaluative-emotional elements from a source with either high or low expertise on the subject. Results revealed a significant interaction effect on attitude change among attitude formation, persuasive message and the expertise of the message source. That is, high attitude formation subjects resisted evaluative-emotional persuasion from the high expertise source while low attitude formation subjects changed their attitude when exposed to the same persuasive message from a low expertise source. Results exceeded initial predictions based on the Attitude Formation Theory and the Elaboration Likelihood Model.
著者
中村 雅彦 進士 五十八
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.123-131, 1991-10-31

代々木公園,砧公園,駒沢オリンピック公園,神代植物公園の4公園内に設置された計12売店における売上げ高と(1)公園人口からの距離(2)周辺空間特性(3)売店の見える範囲の大小(4)設備の質(5)新旧感(6)建物の広さの6因子との相関関係を分析した。売上げ高は「売上げ日報」,分析は数量化I類等によった。その結果次の点が明らかになった。売上げへの影響因子は大きいものから(1),(2),(3),(4),(5),(6)の順となっており,売店の売上げは売店そのものの形態よりもその立地に大きく影響されることがわかる。なお休,平日それぞれの平均売上げ高比較は凡そ休日:平日=5:1であり,天候による平均売上げ高比較は凡そ晴天:曇天:雨天=5:2:1である。
著者
池脇 香織 中村 雅彦 石附 亨 樋口 元剛 小川 敬之 山田 弘幸 永井 みどり 小緑 英行
出版者
九州保健福祉大学
雑誌
九州保健福祉大学研究紀要 (ISSN:13455451)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.149-155, 2013-03

In this study, in order to promote intake of γ-aminobutyric acid (GABA) routinely and continuously, we prepared several functional breads containing different percentages (0%, 1%, 2% or 3%) of GABA, designated as Taimatsu GABA (T-GABA), produced by fermented rice germ, which has been shown to have various physiological actions. The dough containing T-GABA (1%) showed greater expansion as compared with that containing T-GABA (0%, 2% or 3%). The quantity of wet-type gluten decreased in a T-GABA percentage-dependent manner. The stickiness of wet-type gluten containing T-GABA (1%, 2% or 3%) was decreased as compared with that of the control bread (T-GABA; 0%). Although the weight of the bread containing GABA (1%, 2% or 3%) was not altered as compared with that of the control bread (T-GABA; 0%) after baking, the height of the bread containing T-GABA (3%) was the lowest. In the sensory evaluation, referees judged the bread containing T-GABA (1%) as showing a slightly better level of taste, feeling of softness, crust, crumb and fragrance as compared with that of the control bread (T-GABA; 0%). Together, these findings indicate that breads containing T-GABA are of functionally high quality and value, and we propose to introduce these breads into some long-term care health facilities.
著者
斎藤 和志 SAITO Kazushi 中村 雅彦 NAKAMURA Masahiko
出版者
名古屋大学教育学部
雑誌
名古屋大學教育學部紀要 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.97-109, 1987-12-24 (Released:2006-01-06)

This study attempted to construct the Interpersonal Orientation Scale (ISO) based on the concept proposed by Rubin & Brown (1975). High IOs are interested in and reactive to other people, whereas low IOs are less interested and responsive to others and more concerned with economic features of interpersonal relationships. The scale for Japanese based on Swap & Rubin (1983) was revised to the new scale (ISO-V) which was constructed by eighteen items. Factor analysis of ISO-V yielded three factors : human relation directedness, interpersonal interest and reactivity, and individualistic tendency. This scale had reasonable internal consistency. Correlations between ISO-V and other personality scales indicated expected relations. Then, the validity of IO construct and the usefulness of ISO-V were examined by two experiments. First experiment was aimed to examine the influences of evaluator's IO on attraction toward the self-disclosing other. By this experiment, it was found that high IOs showed greater responsiveness to variations in other's disclosures than did low IOs. Second experiment aimed at exploring the effects of subjects' IO on their opinions about reward allocation and cognition of it. This experiment indicated that high IO individuals liked equality and low IOs took a serious view of own contribution. These results suggested that this scale was useful in understanding behavior in certain social situations.
著者
須田 久美子 宮村 正光 田上 淳 中村 雅彦
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.4, pp.89-97, 1994-08

都市における地震被害の低減に関する研究の一環として、北海道南西沖地震がその被災地に及ぼした社会経済的影響を把握するために、復旧プロセスに着目した新聞情報の整理及び地震発生3カ月後の現地調査を実施した。現地調査は、津波及び火災被害の著しかった奥尻町と、液状化被害のあった長万部町を中心に行った。調査の結果を連関図にまとめ、主として地震による間接的な影響(被害)や復旧プロセスの経時的な推移を整理した。また、地震被害の社会的要因を分析し、被害を抑制した要因と拡大した要因に分類し考察した。その結果、地震被害の間接的な影響として、「生活基盤の喪失に伴う産業の衰退及び人口の流失」「長い避難生活や被災による精神的なダメージ」「仮設住宅のスペース不足や設置場所などへの不満」「見舞金分配に絡む各住戸の被災度評価の問題」「復旧速度に与える行政手続きの影響」などが問題になっていることが明らかになった。こうした問題点を踏まえて、今回の調査から得た教訓をまとめると次のとおりである。(a)被災度診断者、特殊技能者などの養成及び派遣システムの確立 被害を受けた家屋の被災度を公平に判断するオーソライズされた被災度診断者の派遣が望まれている。特に、二次災害の防止などの観点から現在一部の自治体で実施されてはいるものの、全国的な規模での展開が早急に必要である。人材の育成については、建築学会などの機関を中心に組織的な体制を整えることも必要と考えられる。また、土砂崩れ現場などでの重機操作技術者や救援物資の仕分け作業の専門家などを被災時に速やかに派遣できるシステムの確立が望まれる。(b)精神コンサルタントの養成 災害の影響が長期化すると、物資面のみでなく、被災住民に対する精神面の援助が重要である。日本では、精神コンサルタントのシステムが確立しておらず、まずは、被災者の心の相談にのれる専門家を数多く養成することが急務である。(c)復旧作業を遅滞させないための法制度の見直し 場所によっては建物の被害申請手続きや査定が終了しないと復旧作業にとりかかれない場合があり、重要度・緊急度に応じた手続きの簡素化と査定方法の見直しが望まれる。(d)伝達する情報を一元化する管理システムの確立 被災地では、地震直後から多くのマスコミ関係者が訪れ、役場の震災担当者はその対応に追われたようである。町村レベルの役場の人数では、生存者の救出・救援に追われる一方で、死傷者の人数や被害状況などに関する正確な情報を把握するのは非常に困難である。伝達する情報を一元化する管理システムが望まれる。情報収集の専門家である報道関係者が横の連携をとりつつ、震災担当者と情報を交換・管理できるシステムができれば、救援活動もよりスムーズに実施できるものと考えられる。