著者
松本 洋俊 糸長 浩司 長坂 貞郎 大塚 肇
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.19(第19回環境研究発表会)
巻号頁・発行日
pp.331-334, 2005 (Released:2007-12-28)

本研究はエコロジカルな視点から、生物資源を効率的に活用したアクアポニックスシステムの開発を目的とし、まず養殖水中での栄養塩負荷の除去を図るため、各種濾材と植物を組合わせたシステムを構築し水質評価を行った。その結果、植物による一定の負荷除去効果を示した。また、コイ養殖とクウシンサイ水耕を組合わせたアクアポニックスモデルを構築し、養殖と水耕による栄養塩収支の評価を行った結果、栄養塩が若干増加傾向を示したが比較的養殖水質は栄養塩が低濃度で安定していた。バイオマス生産評価では、コイは飼育環境の季節による低温化に伴い良好な成長を図ることができなかったが、植物については濾材の違いによる成長特性について基礎的知見を得た。
著者
山嵜 高洋 石川 重雄 長坂 貞郎 笹田 勝寛 河野 英一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.183-195, 2013 (Released:2013-12-20)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

印旛沼流域の低平地水田において,T-N(NH4-N,NO3-N,NO2-N,Org-N),T-P等の水質浄化を水管理と農地利用の相違から検討した.1)水田における灌漑用水の浄化は,灌漑用水濃度が高濃度の場合,灌漑用水量を多く必要とするが,連続的な浸透掛流灌漑が効果的であった.2)水田への流入水(灌漑用水)の水質濃度が高ければ浄化,逆に低くければ流出負荷量が勝り汚濁の排出となる.このことは,水田における水質浄化は流入水の濃度により左右されることを示し,本調査で浸透掛流灌漑を行うことで浄化機能が発揮されることを,より明確化できた.3)水田を畑に利用転換すると,還元状態で機能する脱窒作用が減少し,降雨によりNO3-Nが流出して,印旛沼(閉鎖性水域)の劣化を助長することが危惧された.
著者
糸長 浩司 石川 重雄 栗原 伸治 長坂 貞郎
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

植物浄化システムの実験研究の内、ハイポニックスシステムでは、コイ養殖排水の栄養塩が作物により顕著に吸収されることが確認できた。各槽固有の作物による栄養塩吸収能の比較検討を行ったが,特にハーブ類とトマトで顕著なDIN・DIP吸収が確認できた。農作物生産は,トマト,クウシンサイ,ハーブ類で比較的冬期間を含め,持続的に収穫を行うことができた。家畜汚水を植物で浄化するシステム実験研究では、浄化能力は、窒素で22mg/m^2/d〜61mg/m^2/d,リンで2.5mg/m^2/d〜8.2mg/m^2/dで窒素、リンとも高い浄化能力をしめした。曝気の有無に関しては窒素、リンとも曝気を行うと浄化能力が高いことが明らかとなり、浄化性能を上げるための一つの手段として曝気を行うことは重要である。個々の植物の浄化能で除去速度の高いものからは、窒素では抽水植物群(206),浮き草群(170),クワズイモ(133),ゲットウ(76),ミニトマト(73)。リンは浮き草群(31.6),抽水植物群(24.6),クワズイモ(19.9),ゲットウ(17.9),ミニトマト(17.5)であった。天然の水質浄化資材の複合的な開発実験では、稲わら・ヨシ・アシ・マコモ溶出液と木炭、ゼオライトの組み合わせで、NO_3-N除去率が向上した。本浄化素材の複合システムでNO_3-Nによる水質悪化を防止することの可能性が示された。稲藁の溶出液と組み合わせると特にNO_3-Nの除去能力の低下はなく,かつOrg-Nも抑制の傾向にあった。備長炭との組合せは,他の場合よりもCOD濃度が低く抑えられることが示された。自然素材であるストローは、ベイル内の相対湿度の増加とともにストローの含水率も増加した。ただ、相対湿度90%で含水率は15%以下であり、雨水対策を行うことで,ストローベイルの日本の高湿度環境での長期維持の可能性が示された。また、壁材+ベイルの調質性能は藁>荒木田>土佐漆喰であり、壁材利用で低下し、塗材の影響を大きく受ける。
著者
下渡 敏治 上原 秀樹 ロイ キンシュック 高樋 さち子 長坂 貞郎 宮部 和幸 長坂 貞郎 宮部 和幸
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

(1) 3カ年に亘るフィールド調査によってモンスーン・アジアにおける自然災害の実態と経済発展等による人為的要因及び気候変動など自然的要因との因果関係が明らかとなった。(2) 専門分野を異にする専門家による共同研究及び学際的な研究方法確立への道筋が開かれた。(3) モンスーン・アジア特有の気象条件の下での農業・食料システムの実態と接近方法についての試論的なフレームワークを提示することができた。研究成果は報告書に纏めて公表し、最終的な青果物は「自然災害とフードシステム」として出版に向けた準備をすすめる。