著者
長嶋 比呂志
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.63-64, 2010-02-25 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9

クローン動物および動物クローニング技術は,医学研究や医療技術の開発に革新的な進歩をもたらすことができる.特に近年,大型動物であるブタを用いたトランスレーショナル・リサーチ(橋渡し研究)の必要性が認識されるようになったことを背景として,拒絶反応のない臓器・組織移植系(syngeneic移植系)の創出,病態モデル動物の作出,異種移植臓器ドナーブタの開発,さらに動物工場による有用タンパク・細胞・組織の生産など,クローンブタの医学研究・医療への応用が活発に進められている.
著者
東 大 内田 奈緒美 坂本 望 牧野 智宏 新井 良和 長嶋 比呂志 大鐘 潤
出版者
公益社団法人 日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第106回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.OR2-28, 2013 (Released:2013-09-10)

Myostatinをコードする遺伝子Mstnは,TGF-βスーパーファミリーのGDFファミリーに属し,骨格筋の分化を制御する。分化後の筋細胞から分泌されたMyostatinは,筋組織の幹細胞であるサテライト細胞の増殖抑制や,筋芽細胞から筋管への分化抑制等の作用を通じて,骨格筋組織の発生と再生を抑制する。Mstn変異または欠損の動物は筋肥大が顕著であり,畜産において家畜の筋肉量増加を目的とした研究などで注目されてきた。しかし,Mstn欠損または機能不全の家畜動物は,体格の違いによって繁殖が困難なことや,飼糧が大量に必要であることなどの問題がある。また,Mstn欠損は脂肪形成を抑制するため,日本で重要とされる食肉としての品質にも問題があると考えられる。Mstnの骨格筋特異的な機能を畜産において有効に利用するためには,遺伝子の欠損や完全な不活性化ではなく,発現量を微調節することが必要であると考えられる。遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化は,転写因子の結合を阻害し,発現を抑制する。このDNAメチル化は,可逆的な化学修飾であるため,DNAメチル化状態の改変によって遺伝子発現を調節できる可能性がある。また,改変する度合いによって遺伝子の発現量を調整できると考えられる。そこで,ブタ主要組織におけるMstn転写開始点近傍のDNAメチル化状態とmRNAの発現をバイサルファイト法とRT-PCR法を用いて解析した。その結果,Mstn転写開始点近傍は骨格筋でのみ低メチル化状態であり,mRNAの発現も骨格筋特異的であった。この結果から,Mstnプロモーター領域のDNAメチル化状態とmRNAの発現は逆相関していることが明らかとなり,Mstnはプロモーター領域のDNAメチル化状態の変化によって発現調節されることが示唆された。
著者
長嶋 比呂志 梅山 一大
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は糖尿病およびその合併症研究に適した病態モデルブタを開発することである。我々は若年発症成人型糖尿病3型の原因遺伝子である変異型ヒトHNF-1αP291fsinsC遺伝子を導入した遺伝子組換え(Tg)ブタを樹立した。このTgブタは恒常的な高血糖(>200 mg/dl)を維持し、経口糖負荷試験でも糖尿病の特徴を示した。病理組織学的には膵臓ランゲルハンス島の形成不全、ヒト糖尿病性腎症で確認される結節性病変、糖尿病性網膜症で確認される網膜出血と綿花状白斑が確認された。これらの結果から、このTgブタは有望な糖尿病およびその合併症モデルになると考えられる。
著者
佐原 寿史 山田 和彦 長嶋 比呂志 伊達 洋至 清水 章
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ブタをドナーとする異種移植は、ドナー臓器不足に対する有力な解決策となる。腎臓や心臓では2か月超える異種臓器の生着が得られる一方、異種肺移植の生着は数時間から数日に留まる。本研究では、ブタ肺をヒト血液で灌流するex-vivoモデルやカニクイザルへ同所性左肺移植を行うモデルによって、GalT-KOブタ肺が超急性期の肺機能不全を回避しうること、ドナーへの一酸化炭素投与による血管内皮保護効果を介して、術後微小血管障害軽減が得られた。しかし異種移植肺は術後3日以内に血栓性微小血管障害による機能不全を呈したことから、長期効果を得るためには新たな遺伝子改変ブタを用いた治療方針の開発が望まれる結果となった。