著者
岸本 成史 小佐野 博史 奥 直人 渡邊 真知子 安藤 崇仁 厚味 厳一 板垣 文雄 大藏 直樹 岩澤 晴代 長谷川 仁美 長田 洋一
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.5, 2021

<p>帝京大学薬学部では,4年次に統合型の演習科目「薬学統合演習1」を開講し,約300名の学生を対象に講義室内で薬物治療症例の問題基盤型学習を行っているが,2020年度はCOVID-19のパンデミックによりオンライン形式での遠隔授業として行うことになった.オンライン授業はオンライン会議システムと学習管理システムを組み合わせて用いて実施し,症例検討のスモールグループディスカッションはオンライン会議システムのブレイクアウトルーム機能を利用して行った.また,症例シナリオや授業の実施内容を極力変えず,履修者全員が確実に授業に参加できるよう考慮して授業を行った.授業終了後に学生が得られたと感じた学修成果や授業の満足度は,従来の授業と比べて差異がなかったことから,本演習をオンライン形式で行った場合でも,対面形式と遜色ない学修成果が得られたものと考えられた.</p>
著者
長田 洋一 都築 繁幸
出版者
愛知教育大学特別支援教育講座・福祉講座
雑誌
障害者教育・福祉学研究 (ISSN:18833101)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.9-17, 2018-03

本研究の目的は,自立活動の心理定な安定に焦点を当てた指導を通級指導教室で行っていくための心理劇の実施要件を明らかにすることである。対象児は,知的な遅れが認められる,通常の学級に在籍する小学5年女子と4年男子の自閉症スペクトラム(ASD)児2名である。心理劇は童話を用い,対象児の積極性を促進するために戦いの場面のある童話を授業者が予め選定し,筋書きに従って演じさせた。演じる姿をビデオ録画に収め,対象児に視覚的なフィードバックを与え,自分のポジティブな面を認識させた。その結果,1)ビデオ視聴時の反応は,両児童とも初期の段階は無反応な状態であったが,次第に表情や言語による反応を示すようになり,終盤には動作による反応も示すようになった。2)授業の行動では両児童とも自発性が高まった,3)学級担任の通常の学級での対人関係の評価が向上した。これらのことから自立活動に焦点を当てた指導として心理劇を通級指導教室で適用していくことの要件等が議論された。
著者
都築 繁幸 長田 洋一
出版者
愛知教育大学障害児教育講座
雑誌
障害者教育・福祉学研究 (ISSN:18833101)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.131-143, 2016-03 (Released:2017-03-28)

過去10年間で学会誌や大学の研究紀要等で掲載された論文のうち,小学校で行われた対人関係の向上に向けた支援という観点から限定的に分析した。27編を分析対象とし,通常の学級,通級指導教室,特別支援学級のそれぞれの場所でどのような介入が行われたかを検討した。その結果,次のような傾向が認められた。通常の学級全体の場では,第一次的な介入が多く見られた。クラスワイドな支援を行う利点としては,同じ学級の中に似たような行動上の問題を抱えた児童が複数人いる場合に有効であり,対象児以外の児童にとっても有益であることが示された。第二次的な介入や第三次的な介入を行っていく場所が通級指導教室や特別支援学級であるが,第二次的な介入として小集団SST指導を実施していることが多く,個別システムによる第三次的な介入はほとんど行われていなかった。効果の面から見ると「クラスワイドな支援」は他の児童や学級全体の改善および対象児童の集団参加や他児との環境調整に有効であり,「機能的アセスメント」,「コンサルテーション」,「校内支援体制」は対象児童の不適切行動の減少と適切行動の増加に有効であり,「認知行動療法」は対象児童の自尊心の高揚に有効であった。通級指導教室の小集団SST指導は小集団内での仲間関係の形成に有効であり,特別支援学級における小集団SST指導は,自発性の促進に有効であることが示された。今後,介入を効果的に行っていくためには,対象児童の行動問題の種類や改善の目標によって効果が上がると思われる技法を採択していくことが示唆された。