著者
石川 智彦 近藤 礼 山木 哲 毛利 渉 齋藤 伸二郎 長畑 守雄 嘉山 孝正
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.161-166, 2015 (Released:2015-05-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

要旨:症例は37 歳女性.テニス中に首を捻った際から頭痛が出現し,その後頭痛の増強,立位保持困難,構音障害を訴え救急搬送された.精査にて頸部左内頸動脈解離による脳梗塞を認め,抗凝固療法を行い経過良好であったが,第14 病日のMRI にて新たに頸部左椎骨動脈解離を認めた.無症候であったため抗凝固療法を継続し,第26 病日に退院し外来通院とした.発症5 カ月後には両血管とも正常に復していたが,発症6 カ月目に頭痛,めまいで救急搬送され,新たに頸部右内頸動脈解離を認めた.本邦では頸部動脈解離の再発例に関する報告が少なく,特に本症例のように約半年間で異なる頸部血管に3 回にわたり解離が出現した報告はない.本症例では3 カ所の解離部位がいずれも類似した高位であることから,発症時期は異なるものの1 回のminor neck injury が誘因となった可能性が考えられた.
著者
長畑 守雄 近藤 礼 毛利 渉 佐藤 慎治 山木 哲 長畑 仁子 齋藤 伸二郎 嘉山 孝正
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.156-161, 2013

【目的】機械的血栓回収療法(mechanical thrombectomy;MT)導入前後で,当院における急性期脳梗塞に対する治療動向と治療成績の変化を検討する.【方法】MT導入前(pre-MT期)10ヵ月とMT導入後(post-MT期)19ヵ月で,発症から6時間以内の急性期脳梗塞患者数,期間中の全脳梗塞患者に占める割合,施行された再灌流療法毎の重症度(National Institute of Health Stroke Scale;NIHSS)と転帰(modified Rankin Scale;mRS)を検討した.【結果】急性期脳梗塞症例数はpre-MT期が97(全脳梗塞症例の44.3%),post-MT期が250(同52.2%).これらに対するt-PA静注療法(intra-venous tissue-plasminogen activator;IV-tPA)の施行率はpre-MT期が12.4%,post-MT期が25.2%であった.Pre-MT期における局所線溶療法の施行率は5.2%,post-MT期におけるMTの施行率は11.6%であった.IV-tPAによる30日後mRS 0-2はpre-MT期で50.0%,post-MT期では48.0%であった.MTによる90日後mRS 0-2は37.9%であった【結論】Post-MT期にIV-tPAの施行率が上昇したのは,早期受診の重要性を訴えてきた当院の社会的啓発活動の効果で,より早期の来院例が増えた影響が大きいと思われた.当院においてMTは急性期脳梗塞患者の11.6%に対して施行され,4.4%で90日後mRS 0-2の転帰が得られた.
著者
山木 哲 近藤 礼 長畑 守雄 伊藤 美以子 齋藤 伸二郎 佐藤 慎哉 嘉山 孝正
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.11, pp.885-889, 2012 (Released:2012-11-22)
参考文献数
12

総頚動脈閉塞症 (CCAO) に対し頚部頚動脈内膜剥離術 (CEA) を行うことはまれであるが, 今回, 大動脈炎症候群に合併したCCAOに対しCEAを施行し良好な結果を得ることができた1例を経験したので報告する. 症例は58歳女性で一過性脳虚血発作にて発症した. 大動脈炎症候群によるCCAOを認めたが, 神経放射線学的検討にて術前に閉塞部分はごく限局していることが診断しえたためCEAによる血行再建を行った. 本例のごとく閉塞が限局しその近位部および遠位部の開存が術前に確認できる場合には順行性の血行再建が行えるCEAは有効な方法である.